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RESEARCH CAMP in ITOSHIMAのリフレクション

はじめに

2023年9月15日(金)〜17日(日)の日程で福岡に行って、RESEARCH Conference Pop-up in FUKUOKARESEARCH CAMP in ITOSHIMAに参加してきた。この記事では、RESEARCH CAMP in ITOSHIMAのリフレクションを残しておく。RESEARCH Conference Pop-up in FUKUOKAのリフレクションはこちら。また、ノムジュンさんがPop-upとCAMPについてレポートされている記事はこちら

YOUは何しに福岡へ?

私は福岡(というか九州)に縁もゆかりもなく、旅行が好きというわけでもなかったので、これまで福岡に行ったことがなかった。そのためRESEARCH CAMPの企画を聞いたときは、行ったら絶対楽しいだろうけど、縁もゆかりもないし、お金もかかるし、家庭内稟議が必要だしという気持ちが先に立って、参加するモチベーションがわかなかった。でもフィールドワークの会場が、Twitterで見ていつか行ってみたいと思っていた本屋アルゼンチンだと知り、これは行くしかない!と思って応募した。

今回のフィールドワークの拠点、本屋アルゼンチン

「糸島で探る知の循環の形」

これが今回のリサーチのテーマ。知の循環!なんと想像をかき立てるテーマか!フィールドワークの2週間前に行われた事前講義で、フィールドノーツのいろはを教わったので、さっそく本番前の練習として、身の回りでの「知の循環」についてフィールドノーツを書いてみることにした。

フレームワークに当てはめたらフィールドワークで見つけた大切なものがこぼれ落ちてしまう

私がフィールドノーツを書く練習の場に選んだのは、近所の古本屋さん。実際に本を売ってみて、その時の様子をフィールドノーツにまとめた。夏に読んだ佐藤 郁哉さんの「フィールドワークの技法」を読み返しながらフィールドノーツを書き、自分なりに「知の循環」というテーマに沿ったものがかけたと思ったので、参加者のSlackに投稿した。そうしたところ、「フレームワークに当てはめたらフィールドワークで手にした大切なものがこぼれ落ちてしまう」というフィードバックをいただき、衝撃を受けた。確かに自分はフィールドノーツの最後で、フィールドワークで見てきたものをかなり雑にフレームワークに当てはめていたのだ。この時、自分はものごとを考える時にフレームワークに当てはめることが習慣づいていたこと、そしてフィールドワークをする時には、その習慣が邪魔になると気付かされた。
本番ではフレームワークに当てはめようとしていないかを常に意識し、フィールドワークで手にしたものを大切にしようと心に誓い、福岡に向かった。

「本屋アルゼンチン」でのイントロダクション

フィールドワーク初日の朝、参加者は本屋アルゼンチンに集まり、店主の大谷さん、店員の南さんから、Playfulというキーワードや教授の本棚プロジェクト、「知の循環」という今回のテーマについてお話しいただいた。

この日のために用意したKOKUYOの野帳にメモ

その後参加者は4つのチームに分かれ、運営の方が調整してくださったフィールドワーク先へそれぞれ訪問した。私が所属していたCチームは、「糸島の顔がみえる本屋さん」へ向かった。

反対側のホームで待っていて一本逃したのち、次の電車に乗り込んだ

「糸島の顔がみえる本屋さん」でのリサーチ

本屋アルゼンチン最寄りの大入(だいにゅう)駅から電車で20分。筑前前原駅前の前原商店街にあるのが、フィールドワーク先の「糸島の顔がみえる本屋さん」、略して"糸かお"。ここには小さく区分けされた本棚が並び、希望者は月額で棚の利用賞を支払うことで、棚オーナーとなれる本屋さんだ。(糸かおについてはこちらの記事に詳しくある。)本棚のひと区画を借りて棚オーナーとなれる本屋さんは、東京にもちらほらできているが、棚オーナーが交代で店番をするという仕組みは、糸かおの特徴だと思う。
ここでは運営の中村さんや店番をしていた棚オーナーの方にお話を伺ったり、棚オーナーの方が思い思いにディスプレイしているたくさんの本棚を拝見した。
自分が店番の日を積極的に発信して、訪れたお客さんとお店でのおしゃべりを楽しむ棚オーナーの方がいる一方で、発信することでお店の本棚と自分個人が紐づいてしまうことに消極的な棚オーナーの方もいるというお話が印象的だった。「本棚を出すことは自己開示」というお話もあり、それだけ本棚が棚オーナーを映し出しているということだと感じた。
またちょうど私たちが訪問したのが店番の交代のタイミングで、交代前後の棚オーナーのお二人が楽しそうに世間話をしているのが印象的だった。

