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私的メタリカベストソングス

メタリカ学習シリーズ最終回。23枚レビューしたうち、自分が「これはいいなぁ」と思った★★★★☆以上の曲をまとめてみました。アルバムで言うと下記の構成。0曲のものは割愛。

Kill 'Em All(1983) : 6曲
Ride The Lightning(1984) : 5曲
Master Of Puppets(1986) : 5曲
...And Justice For All(1988) : 5曲
Metallica(1991) : 5曲
Live Shit: Binge & Purge(1993) : 4曲
Reload(1997) : 1曲
S&M(1999) : 5曲
St. Anger(2003) : 1曲
Some Kind Of Monster(2004) : 1曲
Death Magnetic(2008) : 2曲
Lulu(2011) : 1曲
Through The Never(2013) : 6曲
Hardwired...To Self-Destruct(2016) : 7曲
S&M2(2020) : 10曲

スマホで聴きながら読みたい方はこちら(noteに戻ってくればYouTubeでバックグラウンド再生されます)。

Kill 'Em All(1983)

1.Hit The Lights 4:17
フェードインしてくるドラムロール、手数がこのころは多い
ギターリフへ、こうして聞くとハードコアの影響も強い
メイデンの1stにも近いというか
考えてみると時代的にもそれほど離れていないんだな
歌い方もパンク、ハードコア的、モーターヘッドの影響を感じる
刻みは細かい、ドラムはそれなりに重い、リマスター版だから今どきの重低音感を足しているということもあるのだろうけれど
ボーカルのパフォーマンスはパンク的
モーターヘッドは80年代初頭、パンクスからもメタルからも愛されたバンドだった、と言われているがメタリカもそうだったのかも
性急なリズムがあるが、リズムが走る感じはないな、そうかそれが重さか
ちょっとタメ感があるというか、ラーズの特性なんだろう、それはデビュー当時から変わっていない
ギターは、、、デビューアルバムはデイブだっけ、たしかデビュー前に抜けたよな、カークか
けっこうブルージーというか、ブルース的なフレーズを高速で弾く
メロディアスで構築された、クラシカルなギターソロとは無縁、この辺りはベイエリアスラッシュの特徴
★★★★☆

4.Jump In The Fire 4:50
メロディアスなリフ、下の方からせりあがってくるような
けっこうハードロックなリフ、ちょっとメロディ展開は違うがマイケルシェンカー的でもある
リフの上にギターソロっぽいのが入ってくるのもそうだな
ちょっとUFOっぽい、サビのコーラスも
けっこうロックンロール、ハードロック的なノリが強いな
もうちょっとスラッシーな印象だったが、70年代ハードロックの影響が強い
そこに米国と英国のハードロックの両方がブレンドされている
この辺りはオランダ(デンマークだっけ?)の移民であるラーズの影響かも
ラーズのお父さんおヒッピーみたいで、かなりロック好きだったようだし(真実の瞬間、でもスタジオで意見を言っている)
ロックに肉体性を取り戻したのは息子たちだ、みたいなことを言っていたような
確かに肉体性が当時からあるな
ギターリフの上でギターを弾きまくる
★★★★☆

7.Phantom Lord 4:52
シンセの音からスタート、ファンジックというか、スペースロック的なのか
サイケな音使い
そこに壮大な感じのリズムが入ってくる
と思ったらハードコア的な疾走、ハードコアというかビートバンドというか
バトルロッカーズのセルナンバー8みたいな
ただ、曲構成はそうだが演奏はかっちりしている、落ち着いて整理された演奏
リフもかっちり演奏している、これがエネルギー不足に感じるところもあるが、なんというかちょっとしたサイケ感がある
うーん、70年代ハードロック回帰的な音とも言える、この時代にしてはそれほど回帰的ではなかったのだろうけれど
スピリチュアルべガーズとか、ドゥーム、スラッジ、ストーナーと言われるバンド群の音に通じるものがある
途中、アルペジオの反復に、これはサイケ
ああー、こういう音の源流がメタリカなのか、なるほど確かに言われてみれば
これはそういう音像の元祖、というか、「70年代と2000年代をつなぐ曲」なのかもしれない
5分弱の曲だがけっこうドラマティックだなぁ、面白い
★★★★☆

8.No Remorse 6:24
かっちりしたリフ、ジューダスプリースト的
ギターソロが切り込んでくる、モーターヘッドのベスト盤の名前を冠しているがそれほどモーターヘッドらしくは、、、あるか
確かに、モーターヘッドオマージュと言えばそうとも言える
歌い方はダミ声ではなく(あの声でなかったんだろう)ちょっと金切り声というか細目の声、パンクだな
出だしのリフはモーターヘッド的、というか、UKメタル的だがサビあたりまでくるとUSスラッシュ的になる
リズムが変わる、スケーターというか、ヒップホップ的なテンポえブレイクダウン、これはこのころUSメタルで発明されたんじゃなかろうか
これはモダンだなぁ、この頃はモダンなサウンド、曲だったと思われる
それをモーターヘッドにささげたのだろうか
後半、疾走パートへ、アイデアが盛り込まれている
ベースがユニゾンでリフを刻んでいる
ああ、リズムギターのひっかく感じに、軽快に走るベースがのるわけだ
軽快さはあるが走る感じはない、この曲はあまり「重さ」は感じないが、それでもちょっと落ち着いている、しっかり音楽を統制している感じはある
最後ちょっとテンポを変えて終曲するパターンが多いな
★★★★☆

9.Seek & Destroy 6:50
印象的なリフ、デイブ在籍時の曲だな
リフが絡み合い、ベースも絡み合う、こういう構成、「メタリカらしさ」の萌芽を感じる
この曲もコード進行がハードロック的だよな、スリーコードではなくちゃんと展開していくというか
ちょっと欧州的でありながら、USのカラッとしたところ、パンキッシュだったりヒップホップ的なリズムを取り入れたり
そういうミクスチャー感覚が優れていたのだろう
この曲はけっこうドラムは手数がシンプル、重さ重視
それほどヘヴィなミックスはされていないが、曲構成的には引きずる構造、ギターリフもそうだし
サバス的というべきか
途中、走り出す、疾走パートへ、疾走といってもミドルテンポぐらいだな、落差で早く感じさせている
走るパートはシェンカー的、ランディローズ的なリフというか、メロディアスなリフ
そこからサバス的なひきずるメインリフに戻る
まぁ、この曲自体知名度が高いから「メガデス的なリフ」でもいいのだけれど
他のメタリカ曲に比べるとちょっと違うというか、デイブムステイン節は感じる
サビというか、Seek&destroyのフレーズとか、そこにリフが重なってくる感じとか、メガデスっぽい
ちょっとLooks That Kill、初期モトリー感もあるな、まぁ、時代も場所もけっこう近いからな
★★★★☆

10.Metal Militia 6:06
刻み、勢いがあるリフ、これは一番疾走感というか「テンポを速く感じさせよう」という意思を感じる
「速さ」に主眼が置かれている
不思議なリフだな、ちょっとアングラというか
とびはねる音、音階、無理やり感もある音階
ドラムはツービードなのか、ハードコア、パンク的リズム
切り込んでくるギターソロ、これは弾きまくっている
ただ、音はきっちり聞こえている「自分が弾きこなせない速度」まではいかない
この辺りがメタル的、ちゃんと弾くからかっこいい、的な
疾走感はある、最初と最後で速い曲を持ってくることで「速いアルバム」という印象を持たせてるんだな
中に入ってる曲はけっこうヘヴィというか、ミドルテンポの曲も多い
行進の音で終了、ああ、こういうSEは当時から使ってたのか、ONE(メタルジャスティス)で大々的に使うが
★★★★☆

Ride The Lightning(1984)

3.For Whom The Bell Tolls 5:10
鐘の音、AC/DCかサバスか
これはヘヴィな感じ、うねるリズム、ベースもうねる、ギーザーバトラー的
最初から「重さ」に対するこだわりは強いバンドだったんだな
なんとなくブラックアルバムで変容した感じもあったが、あらためて聴くとそういう要素は初期から色濃くあったわけだ
ちょっとはねるようなリズム、ただ、このころはまだヒップホップはアンダーグラウンド、1984年だと、、、ちょっとRUN DMCとかが出てきた頃か、ウォークディスウェイが86年
ヒップホップのリズムじゃないな、歩くような、揺れるようなリズム
むしろAC/DCとかなのかな、この曲のこのリズムって
この曲はけっこうミドルでヘヴィな曲なんだな
ボーカルの加工とか、声がリフレインする、ディレイがかかる感じはオジーとかキング大モンドとか、ちょっとショックロック的
この曲はホラーロックのテイストもあるな、最後、悲鳴のようなギターノイズに鐘の音が鳴り響く
吸血鬼とかを連想させる終わり方
★★★★☆

4.Fade To Black 6:56
アコギのアルペジオから、こちらはギター感が強い
1曲目の頭はもっとハープシコード的な音加工がされていたが、こちらはアコギ
焚火のそばでつま弾くような音、カントリー的というか
カントリーというよりケルティックなのかな、ちょっと欧州的というかヨーロッパ伝統音楽的
歌が入る、声が若い、悪ガキが丁寧に歌っている感じ、改めて音源を聴くと今のライブとは受ける印象が違うな
そこからリフが入ってくる
流れるようなメロディ、これコード進行がアンフォーギヴンと同じじゃないかな? 一部同じかも
このバラードからヘヴィなリフが入ってくる、というのはブルーオイスターカルトのアストロノミーとかにも通じるな
そういえばカバーしてたが、あれアメリカのバンドなんだよな、アメリカとイギリスのハードロックの融合という意味ではパイオニアはBOCなのかも
まぁ、年代的にBOCはUSメタル自体のパイオニアでもあるのだけれど
話がそれた、テンポアップ、構築されたギターフレーズ、この辺りは欧州的
2曲目のような「アメリカン」な感じはない、湿り気があるギターの音
ちょっとギターもウーマントーン、丸みを帯びた音、メイデンのような
うーん、それは言い過ぎか、もうちょっと棘はあるが、他の曲ほど引っ掛かる感じは少ない
バスドラをさりげなく連打している、ただ、バスドラ連打がところどころ地味に出てくるが、むしろ疾走感おり酩酊するシーンで出てくるなぁ
この辺りはドゥーム、スラッジというか、70年代HRをリバイバルするバンド群のツーバス連打の使いどころ似ている
呪術的というか、盛り上がってきたところでリズムが細かく、激しくなっていくというのはポリリズムの伝統音楽的
★★★★☆

