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本試験を控えた皆さまへ

 いよいよ本試験ですね。ここまでの道のりはとても大変だったと思います。資格試験は、社会人の方が多く受験されます。私もそうですが、仕事や家事、育児・介護に追われる毎日は、喜びや新たな発見も多い一方、やはり肉体的・精神的な負担は大きく、学習を続けていくこと自体、言葉ではうまく言い表せないほどの苦しさや難しさがあります。クタクタに疲れて机に向かうことまではできたものの、気づいたら座ったまま寝てしまい結局何も進まなかったというようなことも何度もご経験されたと思います。

 仕事とプライベートの両立でさえ大変なのに、あえて果敢にご自身の抱かれた想いを実現されるために、資格試験にチャレンジをされた皆さまは、それだけでクライアントの心を掴める、試験合格の要件を兼ね備えた皆さまだと思います。どうか自信をもって試験に臨んでください。

 そうは言っても、多くの皆さまは「まだまだやり残したことがある」と不安だと思います。でも、落ち着いて考えてみてください。一生懸命に取り組まれた皆さまが準備不足を感じるような範囲の広い試験で「完璧に準備できる人なんて誰もいない」です。合格者は、皆さまと同じように準備不足で不安を抱えて試験に臨んだ人たちです。私自身、準備万端で臨めた試験なんて1つもありません。合格した後に「運よく合格できたけど本当にいいの?これで実務に出るのは不安だからもっと学ばないと」と思えるのが、もしかしたら、合格レベルに達したことの証なのかもしれません。

 ですから、どうかご自身で決めた「準備不足」を責めないでください。ここまで準備「不足」の範囲よりも準備してきたこと(できたこと)の方が圧倒的に多いです。不安になると、とかくマイナス面に目が行きがちですが、プラス面こそ積極的に見てあげてください。これまでやってきたことを振り返ると(使ってきたテキストや問題集をみると)学習の跡はしっかりと刻まれていることと思います。

 本試験を受けていると、必ず「ダメかも」と思う瞬間が出てきます。試験はそうなるように巧妙に仕組まれている(作りこまれている)ので、そういった感情は出てきて当たり前です。ですから、そう思ったら深呼吸(ちょっと間をおいてください)。「ダメだ」とか「分からない」と思ったら「次の問題こそ本当の勝負」と思って頭を切り替えましょう。この頭の切り替えはとても重要です。仮に次の問題でも「ダメだ」と思ったら、その次こそ勝負と思って先に進みましょう。頑張って準備してきた皆さんがそのように思う問題は、他の受験生も同じように思っていますからどうか気にされないようにしてください(そこで勝負はつきませんので)。

 最後に、私は、旧司法試験を複数回受験し、新司法試験で司法試験に合格しました。もう随分前になりますが、合格した日のことは今でも鮮明に覚えています。法務省のホームページで自分の受験番号を見つけ、「合格」を確認した後に、庭にいた父親に合格を伝えたとき、たまたま目に映った秋の澄んだ青空は今でも脳裏に焼き付いています。また、その夜は、いい歳をした男性が興奮して一睡もできずに朝を迎えてしまったこともよい思い出です。ここまで記憶に残っているのもそれまでハードな学習をしてきたから、本気で試験に向き合ってきたからだと思います。

 ここまで努力を続けてこられた皆さまにもぜひ同じような瞬間を味わっていただきたい、と切に思います。私は、資格試験は自分の可能性、選択肢を広げてくれるものだと思って取り組んでいます。資格を有していなければ、法的に業務を行うことを認められない資格はたくさんあります。そこでは、資格の「有無」が決定的に重要となります。高得点で受かったかとか、何回目で合格したとか全く関係ありません。ですから初受験の方も複数回受験の方も、どうか気にしないで目の前の試験に全力で取り組んでください。

皆さまの合格を心よりお祈り申し上げます!

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