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カスタマーサクセスとは#2-7

前回まではリテンションモデルの5つの成功要因をひとつずつとても丁寧に説明していました。
第2章は今回が最後のセクションです。
非常に重要な内容を密度高く説明してくれていたので、最後にまとめも作成するようにします。

ここからは「第2章 カスタマーサクセスとはいったい何か」の答えを日本企業視点で考えていきます。

参考図書

2-3 カスタマーサクセスが日本に意味するところ

カスタマーサクセスの魂

・カスタマーサクセスとは、カスタマーセントリックな企業文化ないし、それが根付いた企業のあらゆる活動
・重要なことは企業文化がカスタマーサクセスの魂
・デジタル時代に無くてはならない存在になるためには、カスタマーの成功を絶えず追及することを重視する価値観、ないしそれが組織に浸透していることがカスタマーセントリックな企業文化
・カスタマーセントリックな企業が実施している3つの行動・
①「私がカスタマーなら」を常に考える
+何かを判断するときに、カスタマーの成功につながることが常に優先される
<よくある間違い>
+「カスタマーのこと(about/for)を常に考えている」と「カスタマーだと思って(as/if I were)」は全く異なる
+後者は、カスタマーの頭の使い方、モノを見る視点、優先順位、発想の仕方、行動パターンなどを深く理解すること
心からカスタマーになりきりカスタマーの言語を用いて話す
②カスタマー体験の良し悪しとカスタマーが手にした成功を数字で測定する
+これらの数字が経営目標とリンクし、各組織がその目標の一翼を担うことで組織が一枚岩となる
<よくある間違い>
+「満足度を調査している」「利用状況を測定している」という企業は多いが、エフォートレス体験の良し悪しや成果・成功を測定することと異なる
+測定しても、その指標と反する報酬制度で動機付けされる社員が一人でもいればそれも違う
③カスタマーの声を収集し、プロダクトや業務に反映するフィードバックループの仕組みがある
+企業のあらゆる活動が首尾一貫して素晴らしいカスタマー体験に直結する
<よくある間違い>
+「カスタマーの声を聞いている」という企業は多いが、その情報がある部門だけに留まっているならフィードバックループの仕組みはない
+カスタマーの声をプロダクトロードマップやサポート組織に反映する際に、部門利害の対立を交通整理をして部門横断で最適な判断を下せる権限を持つ人が必要
+カスタマーの声があらゆる部門に共有され、エフォートレスな体験が首尾一貫して届くように顧客接点の対応が改善され続けることが必要

・カスタマーサクセスという部署があるかどうかは問題ではなく、カスタマーセントリックな企業文化があるかが重要
・カスタマーサクセス部門があるからと言って、カスタマーサクセスは自分の責任ではない、と考える人が一人でもいればカスタマーセントリックではない

引用:カスタマーサクセスとは何か――日本企業にこそ必要な「これからの顧客との付き合い方」 ISBN 978-4-86276-268-9 C0034  P178~182参照

<所感>

カスタマーセントリックな企業文化こそがカスタマーサクセスの魂。
響きますね。筆者の熱のこもったメッセージだと思います。
誰しもお客様目線で考えると分かっていながらできないのは、企業が目先の利益を追求するからなのかな?と思っています。
これすなわちワンタイムバリューの最大化に企業文化が寄ってしまうのだと思います。
株主、関係会社、社員の家族など抱える利害関係者が多くなるとなかなか経営指標を切り替えるのは難しいと思います。
だからこそ若い企業が新しい時代に積極果敢に挑戦することが求められているんだと思いました。

日本にとってのカスタマーサクセス

・日本にとってのカスタマーサクセスとは、リテンションモデルの成功に必須のカスタマーセントリックな企業文化を根付かせるチェンジマネジメントから始まる
・組織には慣れ親しんだものを手放して新しいものを受け入れるときに心理的な抵抗が生まれる
日本にとってカスタマーサクセスとは単に新しい組織や業務プロセスを採用するだけのことでなく、組織一人ひとりマインドセットを変えること、そして全員が納得する組織や業務プロセスを導入すること
・日本企業にこそカスタマーサクセスが重要な背景は、チェンジマネジメントから始まる日本企業は実践するまでに時間も労力も余計に必要なため
・チェンジマネジメントをやり抜くために必要な3つの覚悟

覚悟①:社長が時間を使って推進することが必須と覚悟する
+社長が変革の必要性を納得していない会社で変革に成功した例はない
+カスタマーと直接話す、カスタマーと日々接している社員と話す、変革の必要性やその背後にある課題認識を本音で議論するなど、社長自らが行動しなければならない

覚悟②:想像以上に時間とエネルギーが必要になることへの覚悟
組織変革には数年の時間が必要であり、人の心に染み込んだマインドセットを変えるのは難しい
+時間とエネルギーを最小化する有効な5つの秘訣
<秘訣1:目標と行動ルールをリテンションモデルに向ける>
+人は「マインドセットをこう変えてくれ」より「行動をこう変えてくれ」と言われる方が実行しやすい。毎日繰り返す行動でマインドセットの変化が後からついてくることも多い
<秘訣2:優先順位を明確にして時間とエネルギーを集中投下する>
<秘訣3:変革を論じるときの共通言語・フレームワークを用意する>

+人によって異なる解釈や属人的な手法が乱立・散在すると正しい活動が組織全体に広まらない
<秘訣4:社内コミュニケーションを用意周到に過剰なほど続ける>
<秘訣5:効率化・自動化できるところは最大限テクノロジーに投資する>

覚悟③:人材に相当な投資が必要になることへの覚悟
+売り切りモデルからリテンションモデルへシフトするには、人材のスキルセットも全く異なるため、社員のスキル強化を組織的に推進する施策が必須
+特に顧客接点を担う人材への投資は非常に重要
+必須スキルを定義し、現有人材のスキルを棚卸し、強化すべき領域を特定する。スキル強化のためには社外人材を活用することも検討する
+変革をリードする人材には大きな権限を与え、人材の多様性を高める
+業務/意思決定プロセス、IT作業環境をデジタル時代に即したものに変え、新しいスキルを日々使う環境を整え、組織全体を底上げする

・カスタマーサクセスとは「米国のやり方に変える」ではなく「日本人の得意技をデジタル時代によみがえらせる」という発想

引用:カスタマーサクセスとは何か――日本企業にこそ必要な「これからの顧客との付き合い方」 ISBN 978-4-86276-268-9 C0034  P182~190参照

<所感>
本書には以下の記載が第2書の末にあります。
全くその通りだと思います。かなり一つのセクションが長くなっており、しっかり整理しながら読み解かないと同じ話を繰り返ししているように聞こえますが、すべてにおいてカスタマー目線が共通項だからそう映るのだと思います。
第2章を細かく刻んでnoteにまとめてことで気付くことができました。
繰り返しますが、アウトプットが本当に重要!

カスタマーサクセスの「どうやる(How)」を一足飛びに語るのではなく「なぜ必要か(Why)」と「本質はなにか(What)」を丁寧に紐解いた

2章まとめました


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