6.Escape 4:23
ミドルテンポでじっくり、刻みからの音がはねるリフ
そこから刻みのリフに、ボーカルが入ってくる
ちょっとした引っ掛かりがあるリズム、オーソドックスなハードロックのリフをリズム音程でずらしている
これは初期スラッシュっぽいな、ちょっと変わった和音とかを使う
サビでは急にポップに、おお、こういうノリの曲もあったのか
この曲はあまり記憶になかったなぁ、聴いたことはあるはずだが新鮮味がある
なんだろう、ちょっとスペーシーというか、B級SF感というか
サビがチープで親しみやすい、メイデンのPiece Of Mindにもこんな感じの妙なポップさがある曲があったような
軽快なリズム、リズムが染みてきて体が動き出す
これは1stにはなかったな、2ndで、アルバムを通してだんだんテンションが上がっていく、メタリカのリズムに慣れてくる
こういう感覚があるのは名盤
この曲はスペーシー
★★★★☆

7.Creeping Death 6:36
聞き覚えのあるリフ、当たり前か
ただ、アルバムバージョンを聴くのは久々
お、リフの切り込みが早い、印象より性急な感じがある
とはいえドラムは冷静、しっかりリズムをキープしている、やはり先走るというよりドラムが少し後ろ
それが酩酊感というか、重さも兼ねたグルーヴを生んでいる
ギターはほぼオンタイムか、少し走るぐらいなのかな
微妙な差でドラムが入ってくる
テンションがだんだん上がっていくギターと、落ち着いているドラム
安心感があるドラムと煽情力の高いギターリフの双方があって、冷たい熱狂というか、じわじわと暴れだしたいようなエネルギーが高まっていく
ギターソロ、前面に出ているのはリフ、リフが前面にあり、装飾音としてのソロ
リフの反復とリズムとの絡み合いによる酩酊、これが快楽の本質であり、それを装飾するものとしてギターソロがある
ポリリズムの音楽、インドネシアとか、あのあたりの手拍子など、音階のないパーカッションと、音階のあるガムランなどの打楽器、その下りなるポリリズム、その盛り上がりを修飾する声や鳴り物(笛など)と快楽の構成が近いのかも
後半、歌メロが存在感を増してくる、これはかえってリズムの酩酊感をそぐなぁ
ギターソロが入ってくる、ギターソロはツインリード、リズムより前面に出てくる、というか、リフの一部として絡みあっているのか
ギターとドラムの絡み合いの酩酊感が強い、リフでベースがハーモニーを奏でる快楽は発明
★★★★★

8.The Call Of Ktulu 8:52
エレキギターのアルペジオからスタート
けっこうこのアルバムアルペジオが多いな、それぞれ音色を変えている
そのままアルペジオにギターメロディが絡んできて、ドラムが入る
この構成は同じ、欧州メタル感を感じるが具体的には誰なんだろう、ダイアモンドヘッドとかなのかな
サバスとかもけっこう前奏が長い曲もあったが、、、マイケルシェンカーとかかな、なんだろう
あ、この曲はインストか
リフが主体、コード進行とリズムが主体、ソロは続くが一つの大きなメロディというよりはカウンター、装飾音
感情の起伏を表すというか、自由に踊っている
曲そのものの骨子はリフとリズム、そのせめぎ合い
うーん、なるほど、こういうリフの反復と、リフとドラムおポリリズムによる酩酊感を伴う高揚を初期から売りにしていたバンドなのか
メロディが主体のバンドではない、絡み合うリズムの中に印象的なメロディが入ってくるけれど、それよりは全体の絡み合いなんだな
リズムに単調さがない、だからリズムの比重が強まっていく90年代でビッグバンドになっていったのかも
メロディももちろん弱いわけではないけれど
メロディはけっこうワンパターンというか、けっこうオーソドックスな進行
リズムのこだわりが凄いな、後半、大げさなドラマが入る
シンバルの連打、曲の終わりに向けて瞬間的に盛り上げる、みたいな終わり方は1stから多い
★★★★☆

Master Of Puppets(1986)

1.Battery 5:10
アコギのアルペジオからスタート、重みのある音
ギターがなだれ込んでくる、音が良い
どんどん音が良くなってくる、2ndに比べても良い
ザクザク感と一体感が心地よい、プロダクションが向上している
音の切れが良い、ドラムも重みがある
この歯切れの良さ、音の良さも名盤の条件なんだろうなぁ
1st、2nd、3rdで明らかに音質、プロダクションが向上している
ドラムとギターが一体感を増している、タム回しの一つ一つがはっきり聞こえる
塊感、一体感と、ひとつひとつの音の分離が両立されている
ギターソロが始まる、音が塊感というか音圧がましてさまざまなものが絡み合う
ポリリズムというか、リフとドラムが絡み合う感じがより強くなっている
この曲はトライバルか、リズムのユニゾン感が強い
今までの3枚、一曲目はだいたいユニゾンか
激烈感がある、そこまで極端に速いわけではないが、当時としては音数がかなり多いか
とにかく一体感、突進感がある
★★★★☆

2.Master Of Puppets 8:38
やはり、ちょっと音圧が減る感じがある、この作りは意図的だな
だんだん曲の後半につれて音圧を上げていくのだろう
安定した刻み、落ち着いたリズム、1曲目で上がったテンションを少し下げる
ただ、1曲目のエネルギーは残っている
ややサイケな空間、タメとか繰り返しとか、この曲も余白はある
何度も同じ反復するというか、展開するかと思えば「Master! Master!」を執拗に繰り返す、とか
繰り返す、反復する酩酊感をところどころリズムをずらす、ためることでずらしていく
ポリリズムというか、一つの小節に多くの拍のスタートがあるというか
ラーズはデンマーク出身か、一応北欧なんだな、ちょっと北欧らしさがあるといえばある
やはり父親がきいていた音楽とか、民族的なルーツはあるのだろう
ジェームスはイギリス、ドイツ、アイリッシュ、スコティッシュのルーツがある、と
母親がライトオペラのシンガーだった、と
カークハメットは母親がフィリピン系、父親はドイツ・アイリッシュ・スコティッシュ・ジャーマンルーツということでジェームスと同じ
ルーツという意味だとこの辺りだといろいろなものが混じっているのか
グローバルな感覚はもともとあったバンドなのかもな
だんだんポリリズムが強まっていくというか、リズムが反復していく、心地よい酩酊感
リフの上に不思議なフレーズ、ギターの音が入る
最後笑い声、ホラー的、終曲あたりの変なギターの音が面白い
ところどころショックロック、怪奇趣味的な音が入る
★★★★★

4.Welcome Home (Sanitarium) 6:28
ひっかかりのあるリズム、エレキギターのアルペジオ
クラシカルというか、こういうコード進行が良く出てくるな、クラシカルというよりカントリーだろうな
リフが絡みついてくる、なるほど、メロディとしてはそれほど他の曲と違わないというかけっこうパターンが限られている
いわゆる「メタリカ節」というか、これはバッテリーにも近いし
ただ、リズムの組み合わせ方、ポリリズムと音色、ハーモニーのつくりかたが上手い
リフの循環とボーカルとドラムの拍が少し循環がずれてポリリズムになり、またユニゾンする
そうした近づいたり離れたり、あとは疾走パートとか、パーツの組み合わせ方、物語の作り方が上手い
一つ一つのリフとかメロディではなく、全体なんだな
一つのリフやボーカルメロディ主体のバンドに比べるとそもそも勝負所、音楽の快楽の生み方が違ったわけだ
逆に言えば、単体のリフだけで成り立ったり、ボーカルメロディだけで成り立つ曲はあまりない
この曲もリフとソロのメロディでまたリズムが変わっていくし、循環サイクルがずれる
とはいえキングクリムゾンみたいな複雑な変拍子ではなく、たとえば片方は4小節ループ、片方は3小節ループで12で着地とか、次のパートでユニゾンでアップテンポ、とか、そういう分かりやすさはある
曲も比較的コンパクト、まぁ、6分台はあるが、20分とか30分みたいなストーナーまではいかない
★★★★☆

5.Disposable Heroes 8:14
おお、ここから大曲なのか
だんだん音圧が上がってきている、最初のリフからけっこうザクザク来る
アルバム後半に向けて熱量が上がるのか
これも単音階のリフ、ひたすら同じ音階だが刻みのみ、刻みとベース、いくつかのギターのポリリズム、ドラムが別のリズム
民族音楽的というか、単なる「歌」にとどまらない原始的な音楽の快楽構造、ポリリズムをしっかり再現している
ボーカルメロディが出てくる、とはいえそれほどメロディアスというよりアジテーションとしての機能か
リフとドラムの絡み合いが主たる快楽、ボーカルフレーズがコーラスでリズムと絡み合う
おお、ここでリズムの合間にメロディを入れてくる、これは印象に残る
こういう快楽の作り方は上手い、考えてみたらこれがメタリカの必殺パターンかもな
リズムの余白というか、どこかにスポットがあたる瞬間があるが、そこにボーカルが入って印象的なメロディを少し入れる
というか
そうするとその部分は耳に残る
リズムの合間にギターソロが高音から勢いよく下降してくるパターンが何度か出てきたが、これはボーカルで高音から下降してくる
高音からの下降によって着地感というか、曲がひと段落する感じがある、そこからまた次のヴァース、リフに間髪いれずにつながることで新鮮さを取り戻す
この曲はずっと「下降するメロディ」だな、一気にあがってそこから下がってくる、か同じ音程を保つ
サビになると一斉に下がっていく
少し跳ねる感じもある、これは全体としてうまく曲とかみ合っている
1st、2ndと模索していた作曲方法、オリジナリティが開花した印象
リフとドラムの絡み合いによる酩酊、高揚という武器が練度があがり、メロディへのスポットの当て方もこなれてきた
さらにプロダクションも良くなっている
★★★★★

