縁側

縁側に座ってぼんやり眺めた世界は
どこまでも穏やかで砂埃の匂いがした

膨れ上がった煩悩が入道雲になって
向こうに見える街をゆっくりと包んでいく

夏の底に溜まった思い出はどれも綺麗なままで
掬い上げた粒の中であなたが静かに笑っていた

明日また会えたなら次は何をしようか
限りある夏の日を惜しむ様に駆けていく

グラスの麦茶はよく冷えていて
一息に飲み干して汗をかいた体を冷やす

畳に寝転んで簾の下から見た空は
まるで暮れることを忘れてしまったかのよう

揺るがない幸せなんてものはここでは意味がなくて
静止した景色の中で風が時を押し流している

明日また晴れたなら次はどこへ行こうか
限りある夏の日が少しずつ過ぎていく

微睡む縁側には夢と現が混ざり合う
ひぐらしが鳴く声が朧げに響いてくる

明日また会えたなら次は何をしようか
限りある夏の日を惜しむ様に駆けていく

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