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信じるものは救われる プラシーボ効果-行動経済学の理解と実践33

幕末の主人公の1人、新撰組の土方歳三の実家は「石田散薬」という薬を売っていたというのは、司馬遼太郎の歴史小説にも出てくる有名な話です。

この「石田散薬」は、打ち身、切り傷、骨折など、あらゆる外傷に効果がある万能薬ということで新撰組の隊士にも配っていたそうです。

しかし、本当に効果があったのかは疑わしいそうです。

新撰組の鬼の副長とまで言われたカリスマが配ってくれるクスリには、十分に効果があったのでしょう。

この記事では、石田散薬の効果にもつながるプラシーボ効果についてです。

プラシーボ効果とは?

プラシーボ効果とは、偽薬(プラシーボ)に対して確実に効果が表れることをいいます。

医薬品の世界では、新薬の承認のための比較試験に偽薬を使用すると、偽薬を服用しているにも関わらず何%かの患者は病気が治ってしますということはもはや常識です。

薬を服用している人の信じる気持ちが効果になって現れるようです。

話題になった「ヤクルト1000」を例にとってみましょう。

「ヤクルト1000」は、安眠やストレス緩和に効果があるとされる「特定保健用食品(トクホ)」です。

「トクホ」ですから、何らかの因果関係のあるデータ(コルチゾールやホルモン物質)はあります。

でも、実際に安眠、ストレス緩和の効果をクスリのように臨床試験データをとって承認された商品ではないです。

「ヤクルト1000」に効果があるのかどうかの議論ではないです。

おそらく、効果があると信じた人はよく眠れ、疑い深い人は効果が出ないという結果になっているでしょう。

まさに「信じる人は救われる」です。

プラシーボ効果は善か?悪か?

偽薬で人を騙しているととる人はプラシーボに悪い印象を持つかもしれません。でも、期待した効果があったというのは決して悪いことではないですよね。

いってみれば、宗教と同じで、信心の有無で御利益があったと受け取るかどうかの違いです。何かに頼りたいと思っている人に信じれるものを差し出してあげるのは決して悪いことではないです。

ただ、全く根拠もないのに効果があるといって信じ込ませようとしたり不当に高価格で売りつけようとするのはもってのほかです。

マーケティングへどう使うのか?

顧客が信じる要素として、希少性や高価格、権威のある人のサポートなどが挙げられる事があります。

ただし、これらは事業の継続性の観点からはおすすめはできないです。
ステマだとか、色々と批判を受けるリスクもありますからね。

もっとも、おすすめするのは信じれるストーリーを持つことです。

作っている人、販売する人、サービスをする人がそのもの・サービスはお客様のお役に立てると信じているかどうかがプラシーボ効果が発揮できるかどうかにかかっているといえます。

どんな想いで自社の商品・サービスがあるのかを明確にすることで社員の心に信じる心を育むことから始めましょう。

まとめ

偽薬を信じることで効果が出るプラシーボ効果について説明しました。

プラシーボ効果は決して顧客を欺いた結果ではありません。提供する信念を持って、その信念をお客さんも共感してくれることによって生じる効果です。

お客様にとって良いものを提供するんだという気持ちを常に忘れないようにしましょう。



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