見出し画像

「目を引く」写真が撮りたいあなたが読むべき一冊の本

写真、見てもらえてますか?
「これすごい!」となる写真、撮れてますか?

こんにちは、氏家 (@yasu42) です。

写真、撮ったからには見て欲しいですよね。
でも現実にはなかなか難しかったりします。

時間もお金も手間もかけて渾身の一作を撮った!
でもSNSや展示に出してみたら見向きもされない……

そういう経験がある方は多いのではないでしょうか。
もちろん私もあります。何度もあります。
なかなかにキツイものです。

反応など気にするな、という人もいますが、頑張ったら見てもらいたくなるのが普通ですよね。
誰にも相手にされない辛さは、私にもわかるつもりです。

では、写真が「目を引く」ために大事なのは何か?

コンセプト?
色?
メインの被写体?
マーケティング?

どれも大事です。重要です。
そのうえで断言しますが、もっとも重視すべきは構図です。

以前noteに書いた通りですね。

そこで今回は、構図を学ぶうえで最適の一冊を紹介します。

名著『filmemaker’s eye』の第2版。
初版に比べ2倍近く分厚くなりました。

本書の特徴は以下の2点

1:名作映画のシーンを扱っている
2:「どうやって」ではなく「何のために」

順番に見ていきましょう。


1:名作映画のシーンを扱っている

"filmmaker’s eye”のタイトルからわかる通り、本書は元々映画制作者向けです。
そのため、取り扱っているのはすべて映画の1シーンなんですね。
たとえば表紙は「ジョン・ウィック2」からとなっています。

他にも

・「マトリックス・リローデッド」でのネオvsスミス
・「ショーシャンクの空に」のレッドとアンディの出会い
・「ダイ・ハード」のマクレーンと黒幕の対峙

など、有名なシーンが満載です。

映画とは「特別な空間で観客の注意を集める」ことを可能とするメディア。
となれば、名作映画のシーンを分析すれば、「見る人の目を引く」のに役立つことは間違いありません。
そしてこの分析は写真に応用可能というわけです。

公式ページより引用)

このように、詳細に分析してくれています。
「名作映画のシーンを分解し、なぜ観客の目を引くのか解説している」という点だけでも必読でしょう。

しかし、本書の本当の価値は次の点にあります。

2:「どうやって」ではなく「何のために」

最大の特徴がこれです。

構図本は

・3分割構図はこう!
・日の丸構図はこう!
・串刺し構図はダメ!

と教科書的な内容になるのが普通です。
大きな書店の写真解説コーナーにいけば、山のように並んでいますね。

この点、本書はまったく違う。
見開きを1つ見てみましょう。

公式ページより引用)

名作「レオン」の1シーンです。
これを取り上げたうえで

「ミディアムロングショット」と分類
「キャラクターのボディランゲージ、表情の変化、ロケーションを同時に見せるための構図」と解説
撮影時の注意点

を説明しています。

つまり「構図を選ぶ理由とその際の注意点」を解説してくれているわけです。

これは大きい。
本当に大きい。

三分割が、日の丸が、と言われても、結局単なる知識の寄せ集め。
丸暗記して役に立つものでもありません。
「この写真は日の丸構図だからダメ」という主張がどれだけ無意味かは、歴史的な名作を見ればすぐにわかることでしょう。

一方、本書のような解説から学ぶとどうなるか?
「何のためのこの構図を使うのか?」という発想が身につくんですね。

たとえば、「グラビア写真集を売るために人気のモデルを撮影する」場合を考えてみましょう。

一般的に、森の中での超ロングショットを使うことはありません(変化球としてはありでしょうが)。
そんなことをしたらモデルは目立たないし、何が写っているかわからないし、「グラビア写真集を売る」という目的の役にはたちにくいわけです。

逆に「モデルとその場の雰囲気を伝えたい」という場合。
少し引いて全体をいれた構図を選ぶのは合理的です。
それこそ先のミディアムロングショットもですね。

このように

・この撮影の目的は何か?
・そのためにどんな構図が使えるか?
・その構図はなぜ機能するのか?

という発想を学ぶことが出来るわけです。

私の知る限り、写真の構図本でこの点に特化したものは多くありません。
以前も紹介した『PHOTOGRAPHERS'S EYE』くらいでしょう。

このように、映画本でありながら、写真を撮る人におすすめ出来る内容となっています。
Kindle版もありますし、一度目を通してみてはいかがでしょうか。
filmmaker's eye、おすすめですよ。


3:関連リンク


映画のシーンを「レンズ」という切り口から解説。
『filmmaker's eye』の番外編とでも言うべき一冊です。
画角による描写の違い、その使いこなし、光のコントロール、などなど、非常に密度の高い解説がなされています。
写真のレンズ本ではあまり見ない切り口なので、機材好きにもおすすめ。

本書を出版しているボーンデジタル社のホームページ。
分厚く、充実した、本当に有用な本が多く、個人的に一推しです。
CG系の方にもお馴染みではないでしょうか。
応援しています。


この記事が参加している募集

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?