6.Leper Messiah 5:38
すこしヘヴィなリフ、やや不協和音というか違和感のあるリフ
ただ、そこまで音階には印象が向かない、やはり同音程、リフの刻み、リズム主体
リフとリズムおせめぎ合い、ところどころにぽつんと置かれる音程があるな、ボーカル
この曲はボーカルメロディでいくつか実験がなされている
途中、急に言葉を詰め込むところとか、これはヒップホップの影響だろうか
あるいはハードコアか、そういえばハードコアからの影響はあまり感じなくなってきたな
1stが意外と一番感じた、むしろ初期メイデン(1st)とモーターヘッドの影響がモロに出ていただけなのだろうか
途中からツインリード。メロディアス、マイケルアモット的なメロディ
そこからはリズム主体の刻み、ラムオブゴッドの新作はひたすらリフを刻んでいたが通じるところがある
カークのギターソロで刻みの重圧から解放されるが
リフとツーバス、ところどころけっこう細かくツーバスを叩く、最初の実験的なボーカルフレーズはあったが途中からはお家芸というか得意なパターンに
Die Die DIe!というフレーズがある? ミスフィッツみたいだな
ユニゾンで終曲、ちょっと後半ホラー風味も出てきたかも
★★★★☆

...And Justice For All(1988)

1.Blackened 6:40
フェードインしてくるギターメロディ、ひっかくような音
ベースとギターが絡み合う
突然切り替わるリフ、メガデス的といえばメガデス的な構成
歯切れがよくなったギター、前作よりややリバーブが少ない
ドラムの音が軽い、軽いというか高音が協調されている
低音が弱め、バスドラもあるがタムの方が耳につく、ドラムサウンドの変更が大きい
ベースはキレが良いとも言えるなぁ、ベースが聞こえないというより全体的に中音域に寄せている
ちょっとミクスチャーとかラップメタル的な音にしたかったのだろうか、この当時のトレンド?
歯切れが良い音とも言える、アタック音を強くしたかったのだろうか
ドラムがけっこう前面に出てきている
ギターは整理されている、前作、前々作のような塊感がやや減った
1stに戻ったとも言えるかもしれない、プロダクションはだいぶ良くなっているけれど
ギターの刻みの残響音が聞こえる、1曲目は勢いがある曲、という不文律は守られているようで勢いは感じるがけっこうミドルテンポだな改めて聴くと
ギターリフに対してメロディが絡み合う、ギターの手数は少な目で、少しアラビックな雰囲気もある下から上がっていくフレーズ
けっこうギターメロディにクローズされる
そこから疾走パートへ、リフとドラムがけっこう一体化している
少しポリリズム感は弱まったかもしれない、ただ、ところどころベースも暴れてるな
クリフ不在というのもあるが、音が意図的に整理されている感じがする
むしろニューステッドの方がオンタイムでドラムやリズムギターに合わせている?
だからまとまった感じになって、整理された感が出たのかも
このころからスタジオワークの精度が劇的に上がったのかもしれないが
絡み合う感じは残っているが、整理された感が強い
★★★★☆

4.One 7:24
戦場のSEからエレキのアルペジオ
リバーブがけっこう少ないが生々しいまでは行かない音作り
アルペジオのパターンが変わる、少しづつリズムが変化していく
そこからクラシカルなフレーズへ、このメロディセンスは昔から変わらないな
リズムのひっかかり、拍を少し巻き上げる感じが強い
3小節で循環しているのか、ワルツ的な
ちょっと引っ掛かるようなリフ、セパルトゥラ当たりの影響もあるのだろうか
アルペジオの中で同じ音を2回続けて弾くことで引っ掛かる感じを作る、というか
アライズで使われていたような気がするが
どこが出所なのか分からないけれど、このころテスタメントとかも使っていたような
3拍子だが小節ごとにドラムの表と裏が変わる? ような作りがあるな
あからさまなポリリズムだな、分かりやすく要素を分解している
前作までで構築した一体化されたメタリカサウンドを分解して、整理したような印象
ただ、整理された分、反復感は増しているとも言える
うーん、なんだろう、音作りの影響も大きい気がするなぁ
やはりリズムがタイトになったのが大きいのだろうか
すべてのリズムがオンタイムというか、しっかり合っている感じというか
「気が付くとずれている」ではなく「凄く明瞭な意識のままでずれていく」という
プログレメタルまで醒めてはいない、知的な感じはないが
ああ、酩酊感は減っているのか、曲構成としては反復とかパーツが増えているが、全体としての酩酊感は減っているのかも
明瞭だから
ドラムのちょっと醒めた、後ろノリのグルーブは最初から実は変わらなかった
やはりベースの変更なのかもなぁ、グルーブのひとつの要素が変わったんだ
★★★★☆

5.The Shortest Straw 6:35
ひっかくようなリフ、ヘヴィさはあるがそこそこアップテンポ
リフが変化する、けっこう荒々しい展開だな
ただ、音がクリア、すごく整理されているから荒々しさは薄れている
おとなしいというか、ベースが聞こえないということはない(ヘッドホンだし)が、フレーズが一体化してるな
これは意図的だったのか、まぁやはり力関係はあるよな
すでに出来上がったバンドに加入するわけだし、最初からどんどんフレーズを足していくようなことは難しかったのだろう
リフと一体化していて、ユニゾン感は強い
これ自体は悪くない、そういうのが売りのバンドもいるわけだが、前作、特に2ndと3rdにあったリズムが絡み合うポリリズムの混沌と高揚感が薄れている
その分明瞭でクリアな曲構成が残り、歌メロは強化された
ドラムと歌が骨子として出てきた、前は歌もリズムを構成する要素の側面が強かったのだけれど
ギターソロもくっきり聞こえる、リフと分離している
多分、自覚的に分解しすぎたのもあるのだろう、一つ一つの音の精度や自信は強い
ただ、自然と体が動いてくる、暴れたくなるような衝動が湧き上がってくる感じが減った
静かな熱狂というか、もともと理性的にコントロールされていた(リズムはかなり正確さを優先させる)音像だったが
それでもじわじわ盛り上がってくる、熱狂が生まれる、体が動き出す感じが合った
この曲も後半ではそうした感じは出てくるが、ちょっと理性が強くなっている
終盤、リフの刻みとドラムが絡み合う感じはそれがやや戻ってきた
★★★★☆

8.To Live Is To Die 9:48
クリフにささげる曲だったかな、やや陰鬱なドラム、葬列のような
もの悲しいギターサウンド、音は細目でリバーブは薄い
ちょっともの悲しい響き
だんだんと力強いリフが遠くから響いてくる、哀しみを打ち破るように
ひっかくような、引きずるようなリフ
ただ、タムの音がクリア、明瞭に音が分離している
これは音作りだけの問題でもないのだろうなぁ
リフの執拗さ、リズムが絡み合う感じはある、ギターメロディも入ってきた
自分たちの作ってきた音楽の快楽というか本質的な部分を分析して再構築してしまったのかもしれない
そうせざるを得なかった、というか
バンドサウンド、今までのメンバーで出ていた音が変わったなら一度分析しないと再構築できなかったのだろう
リフとかアイデアの質は変わらない、ただ、一体感的なものが明らかに減っている
音がクリアになり明瞭になって分離が良くなった
良いことと言えば、メジャー感は増している、説明的というか
各パートがきちんと理由があって配置されている感じは受ける
それぞれのメロディの質も高く、作りこまれた感じがする
途中でラジオから流れるようなアルペジオに、音が遠ざかる
フェードインしてくる不思議な音、サイケな音空間
サイケだが、音はクリア、前作までと違った酩酊感がある
メロディは美しい、感情やシーンが浮かぶ
インストだからか、ボーカルとドラム主体ではなく、リフとドラム、ソロの絡み合いが重点的に
だんだんリフの音が厚くなってくる、曲の中で音が厚くなる、音圧が強くなる手法は健在
ONE以降、後半曲は特に顕著な気がするが、音作りに耳が慣れたということもあるのだろう
パートが切り替わる、リフを反復して酩酊する、ストーナー的な曲
うーん、確かにメタリカってそもそもサイケなのかもなぁ
ドローン音みたいなのが多いし、同じ音階でリズムを細かくして言ってポリリズムで酩酊させる
これはまさにインド音楽的でもあるし
ドローンとは空間を埋める音だが、それがかっちりと区切られる、それをギターリフが行うわけだが、それによって空間全体が切り裂かれるような効果が生まれる
アコギのフレーズが戻ってくる
★★★★☆

9.Dyers Eve 5:12
そのままドラムが鳴り響き次の曲へ、おお、最初と最後が勢いがある
というか、最後の曲は勢いが強い、という構成は残っているのか
すこしクールダウンしてから疾走に、ああ、1stに近い作りなんだなやはり
刻みが早い、これ、ニューステッドはどうしていいか分からなかったのもあるんだろうな
リズムというかグルーブは難しい、ハーモニーはついているが、別リズムみたいなのはいきなりは出なかったんだろう
何度も書いているが、むしろリズム隊としてはタイトになっている、一般的な意味では
だからバンドサウンドとしては整理された、むしろ「うまくなった」とも言えるのかもしれない
そうだなぁ、クライブバーからニコマクブレインにメイデンのドラムが変わったおと同じような
それによって独特のグルーブは減った、魔力の刻印から頭脳改革への変化に近いのかもしれない
その分、整理された音像になり洗練感がまし、メジャーになったのもあるだろう
一聴時の破壊力は増す、アルバムを通しての酩酊感は減っても
後半は凄いな、力任せの勢いで押していく、盛り上がる感じがある
あ、今回のメタリカアルバム評価については星はメタリカ内の相対評価
一般的な新譜の星とはちょっと違います、だってだいたいどれが名盤としての評価とかすでに定まっているし
改めて聴いてみて、自分の中での盛り上がり感を比較している
★★★★☆

