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『SeaBed』聖地巡礼記①~JR福知山線廃線敷~

※本記事には、『SeaBed』のネタバレが含まれます。もしこの作品をプレイされていない場合は、先に本作をプレイすることを推奨します。

ふとしたきっかけで、『SeaBed』の聖地巡礼を行うことになった。昔、私が『SeaBed』論を書くために色々と調べものをしていたときに、いわゆる「聖地」と思われる箇所をいくつか発見した。それらは作中でも半ば種明かしされているものも多かったが、使われる画像の多くは、ボカシが入れられていたり、CGで代用されていることも多く、『SeaBed』の聖地巡礼を行う者は困難を伴うためか、探しても作者を除いていなかった。そこで、友人協力のもと、より厳密な聖地特定およびその巡礼ルートを作成し、数回に分けて行ってみた。

友人が作成してくれた『SeaBed』の聖地一覧(仮)この後さらに数カ所発見した。

まずは、作中でも数多く登場することになる、旧国鉄トンネルことJR福知山線の廃線敷ハイキングコースだ。全長約4.7km、所要時間およそ2時間ほどのこのハイキングコースは、作中でも数回にわたって登場する印象的な場所だ。例えば、佐知子が七重に誘われて露天風呂へ向かうときにこのハイキングコースを通る。その際、彼女はトンネル内で貴呼と過ごした南の島の幻想を見ることになるのだが、実際にこのトンネル(北山第一トンネル)を通ってみると、その暗さに驚くだろう。

第六章「洞窟」より。
トンネル入口。

「西宮観光協会」が発行している廃線敷マップでも書かれているが、トンネル内は無灯のため、照明を持って行かなければ、佐知子同様一人では歩けなくなる。あまりに暗く、また肌寒いので、見えないはずのものをそこに見るというのも、十分起こりえると感じた。そういった意味では、この場所は佐知子の追体験が可能であり、聖地巡礼に適っていると言えるかもしれない。

足元の状態が確認できないと危険。
別のトンネルの出口。

そしていくらか進むと、作中に出て来る渓流沿いの道に出くわす。作中の描写から、あるいはこの写真からでも、あまり想像出来ないかもしれないが、意外と斜度がある。廃線跡ということもあり、全般的に平坦な道が続くなかで、ほとんど唯一の登り坂だった。また、私たちが行った頃にはガードレールが設置されていた。

この風景はSwitch版のアペンドにも登場する。
作中では階段のように見えたものも、実際は違った。

ハイキングコースの終盤に、また印象的な短いトンネルが出て来る。こちらは作中でそこまで使用回数が多くはない素材だが、トンネルという場所が『SeaBed』で果たす役割を鑑みると、やはり印象的な場所だ。ちなみに、この手前にはちょっとした広場があり、小休止をとることも可能。

七重と佐知子はこちらから温泉に向かった。
ここまで来れば、JR武田尾駅ももうすぐだ。

今後も『SeaBed』聖地巡りについて書いていくつもりだが、既に現地に行けなくなってしまった聖地もある。例えば、2021年には登録有形文化財に指定され、内部のツアーが物理的にはほとんど不可能になった摩耶観光ホテルはその筆頭だ(作中ではCGで代用されている)。

また、こちらはいずれ紹介するが、佐知子と貴呼が修学旅行で訪れた須磨水族館(現:須磨海浜水族園)は現在リニューアル工事中のため、残念ながらデンキウナギの発電は見られない。さらに、これは作中でも明らかにされていない超マイナーな聖地だが、物語終盤で楢崎が貴呼の元へ向かう際に訪れた商店街も、最近アーケードが取り壊しになり、その原形はほとんど残されていない。

次回は物語の直接的な舞台と言っても過言ではない、神戸北野異人館街を歩いてみよう。


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