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Guns N’ Roses@さいたまスーパーアリーナ 2022/11/5

やってきました、さいたま新都心。おそらく2022年最大のHR/HMイベントであろうガンズ来日公演のスタートです。16時開場ながら物販が12時から販売ということで13時半ごろに到着。すでにさいたま新都心駅にはガンズファンと思われる一群がいました。

スラッシュ帽子をかぶった人も

他にもガンズTシャツを着た人たちがチラホラ見えます。こういう盛り上がりは日本では久しぶりですね。今年のダウンロードジャパンは動員がそこまで多くなかった(おそらく1万人以下)ので、「メタルフェス!」感があまりなかったんですよね。同好の士が一堂に会するというのはそれだけで感慨を生みます。

物販にたどり着くとすでに長蛇の列が。

売り場前

ここが先頭で、この後3分ぐらい歩いてようやく列の最後にたどり着きました。めちゃくちゃ長い…。結局物販が買えたのは16時過ぎ。2時間半並びました。当初は15時に行く予定だったのだけれど15時に行ったら17時からのラウドネスに間に合わなかった…危ない。2時間以上並ぶなんて久しぶりですね。ディズニーランドぐらいじゃないだろうか。2019年のダウンロードジャパンの物販もかなり並びましたがあの時で1時間強程度だったので、物販列としては個人的には最長かも。(ちなみにサポートアクトのLoudnessの物販コーナーもあり、こちらは並ばずに買えていましたが早々に売り切れた様子)

ようやく物販をゲットして会場に入ると会場は半分ぐらいの客入り。この日はソールドアウトだったので最終的にはほぼ満席になりました。

これだけ大人数が集まるイベントは久々、やはりいいですね。

5時、ほぼ定刻通りサポートアクトのラウドネスがスタート。ラウドネスがサポートアクトって豪華ですね。これだけでフェス感があります。去年末に六本木で単独公演を見て以来、2度目のラウドネス。

Loudness

流石のベテラン。安定感のある演奏。観客もそれなりのHR/HM好きがほとんどでしょうからたいていLoudnessの名前は知っているでしょう。いつもながら高崎晃のギターは存在感が凄い。ミックスでギターの音が大き目というのもあるんですが、とにかく一音一音がはっきりしているんですよね。明確な意思を感じる(ように聞こえる)というか。ピッキングが正確かつ丁寧なのでしょう。それに負けない二井原実のボーカルも凄い。80年代の「ギターヒーローVSハイパーボーカル」の構図をしっかり今に伝えています。それに比べると(今の)ドラムとベースはやや控えめですが、短めながらしっかりベースソロも入っていて存在感をアピールしていました。なじみやすいオープニング2曲の後ややプログレ的な曲、ヘヴィなナンバーと続き、新譜からの大和魂を経てキメはS.D.I.。あっという間の30分のステージでした。ラウドネスで30分は短く感じるなぁ。2時間聞かせきる力を持ったバンドですからね。もっと見たくなります。

そういえばラウドネスは「音がでかい」という評判でしたがこの日はそこまで爆音ではなかったです(というか僕がライブハウスとか行き過ぎて感覚がおかしくなっているのかも…)。個人的に一番ヤバかったのは歌舞伎町爆音祭のWrenchですね。鼓膜がおかしくなった。あとはSex Machingunsは毎回音がでかすぎて割れている。Loudnessは単独公演も見ているけれど音がつぶれるほどの爆音ではない印象です。大き目ですけどね。

あと、さいたまスーパーアリーナはそこまで爆音にできないのでしょう。大きな屋内で出力を上げすぎると音が回ったりハウリングしてモコモコしてしまうのだと思います。実際、最後のS.D.I.はちょっと音がモコモコしていました。ラウドネスって特に高崎晃のギターはめちゃくちゃクリアなんですよね。ギターの音量がでかい、というのもあるけれど、ギターの音の粒立ちが良いしリズムもかっちりしていてギターだけで曲の輪郭がはっきりわかる(その分、ドラムとベースはやや聞こえづらいことがありますが、、、)。ギターヒーローとして光り輝く感じがあります。ただ、さすがに超疾走曲だとこういう大会場だとモコモコしてしまいますね。花火大会でも一気に打ち上げすぎると煙で見えなくなる、みたいな感じ。残響音が消える前に次の音が出るので音が埋もれてしまいます。

この日の講演ではないですが、プロショットによるS.D.I.ライブ映像はこちら。ジャパニーズメタル史の名曲。

11.5のセットリスト。全6曲30分。

1.Crazy Night
2.Crazy Doctor
3.Black Widow
4.Stand or Fall
5.大和魂
6.S.D.I.

