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一橋MBA戦略分析ケースブック 事業創造編 エフピコ

食品トレー業界のリーディングカンパニーとして、市場シェアNo.1を誇り成長し続けている企業です。2020年3月期 年商1860億 経常利益 162億円で、業界2位の中央化学とは3倍以上の売上差があります。
1995年当時の中央化学とはほぼ変わらない年商600億円程度であったのが、この25年間で他社が横這いの売上をに留まる中、1社だけ順調に成長したのです。

この25年間というのは、日本のGDP成長率だけを考えてみても、売上維持、事業継続してるだけでも十分に立派ともいえると思うのですが、エフピコは他社を置き去りにして成長し続けています。食品トレーという一見するとコモディティと思えるような業界でどうやって他社が追随できないようなビジネスモデルを構築することができたのか?本書においてはバリューチェーンのフレームワークを自社及び顧客の両面で分析しエフピコが価値創造を追加的に実行することで差別化を図っていることを説明しています。

エフピコのビジネスシステムの特徴は以下の5つです。

1.多様な製品開発と多品種少量生産

2.自社の物流網

3.提案型営業

4.使用済みトレーの回収・リサイクル

5.サプライチェーンシステムの構築

上記の5つは一度に出来上がったものではなく、一つ一つが関連し補完関係を持つことで、連鎖的に築き上げられているのが重要なポイントです。時間をかけて一つ一つを築き上げているため、他社が模倣できないものとなっています。

カラートレーによる少量品種への取組みが物流ニーズ対応へとつながり、物流網の構築ができていたことが静脈物流を活用したリサイクルニーズへ対応を可能させています。

また、顧客への提案型営業によってニーズにそったトレーを自社の物流網を活用することで迅速な配送を実現し、また、営業の定性的な現場の情報のインプットがSCMの強化につながり物流・製造・在庫の効率性を上げてより一層の競争力強化に役立てています。シェアトップであることで、さらに提案型営業、サプライチェーンのさらなる高精度化ということで、好循環につなげています。

1995年の容器包装リサイクル法が施行されたことで小売店のリサイクル委託料の節約に貢献したことは非常に大きいと思います。

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そこに至る前に、カラートレー、物流、リサイクルといったニーズに早期に目を向けて継続的に価値創造を行ったことで、他社が気づいた時には模倣の不可能な大きな壁となりました。

一つ一つの小さな競争優位に目を向けてそれにつながる施策を打ち続けること。エフピコのそういった努力によって他社もトレーのバリエーションを増やして追随しましたし業界自体が衰退することなく成長できたというのもあると思います。エフピコはコツコツと積み上げることで、競合が気づいた時にはとても追いつくことができないところまで登りつめました。

自社、顧客のバリューチェーンを真摯に分析し対策を検討しつづけることの重要性を学ぶケースでした。






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