見出し画像

データの分析に基づく「専門的な知識基盤としての発達知」の構築に向けて

 このところ、改めて保育所保育指針を読んでいる。

 その中では、「一人一人の子どもの状況」「一人一人の発達過程」といった言葉が散見される。また、「子どもの置かれている状態や発達過程などを的確に把握」といった表現も随所に出て来る。当然のこととはいえ、保育所保育指針では、一人一人の子どもの体調や発達を丁寧に把握し、さらには、その記録化が求められている。

 現在、発達記録を数値解析可能なデータファイルへの変換作業とその基礎的な分析作業をしているが、このような作業を通じて、一人一人の子どもの状況をデータに基づいて把握できることが分かってきた。

 これからは、データの分析の範囲を、垂直方向、水平方向に広げていくとともに、その分析結果をわかりやすく表現し、日々の保育に活用していただけるように検討していくことが大事になる。

 というのも、やはり現場では、数値で子どもの発達を評価するということに抵抗感があるようだから。

 となれば、ビジュアル的で短時間で理解できるようにならなければ、忙しい保育士の皆さんの「抵抗感」の払拭にはつながらないということを実感している。

 

『育ちあう乳幼児教育保育(第2版)』(有斐閣、白川ほか、p213)という本では、「専門的な知識基盤としての発達知」と題して、次のように述べられている。

 保育領域では、専門性を表す専門的な知識基盤として発達知が重要なものとしてとらえられている。日本も含めて、世界各国の保育実践の指針において、年齢や段階による子どもの発達の姿が指標として提示されている。一人ひとりの子どもの個別性を配慮するためには、その個人差を図る物差し(基準)を保育者がもっていなければならない。発達の過程に関する知識は、いわばその物差しであり判断基準であるといえる。判断し実践する保育者にとって、発達の過程に関する標準知識(発達知)は、必要不可欠なものである。無論、実践のなかで体験的に、一人ひとりの子どもから学びうる個別な知識もまた、かけがえのないものではある。しかし、この重要性は、一般化された知識の有効性を否定するものでは決してない。
 「知識は、子どもを見る目を曇らせる」「先入観になるか記録はつけないし、読まない」とアドバイスする先輩保育者がいたとしよう。ここでは、「知識」と「記録」が、「知識の使い方」「記録の活用方法」と混同されていることにあなたは気づくであろうか。「知識」や「記録」はその「使い方」と「活用」次第で、生きたものにも、邪魔なものにもなりうると考えられるのである。保育の実践において、重要なことは、発達知をいかに活用するかである。一般化され標準化された発達知を、子どもを遅滞児や問題児だとラベルづけしてしまうマニュアルとして機能させるのではなく、保育者が子どもの発達を理解する上でのガイドラインとして役立てることが重要である。

 この精神を生かせるようなデータ分析を提供していきたいと考えている。