Metallica(1991)

1.Enter Sandman 5:29
なめらかなエレキギターのアルペジオから、リバーブは薄いがかかっている
ファズの効いたギターコード、ドラムが入ってくる
ドラムは重め、ギターのリフへ、ギターの音はエッジが立っている
音の良さが戻ってきた、低音がしっかり芯がある
ドラムの音がカンカンしていない、分離は悪くないが楽器隊の音は一体となっている
ベースの低音、リズムギターの低音、ドラムが混じっている
ボーカルメロディが前面に出ている、ハーモニーのつけかたが上手い
タムの音が多少浮いて聞こえるのは前作から継続している、ただ、前作程浮いてはいない
ボーカルハーモニーが入るパートではボーカルが前面に出る
ただ、ボーカルとリズムが絡み合う、楽器隊が一ひいてボーカルにスポットを当てて、ボーカルフレーズが終わったら楽器が戻ってくる、という構成は変わらず
ボーカル対楽器隊、というか、そこのコールアンドレスポンス的な構造は維持されている
ボーカルメロディだけ、というより、リズムも構成要素というか、リズムの歯切れが音楽の快楽構成要素として重要
ギターリフの反復リズムとボーカルのリズムパターンは少し違う
ギターソロはそこまで前面に出ない、修飾音としての構成
ちょっとポリリズム感が戻ってきた、ベースも存在感を増しているというか、ちょっと独特のタメとかが出てきた
基本リズムギター、リフと絡んでいるのだが残響音とか、そのあたりでゆらぎが出ている
★★★★☆

2.Sad But True 5:24
やや控えめな音量に、出だし少し小さい、だんだん音圧を上げる手法が戻ってきたかな
音作りは3枚目あたりの印象に近い
リバーブも前作より強めかも
ヘヴィなリフからのブレイクのあと、疾走するパターンかと思ったら長めのブレイクでそのままヘヴィなリズムを続ける
という
これは当時のメタリカファン、リアルタイムではじめて聞いたら「疾走しないんかい」と思ったかもな
その分、ブレイクが長めというか、慣れると快感になる
これもリフ隊とボーカルのリズムパターンが少しずれている
ドラム、リズムギター×2、ベース、ボーカルで少しづつリズムがずれてポリリズム的快楽を生む構造が戻っている
ところどころのブレイクで帳尻が合うわけか、酩酊感が増してきた、サイケ
ソロパートは70年代テイストが強い、反復、コード展開はあまり感じない、同じリフの反復
コーラスも左右に揺れるようなサイケな音作り、ギターフレーもブルージーだがフレーズというより修飾音
リズムパターンは展開していく、ずらす、これはむしろ2nd、3rd回帰だったのかもな
新し音、というわけでもない、もともとヘヴィな曲はあった
ただ、この曲は途中疾走パートがない、徹頭徹尾ヘヴィさを重視したのは新機軸かも
★★★★☆

5.Wherever I May Roam 6:42
エジプト、アラブ的音階、最初のギターの音作りも少し不思議な弦楽器感
そこから重厚なドラム、ベースの音の低音が効いている、これはベースがうねっている
ベースの低音を強めて、リフの範疇からはみ出してうねるようになっている
少しアップテンポになってまたヘヴィに戻る
これはヘヴィブルースとも言える構成だな、ボーカルラインはそう
ハードロックの王道的な構成でもある、リフもしっかりあるし
これはかっこいいな、各パートが上手くかみ合ってる
ボーカルパートもうまく使いながら反復、酩酊感を出している、サバス的
曲の中でテンポが切り替わるのも自然で上手い
歌メロというかメロディが魅力的、けっこう(この時点の)メタリカにしては新機軸なメロディ
メロディへの展開のスポットの当たり方とリズムの変化がいい感じ、どちらかだけに依っていない
ソロの終わり、ドラムが少しつっかかるというか、多少無理やり展開を早めてボーカルパートに戻る、みたいな感じが面白い
ライブでインプロやっていたところで「そろそろ曲に戻ろうぜ」みたいな
そういう「ライブ感」をうまく出している
この曲はだんだん熱量が上がっていく
前作(メタルジャスティス)ではすごく整理されていた音がバンドの熱量、ライブ感を感じるようになってきた
★★★★★

7.Through The Never 4:01
刻みのリフ、アップテンポに感じる
音程移動が激しい、スラッシーなリフ
そこから刻みのリフへ、これはオールドマナーなスラッシュメタルだな
ただ、テンポそのものはそんなに早くない、そもそもラーズってミドルテンポのドラマーなんだな
リズムを刻んでいく、ボーカルも含め、曲のリズムを変える
小節を縮めたり延ばしたりする、刻みは細かいがドラムはどっしりしている
ゆったりした酩酊感というか
ところどころで細かく手数足数を増やしてくるな
70年代ハードロック的なテイストもある、ソロ部分とか
ソラララソラララというバックのリフ、けっこう古めかしいというか
シンプルな構成のハードロック的、間奏はそうだな、ドゥーム的
同じ構成を反復するし、お、声が左右から、リバーブが効いている
この辺りはホラー的な演出というか、B級ホラー映画的な
そこからまたリフへ、ちょっとチープでゴシックでホラー的、この遊び心が戻ってきたのはいい
やっぱり4作目はシリアスすぎたんだな、演奏も凄く注意を払っている、緊張しているような感じもあったし
好きなタイプの曲
★★★★☆

9.Of Wolf And Man 4:16
勢いのあるリフ
ドラムとリフでリズムを作った後に、少し違うリズムでボーカルが入ってくる
ベースはリフに埋もれてるな、メタルジャスティス的な音作り
あ、コーラスになる辺りからベースがハーモニーになった
コーラスも含めて多重化してきた、なるほど
ボーカルのポリフォニー、いろんな声が出てきて掛け合うパターンか
やはり全体的にリズムへのこだわり、ポリリズムが強い
リフも複数のリフで頭の拍のタイミングを変えている
多少ランダムというか、どこに拍がくるか分からないところがある
ギターソロの後ろの演奏はプログメタル的な変拍子
アルペジオがあって刻むリフ、静けさの中に潜むような
これもちょっとホラー風味か、狼男、満月の下で変身してしまうような演出
そういえばボーカルの掛け合いもちょっとパンク的だな、ミスフィッツとか、あのあたりのホラーパンクのイメージなのかな
なんとなく楽し気な曲
★★★★☆

Live Shit: Binge & Purge(1993)

3.Harvester Of Sorrow 7:18
MCが入る
カウントからリフへ、2曲目と同じ音の感じ
ああ、こういうミックスなんだな、ライブ感が強い
確かに、昔聞いてそれほど音が良くなかった(分離していなかった)印象があったな
今聴いても変わらないな
ライブ感、塊感がある、アルバムとは明確に違う音作り
これはこれで面白い
かなりメロディアス、ボーカルのメロディが浮き立って聞こえる
この曲はアルバムよりよく聞こえるな、これメタルジャスティスの曲だよな
テンポが上がっているし、ヘヴィさ、低音、ベースの存在感も増している
各パートが分解されたような整理されたアルバムバージョンより、混然一体となった勢いがあるこちらの方が良い
より酩酊感が増している、もともとサバス的、ドゥームな感じだったが
ライブ盤だとスカッとした爽快感と勢いも加わっている
変な間からの妙なタイミングでの曲が戻ってくる、何かステージ上の仕掛けがあったのかな
ドラムの拍が変な入り方をしたな、こういう「タメ」が面白い
本当に70年代のHR的というか、ロックのマジック、魔法的なものを取り戻したというのは事実かもなぁ
ツェッペリンやパープル、一度断絶する
★★★★☆

6.Of Wolf And Man 6:52
けっこうMCが入るな、MCからスタート
引きずるようなリフ、からのリズミカルな刻み
ポリリズム、リフとドラムとボーカルがリズムを変える
ドラムはベースとなる基本的なフレーズ
リズムをたたき出し、ところどころ変わったテンポを入れる
ギターは細かいリズムを刻む
ボーカルもリズミカルに煽っていく、ハーモニーでメロディが強調される
リズムの合間、複数のリズムが組み合わさって音の渦を作る中をボーカルが力強く切り裂く
なるほど、ライブだとボーカルの存在感が増すんだなぁ
カークのギターソロもけっこう脚光を浴びる
これ、コーラスはニューステッドか、けっこういい声してるな
ギターソロ、他の音が消えてフィードバックノイズ的な音が多く出てくる
そこにベースが入ってくる、ベースとギターソロだけの組み合わせ
微かなホワイトノイズが乗っている
★★★★☆

8.Justice Medley 9:38
ドラムの連打、ギターリフの刻みと絡み合う、リズムの組み合わせが心地よい
リフがあまり音程が展開せず、リズムの絡み合いを続けることによる酩酊感、リズムミュージックとしての心地よさ
だんだん拍が変わっていき、一部音程移動が出てくる
ライブに勢いが出てきた、ギターの音の分離も良い、きちんと分離してそれぞれが独自のリズムを奏でて絡み合いつつ
ユニゾンでリズムの拍が合うときの快楽がある
だんだん音が良くなってきた? 2曲目が一番塊だった気がする
ドラムパターンが変わり、四つ打ちからリフが入ってくる
ラーズのドラミングはやや後ろノリのミドルテンポ、エイトビートが基本だが、バスドラやタムのアクセントを小節ごとに変える
後はそこからタメに行くというか、タメに行くときはリフがリズムをキープしていて、リフに対するカウンター、合いの手として機能しているのかな
さんざん言っているが、ギターリフ(おそらくベースも含む塊)、ボーカル、ドラムがリズムを奏でていて、どれかがリズムをキープして、それに対して少しずらす、次はずらしたものが基本リズムとなってさらに変化していく、みたいな構造が多い
ベースも時々繋ぎになる、ソロみたいにして出てくるがリズムギターと一体となっていることの方が多いのかな
全体のハーモニー構築には重要
メロディ、ギターリフのメロディ、ハーモニーも気持ちいい
欧州メタル的、ボーカルラインも心地よい、ところどころに入るギターのおかずが上手い
メロディが展開していく、ライブ盤だとなめらかで心地よく勢いで聴けるな
リズムが変わっていく、ボーカルに対して絡みつくリフパターン、全楽器が均一になっているな、いいバンドサウンド
これ、メドレーか、曲構成がさらに目まぐるしいな
次々とリフが出てきて変化していく、あとは全体のブレイクというか、音がなくなってからユニゾンで戻ってくる
みたいなのを多用する、できる、それぞれが曲のリズムを把握していて、リズムいどう譜を割り付けるかの意識があるから音を止めたり戻したりできるんだろうなぁ
★★★★☆

