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ディズニーがCEOが実践する10の原則

常に奇跡。絶対的不利な状況を跳ね返して常に勝利する。ミラクルは何度も起きればもはやミラクルではありません。どうやって、奇跡を当たり前のこととしたのか。
それはたった10の原則を貫き通したからです。
その10の原則とは、

1.前向きであること
2.勇気を持つこと
3.集中すること
4.決断すること
5.好奇心を持つこと
6.公平であること
7.思慮深いこと
8.自然体であること
9.常に最高を追求すること
10.誠実であること

この10の原則をディズニーCEOのロバート・アイガー氏がどのように実践してきたのかがこの自叙伝では語られています。
この方は本当に叩き上げでキャリアを伸ばされてきた人です。
キャリアの上では決して成功したとは言い切れない父を見ながら育ち、アイビーリーグがある街にあるあまり知られていない大学を卒業して、コネとは言えないようなおじさんのちょっとした紹介で全米ネットワークテレビのABCにスタジオ管理者として入り込むことからキャリアが始まります。
ところが、入社してすぐ上司の不正を見つけてまわりに相談したのが本人に知れ「もう先はないと思え」とクビを宣告されます。でも、なんとかABCスポーツに転属する道を見つけ会社に残ります。そこで出会った上司が伝説的プロデューサーのルーン・アーリッジです。彼との出会いが後々のロバートアイガーの成功を形作った言えるかも知れません。まあまあの出来を絶対に受け入れず、イノベーションを起こさなければ死という姿勢、そして、新しいものや証明されていないものを怖がっていたらイノベーションなんて起こせない、ということをルーンから学びます。
自分が失敗したときはその非を素直に認めること。完璧を求めるルーンの下で自分の仕事に集中することで多くを学びつつ、卓越を追求するあまりに人が疎かになることという部分は反面教師として学んでいたと述べています。ルーン・アーリッジは後にロバート・アイガーの部下となりますが、そこでロバートの企画したイノベーティブなアイデアの番組をルーンが指揮をとり成功を収めます。
ロバートは、34歳でABCスポーツのバイスプレジデントに昇進しますが、ここで会社を買収される側の社員になります。ディズニーのCEOとして数々の企業買収を成功させますが、買収される側の社員としての経験があるからその社員が持ちうる自分たちの文化が破壊されるかも知れないという不安が理解できるからこそ、大事な社員を失うことなく、成功させることができたのでしょう。
ABCはキャピタル・シティーズに売却されロバートはトム・マーフィとダン・パークと出会います。社内にはトムとダンに対する反発がある中で、ロバートは彼らから大事なことを学びます。それは、善良さと仕事上の有能さは、相反するものではないということです。自分たちの直感を信じて、敬意を持って人に接して、時間をかけて自分たちの体現する企業を築く。社員はお金でなく忠誠心を感じ仕事に打ち込む。
トムとダンに認められ、ABCエンターテイメントの社長となります。そこで、才能ある人たちを信頼し最大限の力を引き出すためにリスクを自分が背負い、失敗すれば手を差し伸べるリーダーとしての重要なスキルを学びます。ABCエンターテイメントをトップへ導きCOOに昇進したロバートにはさらなるチャレンジが待っています。ディズニーによる買収です。
ディズニーがキャピタルシティーズを買収するにあたって、ロバートの存在はディズニーにとって重要な引き継ぐべき資産でした。しかし、ディズニーCEOのマイケル・アイズナーはロバートをなかなかナンバー2に指名しようとしません。自分の座を脅かす存在としての恐れがあったようです。外部からのナンバー2を招き会社に混乱を招いたり、マイケルの不安定な自分への態度にも耐えつつ、結局、取締役社長兼COOというナンバー2の座に着きます。ところが、そのアイズナーが失脚するとナンバー2であったロバートへの交代を取締役が反対します。ディズニーが変化しないといけないという危機感にある中でナンバー2の後継者では変革は起きないという理由からです。ロバートは明確な3つのビジョン 1 オリジナルコンテンツの創出 2 テクノロジーの活用 3 グローバル化を打ち出し、辛抱強くアピールすることでついにCEOに就任します。それでも、あくまで外部からの評価は中継ぎの経営者だったようです。
CEOに就任してから最初の彼の大きな功績はピクサーの買収です。ディズニーとスティーブジョブスの関係は最悪でした。就任後すぐにスティーブの元に飛び込み信頼関係を築きこの偉大な買収を成功させました。21世紀フォックス、マーベル、ルーカスフィルムの買収。CEO就任時に掲げた3つのビジョンの達成のためにすべきことを実行していきます。

この自叙伝は最初の10の原則がどのように実践されてきたのかを考えながら読み進めました。それぞれの原則がもともとの素養ではなく培われたものであることが見えてきます。

大統領選出馬まで噂されたそうですが、2020年2月に当初の予定より早くCEOを退いたロバート・アイガー氏。これからどのようにディズニー後の人生を歩むのか非常に興味深いです。この本で、ロバートが示してくれた10の原則を自分のこれからの人生にも取り入れることができるか常に問い続けたいと思います。

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