ひとりの朝に

欠伸を一つ噛み殺して
自転車を走らせる
早朝の街はとても静かで
考え事が捗った

こんな朝にもあなたはどこか遠くを見て
曖昧な顔をしながら笑っているのかな

思い出なんていらないの
ただただ今が欲しいだけ
そんなことを思っていても
全ては記憶になっていく

新しい日々の始まりは
変わり映えもなくて少し寂しい
心配しなくても平気さ
私は元気です

繰り返し続く毎日を
愛せるようになるだろうか
そうなるには今はまだ
時間が足りなすぎるだろう

不意に込み上げてくる感傷は僕の胸を
言いようのない重さで押し潰してしまう

思い出せないくらいの時間が
早足で通り過ぎていった
どれほどの真面目さでそれに
向き合えていたのだろうか

過ぎ去った日々は戻らない
そんな当たり前のことですら
忘れてしまいそうになるけど
なんとかやっているよ

新しい日々は続いていく
あなたの居ない部屋にも慣れていく
心配しなくても平気さ
私は元気です