++++++

ラウドネスが会場を盛り上げた後、30分のインターバル。ただ、モニターには定期的にガンズのロゴが映し出されSEが流れたりしてそのたびに会場に歓声が上がります。盛り上がり凄いな。海外のファンもけっこう来ていて、そのうちの何人かがアリーナでめちゃくちゃ盛り上がって煽っている印象。USのノリを感じます。

開演を待つ、熱気が高まる

いよいよ登場、時計を見ると18時20分過ぎ。20分押しぐらいでスタートです。正直もっと待たされるかと思った。

1曲目はIt's So Easy。今回のツアーを通してオープニングナンバーはこの曲ですね。キーが低いので喉を慣らしやすいのでしょうか。観客は大盛り上がり。ここから矢継ぎ早に曲が繰り出されていきます。アクセルの機嫌が良い。けっこう笑顔が多く、コミカルな動きも出てきます。ちょっとオジーオズボーンっぽいぐらい(コミカルな動き、という点で)。3曲目にはVelvet Revolverのカバー曲Slitherも演奏。

そういえばスラッシュの左腕の内側にはVelvet Revolverのジャケットが彫られていました。

Tatoo
デビューアルバムのジャケット

スラッシュの人生において重要な一ページなんですね。

ただ、途中までアクセルの声はやや苦しそうというか、完全に裏声感。声が細い。ウェルカムトゥザジャングルはかなり声が頼りない。もともとはハイトーンでもしっかり芯がある感じの声だったのが芯が抜けてしまった感じ。声そのものは出ているし、終始ご機嫌ではあるのですがボーカルはちょっと迫力不足を感じます。なお、ウェルカムトゥザジャングルのオープニングでリンク・レイのランブルをちょっとスラッシュが演奏。これは世界初のディストーションギターの曲と言われ、発売当時は(インストなのに)放送禁止となった曲です。今聞くとなんということはないのですが、当時は「この歪んだ音が人々に悪影響を与える」とされたそう。

元バージョン

ガンズバージョン(2016年の公演より)

こうした曲を選ぶセンスがガンズは素晴らしいですね。

中盤、ダフボーカルのストゥージズのカバー「I Wanna Be Your Dog」を挟んでの新曲「Absurd」「Hard Skool」あたりからアクセルの声の調子がハリを取り戻してきます。やっぱり新曲というのは今のキーに合っているのでしょう。そしてその次、ジミヘンの「Machine Gun」から続けてスタートした「Civil War」はボーカルの表現力が見事でした。

今の音域に合っているし、喉も温まってきたのでしょう。ウクライナ国旗がはためく戦場の光景をモチーフにした映像もあいまって強い説得力がありました。

ボルテージが上がったままライブは続きます。スラッシュのギターソロコーナーへ。スラッシュってブルースの定番フレーズをうまく発展させるのが本当にうまいですね。焦らすところ、焦らしすぎず展開するところ、予想を裏切るところが絶妙。単音弾きのソロというより、指弾きも使ったブルースや昔のギターインスト的な「複数弦を同時に鳴らすオーケストレーション」を主体にソロが進んでいきます。きちんとコード感がある。そしてすぐにバンドも入ってきて一つの曲となり、そのまま「Sweet Child o' Mine」へ。そのまま怒涛の勢いで本編最後の「Nightrain」まで駆け抜けます。ボーカルも本調子といった感じ。

