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カスタマーサクセスとは#2-5(後半)

成功要因④データからカスタマーの未来を創るを#2-5では説明しました。
ただし成功要因④の説明はすべて完結する前に文字数が3,000文字を超えてしまい、残りをまとめると冗長に見えるため、#2-5(後半)と題して残りの内容をまとめていきます。

参考図書

リテンションモデルの成功要因

しつこいですが、この絵は忘れず。

リテンションモデルの成功要因1

リテンションモデルの成功要因2

原則4-1 データの統合・分析に投資する

・デジタル技術を使って今より一段高度なデータ活用を始めようというときは必ず投資が必要。投資には3つの目的がある
①使えるデータを使える状態にする
・基本的にデータは多いほうが良い
社内に膨大なデータがあるのに使えるデータがないことが多い
・データを統合するウェアハウスを構築する、既存システムの拡張機能を増やすなど各社の費用対効果を踏まえて決定する
②分析レベルを上げる・データサイエンティストとは、「データサイエンス(統計解析)」「エンジニアリング」「ビジネス」と多岐に渡るスキルを兼ね備えた希少人材
・データサイエンティストのような人材を自社に抱える必要は必ずしもなく、データサイエンス機能を備えたソリューションも増えてきている
・重要なことは分析し、その精度を向上させるために投資が必要ということ
③データ活用の専任者をおく・カスタマーサクセスに取組む企業には「カスタマーオペレーション」と呼ばれる部門がある
社内に存在するあらゆるカスタマーデータをフル活用することをミッションとし、データの分析や関連システムの管理・運用、カスタマーサクセスに関わるプロセス設計や人事関連の業務をする
・カスタマーと直接接触せずバックオフィス機能として活躍する
・カスタマーオペレーションはセールスオペレーションのカスタマーサクセス版
・セールスオペレーションは営業関連のデータ分析などを担当し社外にでる営業担当と分業して営業効率を上げる

引用:カスタマーサクセスとは何か――日本企業にこそ必要な「これからの顧客との付き合い方」 ISBN 978-4-86276-268-9 C0034  P157~160参照

<原則4-1の所感>
かなり詳細に組織の作り方について教えてくれています。
カスタマーオペレーション部隊というのは恥ずかしながら初めて知りましたが言われてみれば必要不可欠です。
情報システムの営業部門といったところでしょうか。
カスタマーサクセスにおいては、LTV最大化が重要なので、中長期にわたってデータの一貫性が必要不可欠ですね。
最初から80~90点レベルのデータ出力設計をしておかないと厳しいので、ここは相当難しいと思いました。

原則4-2 組織全体でデータをフル活用する

・カスタマーの育成や支援は、カスタマーサクセス部隊だけの役割ではない
営業、マーケティング、サポートなど部門名にかかわらず顧客接点をもつあらゆる部門の総力戦。以降各部門の役割について説明する
①カスタマーサクセス部門
<役割>
・カスタマーとの末永い関係の中で最も長期的かつ高頻度な顧客接点を担う
・社内で最も多くのカスタマーデータを操り、カスタマー一人ひとりの過去・現在・未来を知り尽くす存在
<データの利用>
・カスタマーサクセスにおいてデータは結果指標よりも先行指標または予測指標が重要
代表的なデータ指標として「ヘルススコア」がある。これはカスタマーとの関係の健全性=成功を手にする道筋を順調に進んでいるか、それともチャーンのリスクがあるかを多面的な視点で評価し分かりやすい指標(1つの数字)で見える化すること
カスタマーサクセス部門はこうした指標を独自に開発し、予測的な対応を日々実践する
②営業部門
<役割>
・リニューアルやアップセル/クロスセルなど要は契約にサインをもらうタイミングの顧客接点を担う
・サインをもらえるかどうかは、育成・支援フェーズの成否の結果であり、営業は収穫フェーズの担当
・現実的には育成・支援の最中にアップセルなど提案が発生するため、営業とカスタマーサクセス部門は密接に連携する
<データの利用>
・営業においてデータは特にアップセル/クロスセルの機会特定の精度と受注率を大きく改善させ、営業効率を上げる
③マーケティング部門
<役割>
・従来のマーケティングは買ってもらうまでの顧客接点を担った
・リテンションモデルでは、カスタマーが契約にサインした瞬間に契約更新に向けたマーケティングが始まる。カスタマーサクセスの世界ではこれを「カスタマーマーケティング」という
一般的に研修・教育プログラムの企画・運営、イベントやセミナーの開催、キャンペーンの企画・運営などを実施する
<データの利用>
・オンボーディング率やアダプション率の高低を左右する要所(トレーニング、キャンペーン、イベントなど)を担当する
それぞれのイベントで「こういう人は、こういう時、こうしたら、こうなる」法則を見出して対応する
④サポート部門
<役割>
・カスタマーがプロダクトの利用中に問題が発生した時に開始、問題が解決したときに終了する一定期間の顧客接点を担う
<データの利用>
・従来(Reactive)のサポートは連絡を受けて問題を解決
・Proactiveなサポートは連絡を受ける前に問題の存在を特定してカスタマーに知らせる
・Predictiveなサポートは発生していない問題を予知して解決しカスタマーに知らせる

引用:カスタマーサクセスとは何か――日本企業にこそ必要な「これからの顧客との付き合い方」 ISBN 978-4-86276-268-9 C0034  P160~165参照

<原則4-2の所感>
組織の部門に分けた役割とデータの活用方法を詳細に説明してくれています。
リテンションモデルにおいては、カスタマーサクセス部門とすべての部門が密接に関連することが分かりました。
組織が大きくなりすぎるとどうなるのかな?と思いましたが、ここは企業単位のミッション・ビジョン・バリューを文化として浸透させることで解決できるのだろうと感じました。


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