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母と推し活

母の趣味をどれか一つ挙げるとするならば、真っ先に"推し活"の三文字が頭に浮かぶ。 私だけではなく、家族や友達も間違いなくそう思うほど、母の人生には途切れることなく推しの存在があった。 学生時代は洋楽にハマり、10代にして友達と海外を飛び回って外国人アーティストの追っかけをしていたそうだ。 そして結婚して子供を3人産み、立派な主婦になってからも変わらず(むしろ子供が成人してからは一層)推し活に花を咲かせていた。 母は推しによってSNSアカウントを使い分けており、中にはフォ

    • 灯籠流しとGoogleマップ

      灯籠流しとは、死者の魂を弔う儀式のことで、夏の風物詩とも言える。 地域によって灯籠流しの起源は様々あるが、その殆どが戦争で亡くなった人々への慰霊を発端としているようだ。 僕の地元でも、第二次世界大戦中の昭和20年に起きた長岡空襲で亡くなった人々への慰霊のために、毎年8月1日に灯籠流しが行われる。 灯籠流しを最後に見たのはおそらく子供の頃だったと思う。大人になった今、しっかりとこの目に刻みたいと思い、今年の8月1日は灯籠流しを見に行った。 灯籠には、子供から大人まで様々

      • 世界中の爆弾を花火に変えたら戦争はなくなる

        僕の地元では毎年、花火大会が開催される。 それは日本三大花火大会の一つに数えられている「長岡まつり大花火大会」というもので、二日間の開催で全国から何十万人という来場者が集まる市が誇る一大イベントだ。 そんな大花火大会の最初の一発目は、物静かな「白菊」という白い花火で始まる。 手向け菊のようなその花火は、嘉瀬誠次という花火師がシベリアに抑留された戦友たちを弔うためにロシアで打ち上げたのがはじまりだった。 この慰霊の花火がなぜ始めに打ち上げられるのか。 長岡まつり大花火

        • ひとつ寂しさを抱え僕は道を曲がる

          先日、母の一周忌を終えた。 母の命日である6月10日から丸一年が経ったわけだが、本当にあっという間だと感じる。 母を見送ったあの日から、自分の中に存在する時間の一部が止まってしまったような感覚でずっといる。 数年前の出来事を思い出そうとする時、無意識に母の命日を起点として考えてしまう。 母に関係のないことを思い返す時でさえ、「あの時はまだ母さん元気だったよな」とか、「この一週間後に亡くなっちゃったんだよな」とか、そんな具合に母の命日が常に頭の片隅にある。 自分が今ま

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        母と推し活

          あとがき

          前回の記事を読んでくださった方々、本当にありがとうございます。 想像よりもはるかに多くの方々に読んでいただき、温かいコメントも沢山頂いて大変光栄です。 あっという間に初盆が来たので、前回の記事で書ききれなかった母のことをもう少しお話しさせていただこうと思います。 お盆については、正直に言うとこれまでの人生で特に意識してきたことはなかった。というのも、我が家は典型的な核家族なので、母が亡くなるまではお盆という風習に関わる機会があまりなかった。 私は今20代だが、親戚が亡

          あとがき