12.Fade To Black 7:12
アルペジオに変わり、ギターメロディが入ってくる
アルペジオはジェイムス、左チャンネル
右チャンネルがカーク、左右がはっきり分かれているのはライブ盤ならではだな
カークがソロを弾く、メロディはあるが空間を埋める音のような
オブリガート、独特なメロディセンスはあるよなぁ
ドラムとベースが入ってくる、コードが展開しはじめる、ドラムが区切りをつけて曲が進んでいく
なめらかな展開、曲の移り変わりが流麗
小節ごとにドラムがアクセントを変える
繰り返すボーカルメロディ、ボーカルも反復だな
山のようなリフ、押し寄せる、反復する、長めに反復した後ギターメロディへ
これはギターの音の感触も明るめ、ただ、引っ掛かる感じは強い
全体的にディストーションは強めだな、耳にはなかなか厳しい感じの音
完成度は高いがスタジオ盤より耳に刺さる、生々しい音というべきか
左右でハーモニー、ツインリード、ゆったりとした展開
ツインリードだが音が薄くならない、展開の一部感
おお、ツーバス、珍しくラーズが叩きまくってる、それほど疾走感を重視していないが手数が多い
カークも音数が多い、速弾きというより高音で盛り上げる、感情的なフレーズ
クライマックス感がある
そのまま乱打して終曲
★★★★★

Reload(1997)

10.Prince Charming 6:04
リフ、勢いがある、最初からドラムが裏打ちにずらす
そして同じタイミングで入る、これも8と同じ、けっこうエネルギッシュな曲
おお、本当に5以降の流れがいいな、4も悪くないが「以前の曲と同じメロディ」なのでちょっとなぁと思ったが
そこからどんどん畳みかけてくる、馴染みのメロディで一度耳を惹いてから新しいパートへ行くのはいい構成
この曲はカッコいいな、単純に、イキイキしているし
ギターの音もボーカルも、ドラムもオンタイムというか冷静さや重量は感じるが前のめりで叩いている
ベースも絡み合っている、バンドサウンドが戻ってきた
途中、テンポが遅くなるがロック的なリズムは保たれている
この曲は良い曲だな、埋もれているのが惜しい
ギターサウンドはだいぶ違うもののジェイムスの独特の語尾、歌い方、リズムの絡み合いがメタリカ印
明るめでブルージーなアメリカンハードロックをしっかりメタリカの語法でやっている
ベースもガンガン前面に出てくる、ニューステッドが開花している
Loadの後、Reloadまでの間になんらかの反省というか、パワーバランスか心境の変化がバンド内部に起こった気がする
全体的なバンドサウンドが再生している
★★★★☆

S&M(1999)

8.No Leaf Clover 5:43
前の曲からシームレスに続く、オーケストラだけで再び進み始める
スターウォーズの砂の惑星の音楽のような、やや幽玄な響きに
ギターリフが入ってくる、バンドが入ってくる、曲がスタートする
映画的だなぁ、ナイトウィッシュとかも連想する
この曲は映像的、むしろオーケストラが主体でそこにバンドサウンドが乗っている
オーケストラバックのボーカル曲で、ダイナミズムの拡張としてバンドがある感じ
これはオーケストラに合う曲、というか、オーケストラバックの曲って50年代ポップスとかにはけっこうあったわけで
そういう管弦楽をバックに歌い上げる曲、という趣がある、シナトラとか
オーケストラはけっこう雄大でじっくりとしたフレーズを奏でる
途中、バンドサウンドが前面に出てくる、岩や山のような音
バンドサウンドの基本はReloadの時から連続しているな、ちょっとストーナーというか、一体となった塊感がちょっとある
背景の山が動く、変化する様な
そこにオーケストラが加わることで空や木々、細かい情報が山に書き加えられている
それらが一斉に蠢く感じ、細かく書かれた絵全体が大きく動き回る
その中で人(ボーカル)が物語、道のりを歩いていく
★★★★☆

11.Bleeding Me 9:01
これはLoadの曲だな、ストーナー的メタリカが最初に明確に表れた曲のひとつだと思っている
最初はサイケというか、幽玄な響き、靄や霞がかかったシーンのBGMのような、事件前の回想的な
沼地、手探りで進む、ボーカルが入ってくる、ベースが蠢き、ギターはくぐもった音でアルペジオ
クリアな音でオケが入る、バイオリンが揺蕩う、雲か霞のように
ボーカルがその音の中を分け入っていく
ドラムは土台を支えている、地面というか
これ、ドラムがなかったら宙に浮かんでいるような曲だな、浮遊感があるアレンジ
ボーカルがだんだん昇り詰めていく、少し雲や霞から頭を出す
また沈み込む、オーケストラの霞が濃くなる
ワウギターが漂う、これはサイケでストーナー、オーケストラが入ったことでその要素が強化されている
ドラムの手数が増える、霧に包まれた中でボーカルと共にテンションが上がる
ただ、そこで途絶える、霞のようなオーケストラの音だけが残る、ボーカルが呼びかけるように木霊する
ギターのリフが戻ってくる、リズムを刻みだす、オーケストラ側のバスが呼応する
ドラムが戻ってくる、再び歩き出す、霞のように包み込む弦楽器隊は変わらず
その中をボーカルとドラムが進んでいく、霞も姿を変える、全体が少しづつ揺らいでいる
ワウギター、音の渦の中から、だんだんと霞が晴れていく、薄くなる、バンドサウンドが姿を現す
間奏部分が終わるとまた霞のような弦楽器が包み込む、観客を煽るコールが入る
ふたたび音が遠ざかっていく、霞に包まれる、弦楽器の靄の中をボーカルが歩く、冒頭と同じ低音のボーカルヴァース
これはドラマチック、うまく音としてのオーケストラを使ってドラマを描いている
ここでCD1が終わり、かな、フェードアウト
★★★★☆

17.Outlaw Torn 9:58
リフ、ワウが効いたギターサウンド
だいぶ後ろノリ、だんだん速度が遅くなるような錯覚を覚える
オーケストラが入ってくる、オケはもう少し前ノリというか、タイトなリズムで入ってくる
オーケストラの方がリズムに対してはタイト、オンタイム
オーケストラとベースとドラム
歌が入ってくる、ベースの存在感が強い、ギターがない
ギターが入ってきてまた去る、音の隙間が多い
これはオーケストラの解像度が上がる、バンドサウンドの引き算、そこをオーケストラが埋めている
コーラスに近づきギターが戻ってくる、オーケストラがフレーズを足す
うねるようなベース、ベースのリズムは一定ながらグルーヴ感は増している
不思議な響き、これもストーナー的、ただ、オーケストラは非常に壮大というか音がどんどん立ち上がっていく
高音に向かって上昇していく、ボーカルがやまびこのような、荒野に響くような声に
リバーブがかかる、けっこうボーカルの高音が続く
またベースとドラム、オーケストラ、ギターがかすかにフレーズを弾く
そのフレーズにオーケストラが絡んでくる、ところどころ大陸的なフレーズ、中華的というか
オーケストラで弾くとそう聞こえる
カークのギターソロ、猛烈にワウを利かせている、空から星が落ちるような音、花火の落下音のような
一通り燃え尽きてボーカルに戻る、バンドサウンドとオーケストラサウンドが混然一体となって揺らぎ、さざめく
こういうストーナー的な曲はオーケストラサウンドに合う
★★★★☆

19.One 7:53
SE、戦場の音、銃声、ヘリコプター
オーケストラが立ち上がる、音が入ってくる、ドキュメンタリーの追憶というか
どこか哀切な響き
アルペジオが入ってくる、オーケストラが違うリズム、違った感じのメロディから融和していく、これは上手い
ベースはアタック音がほぼない、メタルジャスティスの曲をやるときは存在感を消すというルールでもあるのか
低音はしっかり埋めているのだけれど
これはドラムとボーカル、ギターだけでだいたいの空間の骨格は決まっている
その余白をオーケストラが埋めている、廃墟を舞い踊る亡霊のように
ただ、アトモスフィア、雰囲気の増加には役立っているが曲構成そのものに影響は与えていない
普通に盛り上がってはいるが、そもそもちょっとオーケストラっぽいキーボード入っていたっけなこの曲
ギターフレーズに対して少しハーモニーを足す
オーケストラが主題を奏で始めた、間奏部がオーケストラの演奏でメロディが展開していく
ちょっと展開する小節をずらして、別の展開へ、次のボーカルパートへ、連打するドラム
鳴り響くオーケストラ、音程移動が激しくなる、音が上下に乱舞する
なんだかやけくそぎみだがこれは勢いがある、自然とテンションがあがる
バスドラ疾走、全力連打のような、オーケストラの疾走を経て再び間奏へ
いつのまにかベースがブリブリ来ている、ツインリード、音空間に伸びるオーケストラの力強い和音
いくつも分岐して弦楽器隊の音が伸びていく
駆け抜けて終曲
★★★★★

