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古典派経済学~新自由主義の原点~

今回は「古典派経済学」についてアウトプットも兼ねて解説します!

需要と供給

パレート最適

需要と供給の話において重要なのは、「経済の基本原則」であるモノの価値は、多いモノは低く、少ないモノは高いということです。

しかし、上記の原則を元に考え、僕のサイン色紙を売りにだしたら、売れるでしょうか?

今の僕ではまぁ無理ですね笑

つまり、モノの価値の原則には、需要があるということが前提です。

そしてモノの値段は、需要と供給によって決まります。

まず、経済にはモノを売手と買手がいます。

売手は高値で売りたいし、買手は安値で買いたいものです。

売手は商品を複数持っていて、それらを全て売って最大の利益を得たいと思っています。

しかし、商品の値段が高すぎたら、買手は減りますよね。

そのため、売手の商品の数と買手の数が一致するところが、商品の売値となります。

それを経済学的にはパレート最適(需要と供給の一致点)と呼びます。

引用:ARE-KORE.jp

この需要と供給は、価格を調整すれば売れ残りが出ないというのが、古典派経済学の重要な考え方です。

労使関係の需要と供給

賃金の下方硬直性

先ほど、需要と供給によって、商品の価格が決まるということを述べました。

では、それが労働者の賃金であればどうでしょう?

先程の例は、商品だけではなく、労働者の賃金も同様なのです!

商品の買手と売手と同様に、労働者は高賃金で働きたいし、経営者は安い賃金で雇いたいものです。

そして、賃金におけるパレート最適が実現すれば、失業者は出ないはずですよね!

しかし、会社の経営が傾いて、賃金を下げたいと思ったとき、労働者の賃金は簡単に下げられますか?

もちろん無理ですね!

多くの場合、商品の値段を下げるほど労働者の賃金は簡単に下げられない

このことを「賃金の下方硬直性」と呼びます。

(厳密には、この賃金の下方硬直性の説明正しくないが、分かりやすさを重視するためこの説明にしています。)

失業問題をどう解決するか

しかし、先程の需要と供給の理屈で考えると、経営者が雇える以上に賃金の水準が高かったら、労働者の数はどうなりますか?

もちろん減りますよね!

そのため、古典派が考える需要と供給の一致が起こらず、失業者が出てしまうというのが主流派・ケインズの主張です!

その場合、失業者を出さない方法は二つあります!

  1. 経営者が雇える額まで賃金を下げるか

  2. 労働者を雇えるくらいまで会社の収益を上げるか

失業者がいたら、本来働けるはずの人が働けないので、生産性は落ちますよね!

それに、モノを作ったとしても、失業者が多ければ買う人も少なくなります!

そのため、そのような苦しい経済状況では、需要が供給力を決めるとケインズは言いました。

これを「有効需要の原理」と呼びます。

貨幣中立説

金融政策は無意味の理由

古典派経済学は、インフレ・デフレに意味はなく、お金の量が変化しても経済に影響はない考えています。

例えば、A国では国民はパン工場で働いていて、みんなパンを食べて生活していました。

国民は月に1万円の給料をもらい、100円のパンを買っていました。

国民が一ヶ月に買えるパンは、

10,000円 ÷ 100円 = 100個

ですね!

そのような状況を見たA国の大統領は、国民をもっと豊かにしようと金融緩和をして、お金の量を2倍にしました。

その結果、国内の物価は上がり、国民は2万円の給料をもらえるようになったと同時に、パンの値段も1個200円になりました。

国民が一ヶ月に買えるパンは、

20,000円 ÷ 200円 = 100個

なんと、全く状況は変わっていません!

それが古典派経済学の主張です。

つまり、お金の量を増やして給料を上げても、物価も同時に上がるから状況は変わらないという主張です。

これを「貨幣中立説」と呼びます。

そして金融政策よりも、生産性を拡大することが重要とも言います。

そのために、構造改革や規制緩和などを推し進めるというのが古典派の考え方です。

竹な…あのお方が頭に浮かんできますね笑

貨幣中立説の重大な欠陥

生産性の拡大がなければ、人々は豊かにならないという言い分は事実です。

しかし、貨幣中立説には重要な前提があります。

それは、お金の量を変化させたら、経済における全ての価格が同様に変化するということです。

しかし、実際はそんな単純ではありません。

実際に安倍政権下で実施した異次元の金融緩和でお金の量を増やしても、すぐに給料や物価が高騰することはありませんでした。

現実の経済では、中央銀行がお金の量を増やしても、価格の変動にはタイムラグがあります。

したがって、貨幣中立説の理論は成り立たないということです。

古典派が考える日本経済停滞の理由

セイの法則

古典派には「セイの法則」という考え方があります。

簡単に言うと、供給が需要を作り出すという考え方です。

例えば、供給力が増えてモノが多くなると、モノの値段は下がります。

そして、値段が下がると需要は多くなります。

だから、供給は需要を作り出すということです!

セイの法則には様々な批判がありますが、これと古典派の世界観を混ぜ合わせると、日本の長期停滞やデフレは、供給力の不足で起こったということになります。

「日本にはイーロン・マスクのような天才がいない!」
「日本はITの波に乗り遅れた!」
「ホリエモンを逮捕した!」
➔「だから日本経済は停滞しているんだ!」

みたいな主張です笑

参考

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