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京の桜~圧倒的な密度

はじめに

春に花、夏に祭、秋に紅葉、冬に雪。
歴史ある風情と共に移ろいゆく季節を感じるとき、
日本人として生まれながら、日々の生活で忘れてしまっている何かに気付かせてくれる。
千年の都・京都にはそんな魅力があるように思います。

桃の節句も終わり、桜の開花情報などが聞かれ始める季節となりました。
その昔は田植えの季節を前に満開を迎えることから、作物の実りの豊凶を占うものとしても利用されるなど、古くから愛されている花。
散り際は潔く、日本人の気性に合うのか、その散り様にまで憐れを見出す、日本人にとってはある種特別な花です。

愛されるが故に日本中どこにでも植わっている桜。
どこで見ても良いものですが、歴史ある桜は一味違う。
今回はそんな内容です。

※写真はいずれもコロナ禍前のものとなります。
 また、本記事はコロナ禍に無理に花見を推奨するものではありません。
 現地を訪れる際は、感染対策や観光地への配慮を十分に行いましょう。

花見の魁―平野神社

拝殿は残念ながら平成30年の台風により倒壊

京都の北西、北野白梅町駅から東に北野天満宮を見ながら徒歩7分。
早咲きの品種である魁桜が植わることから京都の花見シーズンの到来を告げる神社。
その境内には約60品種400本もの桜があり、満開時の密度は圧巻。
見上げると空が見えないほどの量で迫ってきます。

空を埋め尽くさんばかりの密度

いわゆるベタな修学旅行などでは取り上げられない神社ですが、この季節には一度は訪れてみたい場所です。

逍遥の桜道―哲学の道

風情ある沿道は琵琶湖疎水に映る桜も楽しめる

南禅寺北側、熊野若王子神社から銀閣寺まで南北2kmに渡って続く哲学の道。物思いに耽るにはいささか観光化されてしまったこの道も、約400本の桜が沿道を彩る桜の名所です。
沿道にはほぼ途切れることなく桜が続くので、一か所に人が集中することが少ない分、落ち着いて桜を眺めることが出来ます。

薄墨桜などの品種も見られる

沿道では近所に住む猫に遭遇することもあり、花見に癒しを添えてくれます。

天下人の花見―醍醐寺

国宝の五重塔と桜

京都駅の南西、地下鉄東西線醍醐駅から徒歩10分。
天下人・豊臣秀吉の「醍醐の花見」として有名な醍醐寺。
境内には豊臣秀吉が植樹したとされる約700本の桜が植わり、その量もさることながら、一本の木に咲く花の量にも圧倒されます。
天下人の最後の花見の場としてふさわしい見応えと言えるでしょう。

花の量が圧倒的

国宝や重要文化財に登録される寺宝が多くあるため、花見がてら観光するのにもおすすめ。

京都随一―円山公園

コロナ前の賑わいが懐かしい花見茶屋

京都の中でも観光地として名高い祇園。四条通を突き当り、八坂神社を抜けた先にあるのが円山公園。
園内には約680本の桜が植わり、花見シーズンは深夜までライトアップされるので、夜桜の花見にもってこいの場所でもあります。
見どころは何と言っても「祇園枝垂桜」。高さ12mに及ぶ大きさと枝垂れ桜の風情は、京都随一の風格があります。

現在の枝垂桜は二代目。樹齢90年余

コロナ禍では難しい花見の宴会。早く日常が戻り、気兼ねなく桜を楽しみたいものです。

おわりに

私の住んでいる近所にも奇麗な桜が咲き、お気に入りのスポットもあります。そのような日常に愛でる桜も良いですが、名所にはやはりそれを上回る魅力があります。特に京都の桜は木々や花々の密度が高く、見る者を圧倒する力があるように感じます。
私の拙い写真と文では伝わり切らなかったでしょうが、気兼ねなく旅行が出来るようになりましたら、桜を目当てに旅行を計画してみるのも楽しいかもしれません。


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