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遠隔授業の実践から学んだこと

 5月23日(土)、熊本大学教職大学院情報教育研修会がオンラインで開催されました。
 今回のテーマは、「遠隔授業で何ができるか?2」〜子ども一人一人に対応する〜というものです。遠隔授業が広く行われるようになったものの、従来型の一斉指導をオンラインでやっただけのものもあります。教師が子どもに一斉に知識を伝えるというタイプの授業を否定はしませんが、子どもたちの能力や特性、学び方は多様です。
 多くの学校において、試行錯誤しながら様々な方法を工夫し、その知見を共有することが必要なのだと思います。そこで今回の研修会では、子ども一人一人に対応した実践をされている4人の先生方に実践報告をお願いしました。
 自分なりに学んだことを簡単にまとめておきます。

 まず一つ目は、子どもや保護者からの情報の重要性。古田翔太郎先生(熊本市立麻生田小学校)の言葉の中に「今までは知ることのできなかった子どもの様子が分かった。保護者と顔を合わせることができた。」というものがありました。同期・非同期に関わらず、保護者を含めた双方向的なコミュニケーションによって、子ども理解が深まり教育効果を高めるということなのだと思います。
 二つ目は、教師の協働性。山田光太郎先生(熊本市立日吉小学校)の実践では、3人の教師がそれぞれ役割分担をして一つの授業を行うというものがありました。また、後藤匡敬先生(熊本大学教育学部附属特別支援学校)の学校では、遠隔教育推進プロジェクトを立ち上げたということでした。教師が協働することによって、よりきめ細かな指導が可能となり教師の負担を軽減させていくものにもなっていきます。
 三つ目は、視覚的に分かりやすい情報提示。山田先生の文章構成図や数直線の提示、後藤先生の位置を特定するためのアプリなど、情報として提示される教材の画面には、子どもの理解に合わせた様々な工夫がありました。まず、子どもたちが「今何をしているのか」「どう伝えればいいのか」を理解する必要があるからです。
 そして四つ目は、「自分に合う学び方」を学ぶということ。宮本美哉先生(熊本市立帯山小学校)の実践には、ICTを活用して自分に合った学び方をしている子どもの姿がありました。紙や鉛筆では不可能であったことが可能になっているのです。子どもたち自身が「自分に合う学び方」を獲得できるように教師が支援していくことの必要性を実感しました。

 学校が再開しても、元の教育方法に戻すというよりも、子どもたちに合った多様な学び方ができるように教育方法をバージョンアップさせるべきだと強く感じたところです。そのためには、教師側の教育観・学習観のバージョンアップも必要になるということでしょう。

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