20.Enter Sandman 7:39
弦楽器の幽玄な響きと共にアルペジオリフへ
ギターメロディ、ドラム連打、ホラー映画的なフレーズを弦楽器が足している
これは曲のオープニングのイメージはだいぶ違う、オーケストラのリフが強い
オーケストラのリフともともとのバンドのリフが絡み合う、歌が入る、歌の合間をオーケストラが埋める
かなり手数が多い、オーケストラもテンション上がるんだな
次々と立ち上がるオーケストラの音、そこにカークのソロが混じってくる
ボーカルのハーモニー、一つ一つの音に生命力がある
ワウペダル、オケのエネルギーが強い、オケの熱量にバンドも背中を押される
コーラス終わり、不穏な和音をオーケストラが残す、そのまま音が静まっていき、次の展開
オーケストラが表情を変える、細かく刻まれる弦楽器、震えるようにして無音に
ギターリフが戻ってくる、緊迫感を足す弦楽器のフレーズ、これは曲の和音構造自体をオーケストラが加え、変えている
そのままリフを重ねてフィナーレへ、音の渦から一瞬整理されて終曲、メタリカらしい終わり方
★★★★☆

St. Anger(2003)

4.Dirty Window 5:25
リズム、リフ、連打する、そこからリフが展開する
お、アップテンポに、ハードコア的な展開
タムの音が金属的、カンカンと響く、ボーカルはややエモーショナルな歌い方
音が若々しいな、この時すでにデビュー20年ぐらいなんだが、若返ったというかフレッシュな音像ではある
むしろデビュー作とか2ndぐらいの荒々しさ
耳に残る単語を並べるボーカル、パンク、ハードコア的
けっこうリズムは凝っているが、一緒に疾走する、変化する感じが強い
途中、少しラテン的なフレーズを経てボーカルの名詞連呼パートへ
単音程で刻む、リズムとしてのリフ、ドラムが絡む、ベースも蠢く、儀式的なボーカルが乗る、トライバル
奇声から疾走へ、再びラテンなブリッジ、このパートは面白い、ちょっとダンサブル
そこから再びハードコア的な名詞連呼ボーカルパート
この曲はなめらかにいろいろなパートに行くな、ちょっと南米的なのかも、Sepulturaとか
終盤の変な声が続く中でリズムとボーカルが繰り返される辺りなど
★★★★☆

Some Kind Of Monster(2004)

2.The Four Horsemen (Live) 5:29
いよいよライブに、ギターの刻みが軽快、おお、ライブだとラーズのドラムは変わっていないな
ベースもけっこううねっている、とはいえアタックはあまり強くない、どっしりしている
とはいえチグハグな感じはないな、バンドに溶け込んでいる、馴染んでいる
ボーカルも元気、ボーカルはむしろSt.Angerで表現の幅をさらに広げた感じ
リフだとベースとギターのノリが一体になってるな
ふむ、ベースがちょっと後ろノリというか、タメも利くタイプか、ラーズとの相性がいいというか、最初から「別のグルーヴ」をバンドに持ち込んでいる
2004年からツアーの全日程を公式サイトで販売するようになったんだよね、公式海賊版というか
St.Angerはベース不在(プロデューサーのボブロックが弾いている)だったし、録音終了後の加入だからトゥルージロのお披露目リリースがだいぶ先になってしまうことを懸念したのもあるのかな、ライブをどんどんリリースするようになった
実際、ライブの状態がいい
★★★★☆

Death Magnetic(2008)

1.That Was Just Your Life 7:10
鼓動音からスタート、かなりズレ感のある不協和音のリフからスタート
ここまで不協和音が前面に出ているのはメタリカにしては珍しい
ドラムの音は硬めだがカンカンしたドラムではない、ギターサウンドは塊感はあるがエッジは立っている
また新しい音だな、勢いがありつつ全体感もある、いい音かな
けっこう生々しさもある、おお、St.Angerからの遺産も感じる
やはりベースとドラムの相性はいいようだ、ドラムが浮いている感じはない
ミックスとか、デジタル録音技術の進化もあるのだろうけれど
ブリッジのメロディが新機軸、St.Angerで幅を広げた歌唱法や、メロコア(メタルコア)的な手法も取り入れている
とはいえメタルのエッジが強い、リフも刻み感がある
リフの途中からツービートで走るのはハードコア由来的か
生々しい、ザクザクしたギターにちょっとアジテーション感もあるボーカルがヴァース
ふむ、音作りはだいぶ違うけれど、曲そのものはSt.Angerに入っていてもおかしくない曲だな
音が明るめというか、ハキハキしている、機械的なザクザク感も戻ってきた
おお、ギターソロが戻ってきた、やはり風景が変わっていいね
リフがけっこう音程移動が激しい、メガデスみたいなリフだな
ベースラインもユニゾンで動いている、グルーヴが強まっている
ツインリードへ、この曲はなかなか新しいな、St.Anger的な要素に一瞬メロスピ要素(終盤のツインリード)を足して、そこに従来のメタリカ的な要素が加わっている
いわゆる「スラッシュメタル」の音像、ビッグ4ツアーも影響した?
★★★★☆

3.Broken, Beat & Scarred 6:25
分断されたリフがだんだんとつながっていく
ヘヴィで、Budgieのようなリフ、人間椅子的というか、ちょっと和風なメロディでもある
歌メロが魅力的だな、これは面白い、実は新機軸だがらしさがある
ヘヴィなリフだが途中で刻みやちょっと跳ねる感じもあって面白い
Loadで回帰した70年代、Reloadでストーナー的な世界観を打ち出し、St.Angerでメタルコア的なメロディ
それらを踏まえて初期メタリカのリフ構造やツインリード、欧州メタル的なパートを組み合わせて先に進めている
後、コード展開のバリエーションが増えたというか、不協和音をうまく使うようになった印象
スラッシュメタル回帰、実はスラッシュメタルの代表的なバンドと言われながらいわゆる今のスラッシュメタルにあまりつながっていないような気がしたのだが、このアルバムの音像は近い
むしろ一巡して、そういう要素を取り入れたような印象
Testamentの2020年作とかにも近い感じ
★★★★☆

Lulu(2011)

5.Iced Honey 4:36
間髪入れずにスタートするがちょっと場面が変わる、LPだと面が変わったのかな
これ、70年代、いや60年代後半の空気感もある
Loadで拡張した、手を伸ばしたところにたどり着いた感じはある
この曲はかっこいいな
グラム期のボウイ感も、、、と、ルーリードを比較したら失礼か、彼もオリジネイターだからな
ただ、音楽性の変化が著しい人だった
「メタリカサウンドの上」に乗ろうが、ルーリードはルーリード、というのはそういうところ
それはボウイもそうだったな、サウンドがアルバムというか時期ごとに変わる
ふと思うと、これはルーリードでなく、たとえばボウイでも良かったんだろうな
ただ、やっぱりアメリカ人同士ということもあるし、ボウイとは縁がなかったのだろう
これはメタリカサウンドを前進、拡張させる試みだ
賛否両論を生みながらも先見の明というか、シーンが動く
影響を受けた若手がやがてムーブメントを作り出す、そういった動きを起こす力がメタリカにあある
★★★★☆

Through The Never(2013)

6.One 8:25
SEからスタート、戦場の音が左右から響く、空間を感じる
映像でもここはかなり派手に、ステージ上で銃弾で土埃が舞ったりパイロが噴き出たような
それなりにベースが存在感がある、フレーズというよりやはりタイミングの問題もあったんだろうなぁ
確かにジェイムスのリフと近いベースラインだけれど、トゥルージロは少しタイミングをずらしているような
ドラムに呼応している
演奏がかなりかっちりしている、なんというかスタジオライブ的な完成度というか
寄せては返す波のようなリズム、波状攻撃
バンドのグルーヴはイキイキと脈打っている
曲の長さは感じさせない、ドラマティックに展開していく
★★★★☆

8.Wherever I May Roam 6:18
インド的、エジプト的というか、少したわんだリフが響く
そういえばこれ、デフレパードのS.L.A.N.Gもこんな雰囲気がちょっとあったな、同時代だっけ
でも91年か、そういえばエアロもNine Livesでインド音階入れてたな
そのあたり、メタル界のメインストリームに90年代で取り入れたのは早い曲だったのかな
まぁ、パワースレイヴはもっと前だけれど、ちょっと違う流れな気はする、もしかしたら黎明期にあったフォークメタルの流れかな、いや、あれはもっと後か
リフ自体の音階もけっこう独特だよなこれ
考えてみたらZeppかな、ブラックアルバムからこの辺りを取り入れ始めたのか
インドというより北アフリカか
音が洗練されている、癖がない
これリリース当時からそうだったのかなぁ、今聴いているのはリマスター音源だと思うが
デスマグネティックのラウドネス問題を経て、Luluで生音というか加工しすぎない録音も覚えて、この音になったのか
★★★★☆

11.Master Of Puppets 8:25
ザクザクしたリフ、このサウンドでもギターサウンドが耳に優しいというか、どこか丸みもある
いい音だなぁ
リズムの組み合わせもカッチリしながら有機的
ドラムも重量感がありつつ軽快さもある
凄いな
ああ、最近のメイデンのライブにも通じるものを感じる、もともとメイデンはギターの音が洗練されているからね、ウーマントーンというか
相互に意識し合ってはいる、影響を与え合ってはいるのだろうけれど
特に「音響」はトレンドが強い、時代によって変わる
再生環境が変わるし、たとえばストリーミング主体なら圧縮音源で良く聞こえるようなミックス、とか
ハイレゾ配信になるとまた音のトレンドも変わるし、あるいはビルボードではスーパーウーハーみたいな超低音もあるし
メタルバンドのライブの音、はだんだん洗練されてひとつの方向に向かっている気もする
ザクザク感はあるが引っ掛かれる感じはない
★★★★☆

