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RESEARCH Conference Pop-up in FUKUOKAのリフレクション

はじめに

2023年9月15日(金)〜17日(日)の日程で福岡に行って、RESEARCH Conference Pop-up in FUKUOKARESEARCH CAMP in ITOSHIMAに参加してきた。この記事では、RESEARCH Conference Pop-up in FUKUOKAのリフレクションを残しておく。ありがたいことにその後のRESEARCH CAMP in ITOSHIMAの中で登壇者とお話もできたので、そのことも含めて書く。Togetterはこちら。アーカイブ動画は後日配信とのこと。

GMOペパボ 上田さん

資料:レガシーなサービス・組織でリサーチの土壌を耕す

RESEARCH Conferenceでリサーチ関連の発表を聞くようになって、自分にとってリサーチ関連の発表は2種類に分かれるという感覚を持つようになった。ひとつは知らないことを知って学びになったという感覚になる発表。もうひとつは、自分が今従事しているスクラムマスターという職種とリサーチャーという職種でやっていることに違いはあるのに、すごく共感を覚える発表である。
うえだりさんの発表は後者だった。うえだりさんのステップバイステップで進める姿勢など、共感できるところはたくさんあったが、特に共感を覚えたのは、実例として出てくるチャットでのうえだりさんの言葉遣いだ。押し付けるような印象が一切なく、ただやさしく、ポジティブな印象の言葉選びをされていて、いいな〜と思った。

発表を聞いた時は「めっちゃ勇気もらえる発表で良き〜」と心に刻むにとどまっていたのだが、実はその後RESEARCH CAMP in ITOSHIMAのワークショップの中で、うえだりさんが学生時代に読んだNVCを大切にされているというコメントを見つけて、大興奮した。うえだりさんの発表や言葉遣いに共感した理由が、突然に分かったような気がしたからだ。
私はアジャイル開発に携わるようなってから学んだXP(エクストリームプログラミング)という書籍とマイケル・サホタさんのCAL 1(Certificated Agile Leadership 1)という研修に大きな影響を受けたと感じているのだが、実は両者ともNVCを参照しているのだ。(XP第2版の参考文献では"人々"というカテゴリの中にNVCが載っている。またマイケル・サホタさんのHPにもNVCに言及したページがある。)
この辺りから、NVC自体が気になり、隔週で読書会を開催してNVCを学んでいる最中だったので、自分がうえだりさんの発表に共感した一因は、うえだりさんの中に息づくNVCを感じていたためだったのではないかという気がした。

RESEARCH CAMP in ITOSHIMAの休憩時間、うえだりさんとNVCのことについてお話ができたのも、福岡のいい思い出となった。(NVCってアジャイル界隈でしか聞いたことがなくて、それ以外で話せる人がいるとは想像していなかったので、NVCの良さを語り合えてとても嬉しかった。)

YAMAP 土岐さん

「なぜ山を登るのか?」「そこに山があるから」という誰しもが聞いたことのある有名な問いと答えがあるが、YAMAPのユーザーリサーチでは「現代において人はなぜ山に登るのか?」に向かい合っているという話題提供から始まるお話だった。
「解決策よりも、本当に解くべき問いを立てることの方が重要」とよく言うけれど、実際のところ企業がタフな問いを立てて、それを解くべく活動しているお話って聞いたことがなかった。そんな中で、土岐さんの発表は、タフな問いを立てた上で、プロダクトマネージャーとしてそれに向き合う姿勢や、ユーザー理解の解像度が変わったお話が盛り込まれていて、衝撃を受けた。その中でも「登山の便益は人によって違うし、登山頻度はその人の生活スタイルに左右される」というリサーチ結果を発信されていたことに、度肝を抜かれた。なぜなら普通は登山する人としない人を比べて、登山する人に共通した想いや傾向を探し続けるものだからだ。そうではないということを発信するまでに、重ねられたリサーチの質や量を思うと、本当に驚かされる。
スクラムマスターの身としては、これをプロダクトマネージャー視点でお話いただけたことがとてもありがたかった。土岐さんのこのお話は、どのプロダクトマネージャー・プロダクトオーナーであっても何か感じることはあるはずだと思ったので、アーカイブ動画が配信されたら、ぜひ一緒に仕事をしているプロダクトマネージャー・プロダクトオーナーと同時視聴会を開催したいと思った。

この日の懇親会では恐れ多すぎて土岐さんと話せなかったが、翌日同じゲストハウスに泊まってバーベキューをしたり、カードゲームをしたことで、話しかけるハードルが下がり、夜も更けてからになってしまったが、土岐さんに発表を聞いて感動したことをお伝えできた。またそこから土岐さんの学生時代の話などもお伺いできて、本当に良かった。

TOTO 大塚さん

今回は、リサーチの結果を商品に落とし込んだ事例として、ウォシュレット用リモコンのお話を伺った。私が普段扱っているのはデジタルプロダクトで、ウォシュレット用リモコンのように多様なユーザのいる物理的なプロダクトのリサーチのこと想像もつかなかったので、とても刺激になった。

Retail AI X 難波さん

九州発のスーパーTRIALをテクノロジーの側面で支え、さらに変革を進めるRetail AI Xで、一人目のリサーチャーとして活動している難波さんの発表。難波さんの発表で印象的だったのは、冒頭で提示された「受託の文化を変える」というメッセージだった。これって昨今の世の中の変化の中で、多くの企業が持っている課題感だと思うし、実際私も難しさを感じるところなので、最初から引き込まれた。そしてこういった大きな課題感を持つ中で、難波さんが実践されていたのが、直向きにリサーチャーとしてお客様と向き合う活動だったいうところのコントラストが、すごくおもしろかった。

実は難波さんとは、翌日からのフィールドワークが同じチームで、色々お話をしたり、フィールドワークについて学ばせていただいた。難波さんの経歴の話や実店舗でのユーザーテストの話を聞いて「これ発表内容盛ってるわけじゃないとしたら、バイタリティがやばくないか?」と思っていたが、フィールドワークで一緒に過ごして、やっぱりバイタリティがやばいな、と前日の疑問が確信に変わった。特にスーパーというドメインの解像度の高さ、それに満足せずにさらに理解を深めようとする態度は、「夢中」という言葉がぴったりで、すごかった。

ちなみに翌日、フィールドワークに行く前にホテルの近くにあったTRIAL Goに行ってみたが、おにぎりが信じられないくらい安かったり、普通のスーパーなのにセルフレジのスムーズな体験が実現できていたりで、九州にはこんなすごいスーパーがあるのか!とびっくりした。
こういう驚きは住み慣れた場所の外に出ないと得られないので、ちゃんとその土地に関係のある登壇者の方を呼んで企画をしてくれるRESEARCH Conferenceメンバに感謝した。

TRIAL GO。ロゴがスタイリッシュ

さいごに

この記事ではRESEARCH Conference Pop-up in FUKUOKAのリフレクションを書きました。この他にもLTや懇親会などでいろいろ勉強させていただき、ありがたい限りでした。
あと書いてみて気づいたことだが、翌日以降にお話しさせていただいた方の発表を今思い返すと、この日の発表の内容ってその方の丁寧な名刺に思えてしまって、翌日以降の会話の記憶と切り離して語ることはもはやできない。その時の記録を残すフィールドノーツという観点ではあまり良くないと思うが、今回は発表を拝聴したことで、登壇者の皆様といい時間を過ごすことができたので、そのことを噛み締めたい。

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