ひと区画ごとが小さな本屋さん。どこかの本屋さんのオーナーが、その日の糸かおの店番

「ALL BOOKS CONSIDERED」でのリサーチ

もともと糸かおの棚オーナーをしていた方が、スピンアウトして作ったお店が糸かおの上のフロアにあると伺い、お話を伺いに行った。それが先を悩む者のための本屋「ALL BOOKS CONSIDERED」、略して"ABC"だ。
お昼休憩直後のお店にチームメンバ4人で押しかけ、本屋を開いたきっかけや、本屋のおもしろさ、一緒に本屋を運営している方々との関係性などをお伺いした。店員の方が快くいろいろなお話をしてくださり、とても楽しく、学びのある時間になった。「運営メンバは皆、ジャズのセッションのように、即興性を大事にしている。」というお話が特に自分の心に残った。

レジ下の本棚。本は売れていくから本棚は変わる。この並びは2023年9月16日の断面だ。

「ゲストハウス いとより」でのBBQとゲームと睡眠

糸かお、ABCでのフィールドワークを終えたCチームは、「ゲストハウス いとより」へ向かった。ここは福岡県外からの参加者のためにRESEARCH CAMPの運営メンバが抑えてくれたゲストハウスで、夜は県内の方も含めてのBBQを予定していたのだ。
フィールドワークで得たものを忘れないうちに京大式情報カードに書き留めた後、みんなでBBQをした。

BBQ。まずはおやさいからね。

その後は交代でお風呂に入りつつ、みんなでうたげを楽しんだ。各チームのフィールドワークはどんな感じだったか話したり、ゲームをやったり。この時やった「はぁって言うゲーム」がすごくおもしろかった。表現力と観察力を使うという点が特に気に入った。

それから布団を引いて、寝た。いつもと違う枕だし、掛け布団ないし、周りに人もいるしで、もしかしたらいびきが聞こえてきちゃったりなんかして、なかなか寝付けないんだろうな〜と思いつつ布団に入ったが、秒で寝た。

5人分の布団を収めようと工夫した結果

翌朝は、前日残った焼きそばをみんなで交代制で作って食べて、ゲストハウスを後にした。

「本屋アルゼンチン」での分析とアイディエーション

二日目は分析とアイディエーション。フィールドワークでの1つ1つの気づきを落とし込んだ情報カードを基にアイディエーションを行い、最終的にコンセプトを発表した。

情報カードを使ったアイディエーション

アイディエーションの最中は、フレームワークに当てはめず、とにかくフィールドワークで見てきたこと、聞いてきたことを大切にするように心掛けた。そういう心持ちでチームメンバーと話していたところ、メンバーがフィールドで見てきたこと、聞いてきたこと同士が自然とつながり始めて、コンセプトが出来上がった。引率1名、参加者3名という小さなチームだったので、同じものを見ている時間が多かったが、それでも違う人から話を聞いていたり、同じものを見ていても印象に残っているところが違っていた。それらが会話を通してつながっていった感覚だった。
短い時間の中でコンセプトを作る必要があったので、フィールドでの気づきから離れて、アイデア大会みたいになってしまわないかが心配だったが、そういった感覚はなく、しっかりとフィールドでの気づきからコンセプトを作れたと言う感覚が残ったのが、今回一番嬉しかったことだった。

最後に各チームでコンセプトを発表しあって、学びを共有してから、集合写真を撮った。他の参加者はその後も参加者同士で交流したり、本を見て回ったのだと思うが、自分はワークショップの終わり時間を把握せずに適当に帰りの飛行機を予約してしまっていたので、一足早く本屋アルゼンチンを後にした。やっちまったぜ。。。次回はもっと遅い飛行機を予約する。。。のではなく、もう一泊して帰るようにしたいと思った。

おわりに

本屋アルゼンチンを舞台にした二日間のRESEARCH CAMPは、夢のように楽しい時間だった。
フィールドワークでの学びを大切にアイディエーションができたあの感覚はこれからも自分の中で成功体験として残ると思う。もちろんこの体験をするためには、その前のフィールドワークが重要なので、フィールドワーク含めての成功体験となった。ここは運営の方やチームメンバーに依るところが大きいので、とても感謝している。

最後に、RESEARCH CAMPで触れ合った方々全員に感謝したい。今回初めて福岡に行って、福岡が自分の中で実態化した気がする。
これからはもう、天気予報の時に周辺視で見る場所じゃない。RESEARCH CAMPをした想い出の場所、そしてその時間を一緒に過ごした方々が頑張っていると思える場所、そして次はいつ行けるかと思いを巡らす場所だ。

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