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灯籠流しとGoogleマップ



灯籠流しとは、死者の魂を弔う儀式のことで、夏の風物詩とも言える。

地域によって灯籠流しの起源は様々あるが、その殆どが戦争で亡くなった人々への慰霊を発端としているようだ。

僕の地元でも、第二次世界大戦中の昭和20年に起きた長岡空襲で亡くなった人々への慰霊のために、毎年8月1日に灯籠流しが行われる。

灯籠流しを最後に見たのはおそらく子供の頃だったと思う。大人になった今、しっかりとこの目に刻みたいと思い、今年の8月1日は灯籠流しを見に行った。

『慰霊の灯火』

灯籠には、子供から大人まで様々な字でメッセージが書かれていた。

「世界が平和でありますように」
「ラブアンドぴーす」
「地球のみんなが笑顔でいられますように!」

数ある灯籠の中で一つ、印象的だった言葉があった。

「安心してください。家族なかよく暮らしています」

僕は昨年の6月に母を亡くした。太陽のような存在だった母を失った私たち家族は、それでも今、これまで以上に仲良く暮らしている。母は亡くなってもなお、私たちを強く結びつけてくれているのだと、日々思う。

もし、母に一言伝えられるとしたらどんな言葉を送るべきだろうとたまに考えることがある。ちょっと考えただけで伝えたいことが山ほど浮かんでくるけれど、やっぱり真っ先に「こっちは元気にやってるから、安心してね」と伝えたい。

余談になるが、この灯籠流しを見た夜、寝る前にふと思い立ってGoogleマップで実家のストリートビューを見ていたら、13年前の写真に母の姿が映っているのを偶然発見した。

写真に映る母は、ベランダに洗濯物を干している最中の何でもない日常の風景だったけれど、そんな当たり前の景色が実はすごく尊いものだったんだなと、今になって思う。

Googleさんに我儘を言えるなら、どうかこの写真をずっと残しておいてほしいと、そんなことを思った夏の夜だった。

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