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エンツェンスベルガー「空気よりも軽い」翻訳
本日、エンツェンスベルガーが亡くなった。正確には11月24日が彼の命日とのことだ。先日93歳の誕生日を迎えたばかりだった。私自身、学部時代よりエンツェンスベルガーの研究を行っており、彼がきっかけでノルウェー語に興味を持つようになったり、数学の翻訳を行うようになったりしたので、彼との出会いが私の人生を変えたと言っても過言ではない。今一度、彼にこの日本の地から感謝するとともに、彼の詩の中でも特に好きな
もっとみる『SeaBed』聖地巡礼記⑨福岡編
今回紹介する聖地は、東京・大阪から遠く離れた福岡県である。しかし正直、聖地と言える聖地が本当に一箇所しかない。それが終章「旅立ち」より、貴呼と繭子が一緒に旅行に出かけるシーンに出て来るこの場所だ。
ここは、福岡は北九州にある門司港である。背後にある大きな橋を関門橋と言い、九州と本州を繋いでいる。正直、これまでの聖地の多くが関西圏(大阪・兵庫・岡山)であったことを考えると、この門司港はやや異質な位
『SeaBed』聖地巡礼記⑧大阪編
今回は大阪である。とはいえ、いわゆる「大阪らしい」聖地は一切存在しない。東京編と比較すると、正直訪れても地味な場所が多い上に、それぞれ条件が厳しく、あまりオススメはできない。とはいえ聖地は聖地なのでいつも通り紹介していく。大まかに言えば、大阪の聖地は三つの地域にまたがっている。一つは北摂、一つは大阪市北部、そして大阪市南部〜堺市の三つだ。
まず一つ目は箕面の大滝だ。七重が子供たちと触れ合うシーン
きりたんぽカレーのレシピ
東京に越して来て約1ヶ月経ったが、ほぼ毎日カレーを作っている。先日はカカオチョコレートを入れたチョコレートカレーを、また別の日は鶏もも肉をビールで煮てカレーにしたビール煮カレー……と、創作系カレーを楽しんでいるが、今日作ったカレーが会心の出来だったため、一応レシピを残しておく(飲酒しながら作ったのでやや怪しい部分もあるが)。東北に何度も通っている友人曰く「きりたんぽの一番美味しい食べ方」との評は頂
もっとみる『SeaBed』聖地巡礼記⑦東京編 Part2
東京編Part2である。アメ横だから上野……という訳ではなく、ここは御徒町から降りる。というのも、聖地と思われる場所は御徒町側にあり、そのまま歩いてアメ横を抜け、上野動物園へ向かった方が効率的だからだ。東京へは何度か来たこと自体はあったが、観光は神保町以外したことがなかったため、単純に(中野もそうだったが)人の多さや賑わいっぷりに驚かされた。
大阪もそうだったが、東京も景観の移り変わりが早い。車
『SeaBed』聖地巡礼記⑥東京編 Part1
前回の最後に「次回は大阪編」と書いたが、色々とあって東京となった。大阪と異なり、東京編の描写は作中でもしっかりと移動の経路が書かれており、かつほとんど全てが「Tips Ⅱ. 二度目の旅 ランドスケープイマージョン」に収まっている(例外はTipsⅢの「思い出」より「アプリコット」および「ウォーターゲーム」だ。ここでは佐知子と楢崎の東京でのやり取りが描かれている)。こうした経緯もあり、先に東京編を書く
もっとみる『SeaBed』新作発表について
先日、『SeaBed』の翻訳・移植版に関わっているFruitbat Factory社より、本作のオリジナルオーディオノベルコレクションが今冬発売されるとの発表があった。予定通り発売されれば、2020年3月19日に『SeaBed』がSwitch版に移植されてからおおよそ3年近く経ってからの新作ということになる。そもそも、本作が最初に発表されたのがDLSite版の2016年の1月ということを踏まえると
もっとみるコミュニケーション能力の起源について(2)―ユルゲン・ハーバーマス編
前回は言語学分野から「コミュニケーション能力」について見てみたが、今回はチョムスキーの術語に由来する Competence という用語を用いて、実際の社会学や討議理論へと昇華させたハーバーマスの思想を検討しよう。三島憲一はこの「コミュニケーション能力」の由来をハーバーマスにあるとしている(『岩波 哲学・思想事典』当該項目参照)が、実のところハーバーマスは、『コミュニケーション的行為の理論』の本文中
もっとみるコミュニケーション能力の起源について(1)―言語学編
コミュニケーション能力。最近だと「コミュ力」、あるいはそれが欠如しているという意味で「コミュ障」と略され、あまりに気軽に使われ過ぎているこの言葉は、そもそも一体いつどのようにして生まれたのだろうか?
端的に言えば、起源は二つあると思われる。一つは、アメリカの言語学者ノーム・チョムスキーが1965年に発表した『文法理論の諸相』で用いた「言語能力」という術語。そしてもう一つが、ドイツの哲学者ユルゲン
『SeaBed』聖地巡礼記⑤須磨海浜水族園編
今回紹介するのは、2024年春にリニューアルオープンするというスマスイ(須磨海浜水族園)である……のだが、老朽化により、2021年4月から本館以外の施設が全て解体工事されているため、現在も絶賛改装工事中である。そして先に『SeaBed』の聖地を挙げてしまうと、リュウグウノツカイは本館3階の展示ゾーン、佐知子と貴呼が座って魚を眺めるCGは「世界のさかな館」、そしてデンキウナギの放電は、「さかなライブ
もっとみる『SeaBed』聖地巡礼記④岡山県編
今回巡ったのは、岡山県の北東部に位置する「知和駅」だ。作中では、本作の舞台となる旅館(療養所)へ行く際に佐知子が利用した無人駅として描かれているが、元々は『のんのんびより』の聖地として有名らしい(私は同地に着いてから知った)。
駅に訪れてみると、昭和6年の開業当初と変わらない駅舎が待ち受けていた。中には古びた交流ノートが置かれており、ページをめくると同作のファンアートが描かれていたりと、これだけ