12.Battery 5:14
お、ギターサウンドが変わった、ひっかくような音が少し入ってきた
そこからパイロ、暴力的な響き、迫力が増したというか
適度なバランスではあるが、音の芯が強まった
スラッシュメタルの源流、と言われるが、SlayerやAnthrax、Megadethはもうちょっと速くて荒々しかった気がするんだよなぁ
この曲は速いけれど、そもそもメタリカってあまり疾走曲はない
疾走パートがある曲は多いけれど
途中でブレイクしてMC、再び走り出す、これも余裕を感じる
ただ、疾走感は余裕をはみ出してるな、速力が高い、フルパワー感、少しはみ出た感
ボーカルが入って少しテンポが落ち着く、有機的にバンドが絡み合う
終曲寸前、リフパートで加速する、ここは走る感じが強いな
迫力がある
★★★★☆

13.Nothing Else Matters 7:22
違った感じのアルペジオ、カークのギターソロ的な、なんだっけこのコード進行
ちょっとクラシカルで美しいフレーズを奏でる、カークは音の粒が美しい
そこから馴染みのあるアルペジオとメロディに
壮大、これは今回のサウンドに合っている、この曲は化けた
もともといい曲ではあるけれど、このサウンドにあっている
★★★★★

15.Hit The Lights 4:40
トラブルで曲が止まったまま次の曲へ、ステージセットが半壊の状態でライブが続く
いきなり怒涛の音圧、ギターをかき鳴らしてドラムも連打
音圧が上がった? ちょっと音にザクザク感と勢いが増した
ああ、ヌケがいい音だな、今のジェイムスの声で歌うHit The Lightsもまたいいな
やはりどこか青さはある曲、ドラムもバタバタと走り回る
ボーカルも吐き出す、おお、曲が進むにつれて声が若返ってきた、キルエムオールがフラッシュバックする
ふと思ったが、この曲ちょっと無理やりな展開がManowarっぽさもあるな、途中「Kill」とか叫んだから連想しただけかもしれないが
初期Manowarのやけくそ気味な感じもある、勢いで押し切る的な
おお、ラーズがさらに走っていく
カークも弾きまくる、終曲
★★★★★

Hardwired...To Self-Destruct(2016)

1.Hardwired 3:09
ドラムが激しい、やや耳に刺さるような音
音のひっかき感が戻ってきている、連打して疾走する様なリズム
やはりThrough The Neverの聴きやすい、丸みを帯びた音の方が異質だったんだな、サントラとしての意識があったんだろうか
ギターはうねるがドラムは疾走気味、スラッシュマナー
先に進む、疾走するという意思か
何気に8年ぶりのアルバムなんだな、途中Luluはあるが
かなり直線的な疾走、ここまで直線的なのは久しぶり
歌メロからはメタルコア感やメロコア感がなくなった
★★★★☆

2.Atlas, Rise! 6:28
少し音圧が下がるのは変わらず、というか1曲目のアタックが強い、ギター音のひっかく感じを意図的に強めているのか
聴きやすくなった
ブリッジでブレイクダウン、サビはメタリカらしいメロディ
NWOBBHMというか、ちょっとしたフック、欧州的
奇を衒わず、無暗と拡張もせず、王道のメタリカサウンドという感じ
ただ、ここまで見てきたようにメタリカの音像はアルバムごとに違うしかなり拡張してきている
その中の「王道」というのは実は難しい、人によってイメージが違う
キャリアをかさねてくるなかで、本人たちにもファンにも「求めるメタリカ像」「求められているメタリカ像」みたいなものがついに一致してきたのだろうか
ついに「メタリカサウンド」が確立した、とも言えるか
これは初期の感覚もありつつ、メロディセンスはよりオープン、普遍的な魅力を持っている
デスマグネティックの流れにある曲、ただ、もっと手触りが硬派だなぁ
やはり音がいい、音のバランスが良い
聴きやすさと攻撃性のバランスも、各楽器の分離と一体感のバランスもいい
★★★★☆

4.Moth Into Flame 5:52
印象的なリフ、確かにモスと言われたら羽音のような
そこからブンブンとリフがスタートする、これはかっこいい曲だよな
なんというかメタリカらしいメロディでフックがある
かっこいいメロディ、リズムもけっこうギターとドラムが絡み合う、ぶつかり合う
ボーカルのタイミングもそこにぶつかってくる、ベースがボトムを支える
途中から加速するパート、なんというか勢いがある
今までにありそうでなかった曲、新機軸
ヘヴィミュージックのど真ん中で、新しさを感じさせつつきちんとメタリカらしさがあってカッコいい曲
こういうことをやってのけたのは凄い
ベクトルをずらさず、真正面から打ち抜いている、アルバムタイトル通りか
自分の枠の中にあえてハマり、それを打ち破る
★★★★★

6.Halo On Fire 8:14
えも言われない音、リフからメロディアスなリフ、懐古的といえば懐古的、NWOT(Traditional)HM的な
ギターハーモニーからアルペジオへ、コード進行はやや不穏
ちょっと変わったメロディ、アルペジオ自体はメタリカっぽいがボーカルメロディはイマドキっぽい
ゴシックというか
これもホラー風味、80年代HR、HM的な雰囲気も持ちつつ少しショックロック的な、ホラー風味と分かりやすさ、ダークなポップさがある
吸血鬼にドッキリ! みたいな、オジーが歌ってもサマになりそうなヴァース
ああ、これはオジーっぽくもあるな、サバスではなくオジー
間奏、途中からメロディに対してリズムが前食っていく
全体的には落ち着いている、暴れまわるような感じはなくどっしりしているがどこかザワザワしている
間奏の途中からわずかにテンポアップというか、力強さが増す、速さを感じる
わずかにBPMも上がっている? コード進行が展開する、ちょっと北欧的なコード進行
そこまでザクザクはしていない、引っ掛かりはあるがなめらかに展開していく、メロディもリズムも
ちょっと音的にはサイケ、ストーナー的かも、後半は酩酊感が出てきた
Reloadの頃の音像、ああ、これDMLのアルターエコーに影響を与えているのが分かるな、終盤のギターフレーズ反復とか
★★★★☆

8.ManUNkind 6:57
アルペジオ、ちょっとメイデン的なスタート
ああ、ベースのアルペジオだからそう感じるのか
スティーブハリスのようにバキバキは弾かないが(音作りも違う)、でもトゥルージロも指弾きだし、ちょっと近いものはある
お、変わったリズム、マリリンマンソンとかマイケミカルロマンス的な
うねるリズム、ギターがかなりうねっている、これは新機軸かもな、こういう系統はあったがだんだん振れ幅が激しくなっている
サバス的といえばサバス的な、予想がつかない雰囲気の曲
ストーナー的か、ギターの音が太くて低い、音もちょっとサイケ
声がリバーブ、ディレイがかかってコダマする、おお、これは酔うねぇ
リフとドラムは噛み合っているようなずれているような、周期が少し違いながら定期的にかみ合う
歌メロがしっかりとあり、風景を変えていく、この辺りの作曲の練り込みは流石
ワウが生き生きと、いや、一面を埋め尽くす勢いで鳴る
それに負けじとリフ、ドラムも重さを増す、ギターソロの波とリフがせめぎ合ってボーカルが戻ってくる
妙にポップというか、明朗なメロディだな
そのあたりも含めてサバス的、かっこいい
ジェイムスが得意の「~~ンナァ!」という歌いまわしで終曲
ここまであからさまにやるのは実はそんなにない
★★★★☆

10.Am I Savage? 6:30
ゆっくりとしたベース、アルペジオ
おお、これはストーナーというか、DMLのアルターエコーに影響を与えたのが分かるPt2
ティムクリステンセンが影響を受けた10枚を上げていたが、そのほかのアルバム(MONOとかYOBとかBellWitchとか)にも通じる
スペーシーでストーナー、サイケ
途中しゃくりあげるようなようなリフにテンポよく言葉を載せていく
ずしりとした重いテンポだが、音作りはかなりガレージ的、塊感がある
後半、CDで言えば二枚目はけっこう酩酊感の強い曲が多い
なるほど、Reloadの路線もひとつの完成形というか可能性を感じていたのだけれど、どこを掘り下げて進化しているな
前半はデスマグネティックの流れに初期、メタルマスターやライドザライトニングのころの感覚を取り入れスラッシーかつカッチリした感じを
後半はReloadの音像、ストーナー的な音像を深化させている
★★★★☆

12.Spit Out The Bone 7:09
疾走系、やはり最初と最後が疾走系、というジンクスは守るんだなぁ
けっこうメタリカのアルバムは「お約束」がある
・1曲目は音圧高め、エッジが立った音響の比較的(アルバムの中では)アップテンポの曲
・2曲目以降はちょっと音が控えめになる(相対的に)
・最終曲はだいたい一番速い曲、少なくともアルバム内では速めの曲
これは1st的な、やけくそ気味な疾走をする曲だなぁ、ちょっと前のめる感じがあるというか
ラーズが無暗と後ろノリをしなくなった、けぅこうオンタイムに近いところを叩いている
ちょっと後ろノリはあるけれど、ニューステッド期に編み出したスタイルだったんだなぁ
1stのころからその傾向はあったけれど、今は昔に戻ったような、ノリが軽快というかより自然になった
フックとか、アクセントを小節ごとに変えたりはするけれど
途中から引きずるようなリズムに、ブレイクダウン、かなりしつこく反復する、そこから疾走へ
これは初期っぽい曲だなぁ、意図的に初期のころの手法を使っている
あまり音程移動せず、刻みのリズムを変えることで変化するリフ、絡み合うドラム
そこからメロディアスなリフに行き、展開していく
この曲はボーカルメロディが初期っぽい
★★★★☆

S&M2(2020)