あと、アクセルがAKIRAのTシャツを着ていました。

AKIRA Tシャツ

この辺りは日本公演を意識してくれたのかな。袖に入るたびにアクセルは衣替えしていましたね。この辺りはロックスター然としているというか、USらしいショーアップされたエンターテイメントショーだなという感じ。通常のメタルライブだと衣替えとかそんなにしないですからね。かつてメイデンのライブに「遊園地みたいだ」と悪態をついてスティーブハリスと舌戦を繰り広げたアクセルですが、考えてみると奇抜なファッションというか頻繁な衣替えは昔からしていましたよね。アトラクション(大型エディーとか)より自分自身の衣替えでスターとしての存在感を高めようというのがアクセルのスタイルというわけか。エンターテイメントショーのあり方の美意識が違うものの、強いエンターテイメント精神は感じました。今回もバックの映像は派手なものの、ステージそのものの仕掛けはそこまで派手ではなかったですからね。

ちなみにスラッシュとダフはほとんど衣替えなし。ダフがベストを脱いだくらい。ダフはMotörheadのタンクトップを着ていたのが個人的に好印象。

アンコールはユーズユアイリュージョンの「Coma」からスタート。この曲、CDだと10分ぐらいある曲なんですが5分ほどのバージョンでした。このツアーではけっこうアンコールで演奏されていたのでどうしているんだろうと思ったら短縮版だったのか。

元バージョン、長い。

リフが耳に残る曲ですよね。

そのままアコースティックセットへ。楽器隊だけでBeatlesのBlackbirdを演奏した後、アクセルが出てきてPatienceを演奏します。

最後はParadice Cityで完了。時間は21時。24曲、2時間40分にわたるライブでした。

全体として、「これぞUSハードロック」と言える素晴らしい構成のショーでした。1曲1曲が短く感じたのはどの曲もフックが聴いていてアレンジもけっこうあっさり目。だけれどその中には大量のクリエイティブなアイデアが詰め込まれていて大満足。アクセルのボーカルに多少の物足りなさはあったものの中盤から調子を取り戻したし、「伝説のバンド」の名に恥じない素晴らしいライブでした。やはりこの時代だとMetallicaとGunsN'Rosesは別格ですね。

最後にバンドメンバーを。アクセル(Vo)、スラッシュ(Gt)、ダフ(Ba)以外はDizzy Reed:ディジー・リード(Key、Per)、セカンドギタリストにRichard Fortus:リチャードフォータス(Gt)、Frank Ferreron:フランク・フェレロン(Dr)、紅一点のMelissa Reese:メリッサ・リース(Key)という7人編成。ディジーリードは1990年から参加しているメンバーです。リチャードは2002年から、フランクは2006年から、メリッサは2016年からの参加ということでこのメンバーでのツアーももう5年以上、メリッサ以外はチャイニーズデモクラシーにも参加しています。メリッサは新曲2曲(Absurd、Hard Skool)に参加。固定メンバーですね。

セットリスト

Intro
1.It's So Easy
2.Mr. Brownstone
3.Chinese Democracy
4.Slither(Velvet Revolver cover)
5.Welcome to the Jungle(Link Wray's "Rumble" intro)
6.Double Talkin' Jive
7.Live and Let Die(Wings cover)
8.Reckless Life
9.Estranged
10.Shadow of Your Love
11.Rocket Queen
12.You Could Be Mine
13.I Wanna Be Your Dog(The Stooges cover) (Duff on lead vocals)
14.Absurd
15.Hard Skool
16.Civil War(Jimi Hendrix's "Machine Gun"… more )
17.Slash Guitar Solo
18.Sweet Child o' Mine
19.November Rain
20.Knockin' on Heaven's Door(Bob Dylan cover)
21.Nightrain
Encore:
22.Coma
23.Patience(The Beatles' "Blackbird" intro)
24.Paradise City

会場を出ると同じように帰路につく人たち。ガンズのTシャツが流れていきます。この人たちの何割かが次は11/30のKISS@東京ドームに集合することでしょう。

さいたま新都心の駅についたらMegadethの看板が出ていました。来年2月。こちらも武道館ということで楽しみです。

久しぶりに日本で味わえたHR/HMの大型ライブでした。それでは良いミュージックライフを。

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