見出し画像

先発挑戦!中日・岡田俊哉投手に待つ未来とは

 かつて竜の守護神を務めたプロ13年目の経験豊富な左腕・岡田俊哉投手(30)が先発投手として起用される方針が話題となっています。30代に突入し、新たな道を歩もうとしている岡田投手。ここ数年の不調から脱するためには過去の中継ぎ投手としての実績は捨て、先発という新たな役割に挑戦するという荒療治に挑みます。果たして、この挑戦がかつての守護神の輝きを蘇らせることができるのでしょうか。

近年はやや不調気味

 岡田投手は2009年のドラフト会議で中日ドラゴンズから1位指名を受け、入団しました。1軍デビューに時間はかかったものの、プロ4年目の2013年に1軍初登板を果たすと66試合に登板し7勝5敗2セーブ、防御率2.79という圧倒的な成績を残し、ブレークを果たします。翌年のシーズンでは先発に転向しますが成績が振るわず、2015年シーズンからは再び中継ぎ投手として圧倒的な成績を残します。

 そして2019年には守護神として自己最多となる13セーブを挙げ、竜の黄金期を支えた守護神・岩瀬仁紀さんの後任としてさらなる飛躍が期待されました。しかし、翌年の2020年シーズンはわずか3セーブ、登板数も前年の53試合から大幅に減らして29試合の登板に終わりました。さらに守護神奪取に燃えた2021年シーズンは19試合に登板、セーブ数は0、防御率も4.86とさらに苦しい成績となりました。かつては守護神として9回のマウンドに君臨していた岡田投手ですが本来の姿を見せることなく、不調に陥ったまま新体制となった立浪ドラゴンズで復活を果たすシーズンを迎えました。

竜の中継ぎ左腕事情を見ると

 そんな岡田投手に春のキャンプ中、先発に挑戦させるということが通達されました。30代を迎え、主に中継ぎ投手として通算348試合に登板した実績のある投手に役割の違う先発投手として活躍を期待する、まさに荒療治です。確かにドラゴンズの中継ぎ左腕は岡田投手以外にも期待の投手がいます。その一人が2020年に最優秀中継ぎのタイトルを獲得した福敬登投手(29)です。福投手は2019年シーズンから昨シーズンまでの3年間、50試合以上の登板数を誇り、鉄壁のリリーフ陣を支えました。安定感もあり、ピンチでも信頼してマウンドを任せることのできる投手ですが、勤続疲労が心配です。登板過多が続いてる福投手がパンクし、長期離脱を余儀なくされた場合、実績ある岡田投手が重宝されることは誰の目に見ても明らかです。

 また、若手の橋本侑樹投手(24)、近藤廉投手(23)ら期待の中継ぎ左腕も控えています。橋本投手は今春のキャンプ途中で2軍に降格したものの、1軍で即通用するキレ味鋭いスライダーを持っています。近藤投手は動く直球を武器に今春のキャンプでアピールを続け、開幕1軍に向けて猛アピールしている売り出し中の左腕です。ただ、両投手とも1年間1軍に帯同した経験はなく、ペナントレースの行方を左右する夏場に本来の力を発揮できるかは未知数です。若手らしく勢いで相手打者と対峙し、抑えられる能力を持つ両投手は魅力ですが、勝負所での駆け引きは実績ある岡田投手の方が秀でていると言えるでしょう。

 新人の石森大誠投手(24)も球威のある直球を投げ込んでいますが、ルーキーイヤーからチームの勝敗を左右する厳しい場面を任せ続けることは酷でしょう。育成投手の上田洸太朗投手(19)、松田亘哲投手(24)もキャンプで好投を続けていますが、厳しい場面のマウンドを任せることはあまりにも酷な話です。

 このように、ドラゴンズには期待できる中継ぎ左腕がたくさんいますが、どの投手も不安材料があるのは事実です。ただ、どのチームの選手にも不安材料はあると言えるでしょう。その不安材料を取り除くためには、選手層の厚さでカバーするしかないと考えています。幸い、ドラゴンズの投手陣の層は厚く、次々と未来の明るい投手が台頭してきています。しかし、未来の明るい若手投手だけでは長いペナントレースを制することはできません。幾多のピンチを切り抜けた経験から様々な技を駆使し、相手打者を抑える実績ある投手も必要なはずです。安定感は抜群で信頼できますが登板過多が心配な福投手をカバーできるのは岡田投手だけなのです。

新たな領域へ

 ただ、岡田投手の先発挑戦に反対しているわけではありません。実際、ここ2年間の岡田投手の成績は振るわず、このままでは選手生命が終わりに近づいてしまいます。しかし、先発に挑戦することで新しい投球スタイルを見つけ、飛躍する可能性はあります。まさに復活に向けての荒療治です。

 橋本投手、近藤投手が1年間活躍する可能性は大いにありますし、福投手もさらなる活躍を魅せてくれるかもしれません。石森投手も昨年の新人王・広島カープの栗林投手のような活躍を魅せてくれるかもしれません。ただ、万が一の事態のことを考えると、岡田投手が中継ぎ投手としてスタンバイしている方がチームにとって安心感をもたらしてくれるのではないかと考えています。

 今回の先発挑戦が成功するか失敗に終わるかは誰にも分かりません。もしかしたらオープナーとしての起用を考えているかもしれませんし、一時的に先発に挑戦し、ゆくゆくは本来の中継ぎに戻す方針かもしれません。立浪監督をはじめとした首脳陣の方々がどのような思いで岡田投手に先発挑戦を薦めたのか真意は不明ですが、今回の先発挑戦が岡田投手をさらに上の段階の投手に押し上げ、ドラゴンズの投手陣にとって欠かせない存在となることを願うばかりです。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?