4.The Day That Never Comes 8:27
サントラのようなスタート、オーケストラだけのサウンドから
デスマグネティックの曲か
オーケストラからバンドサウンドが入ってくるのが自然、もともとオーケストラが入ったロックバラードと言われても違和感がない
オーケストラとの音の融合度合いが高い
コーラスになり、バンドのダイナミズムが上がり、アクセントを強調するところでオーケストラも一緒にアタックする
これはちょっと大仰すぎるかな
最初のアルペジオ~ヴァースのオーケストラは自然で、メロディに合っている
けっこうラーズのドラムが遊んでいる、リズムが有機的というか、揺れる感じがある
不安定というよりは、感情のままに揺れるような、自由度が高め
S&M1の時より音が有機的ではある、あの時はかなりカッチリしていた
緊迫感はあるものの、より自然で溶け込んでいるし、音に余裕がある
そういえばジェイムスのボーカルには衰えを感じないな、けっこういい歳になってきているが
間奏部分、勇壮なツインリード、おお、これはオーケストラが入ったことで全体のつなぎが滑らかになっているなぁ
デスマグネティックは「いいメロディ」が多いアルバムだった
それがオーケストラで強調・増幅されていて、曲構成の面白さやダイナミズムに改めて気が付く
ギターとオーケストラのソロバトルのような、絡み合い、これは面白いな
だんだんとテンポが上がっていく、おお、バンドの一部としてオーケストラが動いている
凄いな、こういう揺れるリズムというか、バンドサウンドにぴったりとオーケストラ全体がついてくる
やはり「メタリカサウンド」への理解が深い
★★★★☆

6.Confusion 6:41
ドラムからのオープニング、リフが入ってくる、オーケストラも入る
戦争か、勇壮な、進軍のイメージ
これは新曲かな
いや、ハードワイアードからの曲か
観客が拳を振り上げ、リフに対してレスポンスの掛け声を入れている
序盤、オーケストラはほぼバンドに溶け込んでいる
だんだんハーモニーをつけ始める、別のラインを足してくる
リフが前面に出てシーンが変わる、これはそれぞれの楽器隊のリズムが個別に変わっていく、初期メタリカ的な曲
一つ一つのパートのメロディアスさ、覚えやすさというのは増しているが
どんどん展開する、中盤、リズムが複合で絡み合う、これは本当に初期っぽさがあるな
気が付くとシーンが変わっているものの、それぞれのパートの反復回数は多い
ただ、リフやリズムがそれぞれ少しづつ変わっていく
変拍子感が強いわけではないがループのパターンや、小節の入り方が変わっていき、予期しないノリというか、来るだろうところに来ない、予測不可能な感じと反復される酩酊感の両方が出てくる
理性で統制された陶酔というか
★★★★★

7.Moth Into Flame 6:18
リフでスタート、この曲は新境地を開いた名曲だと思う
メロディが耳に残る、エンターサンドマン的な
テンポアップ、オーケストラもフレーズはあるがバンドのリフにぶつかるのではなく、強調する、協調するメロディ
ギターがザクザクしている、常に動き続ける
蛇が這うような、いや、蛾か、うーん、羽ばたく感じよりは蠢く感じがするが
とはいえ高速の移動、獲物を狙う蛇のような
ギターの刻み、やはり同一音階で延々と刻む快楽性を追求させたらトップレベル
リフが展開していく、ドラムのアクセントも変わっていく
オーケストラのパターンは反復する
全体のベクトルが同方向に向かっているが、余裕がある感じ
間奏を経て三度ヴァースへ、オーケストラのフレーズがハーモニーを奏でる
高速化するリズム、オーケストラがドラマティックさを増加させている
弦楽器の刻み、中低音のディストーションギターのリフと高音域のバイオリンのリフ
全体が混然となり着地に向かう、終曲
★★★★☆

8.The Outlaw Torn 10:03
同一和音で繰り返すリフ、オーケストラのリフからスタート
そこに音程があまり感じない、音の塊のようなリフが入ってくる
これはReloadの曲だっけな、いや、Loadの最終曲か
そういえば「最終曲は速い曲」というジンクスもLoadでは破っていたんだな
ストーナー的な色合いが強い、ヘヴィブルース的な曲
ベースが低音を支える、ギターのリフエッジを立てる
オーケストラはそれほど音の手数は多くないが、しっかりとした音圧を出している
吹き上げるというか
ベースの存在感が強い、砂漠、中東や北アフリカ感がある
だんだんと盛り上がる、空間的なプログレというか、Opethあたりにも通じるメロディアスでヴィンテージなロック感もある曲
ヘヴィな質感は強い
バイオリンの音が続く、持続音・残響音が多い
だんだん音数、ひとつひとつの音の音量が上がっていく
ドラムの手数が増える、けっこうラーズは全体的に手数が多いな、イキイキしている
まぁ確かに、これだけ音数が増える、一緒にステージに上がるプレイヤーが増えればテンションも上がるだろう
沈み込むようにして曲が終わっていく、最後、アタック音で歯切れよく終曲
壮大なドラマ
★★★★☆

10.Halo On Fire 8:17
こちらもハードワイアードからの曲、比較的新しめの曲が多いな
S&Mを出した後のオリジナルアルバムはSt.AngerとDeath MagneticとHardwiredか
ギターの刻み、ギターが低中音、オーケストラも低中音を足している、ずっと高音に張り付かない
ところどころアクセント的に高音フレーズは入ってくるが、中音の表情も足している
リズムが展開する、反復しながら展開する
ボーカル部分はコード展開がしっかりあってメロディアスな印象
改めて、この辺りのバランスが優れたアルバムだなぁ
ギターが同じリフを刻む中、オーケストラが低音から立ち上がるメロディ
次々と立ち上がっていく、ただ、矢継ぎ早に複数のフレーズが立ち上がるというよりは一つのメロディを全体で奏でる
S&M1はかなりメロディが同時多発的に立ち上がるイメージがあったが、今回はメロディは基本的に1つか2つ程度
それぞれがしっかりキャラクターが立っている、その分ひとつひとつのメロディが印象づけられる
速いパッセージもところどころ入るが、メロディアス、口ずさめるようなフレーズをオーケストラが奏でるパートも多い
ここでCDだと1枚目終了、いったんフェードアウト
★★★★☆

18.Wherever I May Roam 6:32
オーケストラの幽玄な響きから、シタールのようなたわんだ響きでギターリフが入ってくる
バンドサウンドが戻ってきた、動く山のような、音の塊が動き出す
轟音系、ベースも太い低音を聞かせている
バンドが大きな枠組みを作り、オーケストラがそれを装飾する
リズムも強化されている、ティンパニや打楽器隊か
オーケストラもギターハーモニーに入ってくる
曲の加速感がある、音に開放感があるというか
ドラマが盛り上がる、一体感が強い
シンフォニックメタルという域を超えて、ダイナミックなロックオーケストラに深化している
リズムの揺れ方が肉体性がある、感情が動く
★★★★☆

19.One 9:24
戦場のSEはなし、代わりにざわざわした和音、それほど激しくないが銃撃のようなドラム
アルペジオが入ってくる
オーケストラがメロディを足す、重厚さよりはダイナミクスが大きい、軽やかさがある
アバドも軽快な感じだったし、時代ごとのトレンドなのだろうか
音としての快楽の方向性が変化したというか
曲はメタリカが主体で、背景にオーケストラが流れている、曲の流れの中で流れる水のような
メロディとメロディをより流麗につなぐ役割をオーケストラが果たしている
途中からテンポが変わる、連打パート
オーケストラが入ることでドラマチックさが増幅している
何よりバンドの疾走感が増している、ラーズのドラムがかなり緩急が付くようになった
多少違うが、ニコマクブレインのような、、、イアンペイスのような、、、
「ライブ」感が強い、ボーカルもそう
今のメンバーになってライブの演奏で特に「余裕」を感じるようになったが、それが「ライブ感」として出ている
これは盛り上がる
★★★★★

20.Master Of Puppets 8:30
リフとユニゾンするオーケストラ、音の塊として迫ってくる
オーケストラがバンドと一体化している、加速感が増している
バンドサウンドが進化を続けているのは凄いが、オーケストラも飲み込むようになったのか
間奏部分、ベースがうねり、ギターと絡み合う、観客の声も出てくる
オーケストラはバッキングに徹している、フレーズではなくアンビエントを足している
だんだんとフレーズが立ち上がる、ギターと弦楽器がユニゾンしている
オーケストラのメンバーもメタリカの音楽を理解し、ノっている感じがする
バンドサウンドが大きく、前面に出てきている、オーケストラはバンドを増幅する役割になっている
メロディやフレーズを足すというよりユニゾンで迫力を増したり、残響音をよりふくよかにしている
反復するリフ、酩酊感がある、繰り返される、だんだんオーケストラが舞い踊る
情報量がとにかく多いが整理されている
★★★★☆

21.Nothing Else Matters 6:40
ギターフレーズを少しつま弾いてからおなじみのアルペジオに
オーケストラがアンビエント音を足す
この曲はベースも主導して動いていく、メイデン的な曲と言えばそうだな
ハロウドビーザネームのような
ブルーオイスターカルトからの影響もあるのだろう
ゆったりと、壮大さを持って曲が進んでいく
演奏に余裕と余白を感じる、適度な脱力と透明感というか
だんだん曲が盛り上がっていく、さまざまな音が増えつつ余白は残る
間奏のギターでクライマックスを迎え、再び落ち着いたヴァースへ
★★★★☆

22.Enter Sandman 8:46
前回はBatteryをオーケストラアレンジでやるというチャレンジをしたが今回はサンドマン
かなりオーケストラもリフを足してきて、アレンジに存在感がある
ミドルテンポでけっこうシンプルな曲だからいろいろメロディを足しやすいのだろう
バンドの音、ドラムの音、ギターの音、ベースの音がイキイキしている
曲の中の音の余白がけっこうあるのでオーケストラも細かいメロディをかなり足している
自在に音空間を飛び回っている
ボーカルも伸び伸びと歌っている、再び間奏へ
幽玄な響きのオーケストラが反復し、音が止む、何かが蠢くようなオーケストラの音
リフが戻ってくる、蛇
音がカオスになり終曲へ向かうかと思ったら一瞬疾走し、新しく曲が始まる感じを出して終曲
最後MC
★★★★☆



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