『経済学って何だろう』-経済学入門書のご紹介【2】
早稲田大学政治経済学術院教授の戸堂です。
いま、経済学の超入門書を書いていて、2023年11月ころ新世社から出版予定です。そのご紹介をさせていただきます。
この本を書こうと思った経緯や本の特徴については、前の記事を参照してください。
この記事では、目次を紹介します。コアの部分は11章からなっていて、ミクロ経済学、経済成長論を含むマクロ経済学、国際経済学、開発経済学、行動経済学、政治経済学、計量経済学を、やさしく解説しています。
入門書ですので、多くの章では、現実の経済・社会問題を事例としながら、それを経済学で読み解くという方法をとっています。また、難しめのことがらは章の最初では端折って、後半の「経済学のツール」と名付けた部分でまとめて解説する形になっています。ですから、事例に基づく章の前半を読めば、とりあえずざっくりとした理解が得られ、後半でより深く学んでいけるのです。
それでは、やや長くなりますが、目次を列挙します。なお、これは初稿段階のものですので、最終的には変更する可能性があります。
目次
0 経済学って何だろう?
1 なぜ日本経済は長期間停滞しているのか?
-マクロ経済学(経済成長論)-
1.1 日本経済停滞の現状
1.2 日本経済停滞の原因
1.3 経済停滞にどう対処すべきか
1.4 マクロ経済学のツール
1.4.1 企業や経済全体の生産量はどうやって決まるのか
1.4.2 知識の創造にともなう外部性
2 国の経済規模や所得レベルはどうやって測るのか?
-マクロ経済学-
2.1 国ごとの経済規模を測る
2.2 国ごとの所得レベルを比較する
2.3 所得レベルで幸せは測れるのか
3 なぜ所得格差が広がっているのか?
-ミクロ経済学・労働経済学-
3.1 国内の所得格差の変化
3.2 所得格差拡大の原因
3.3 ミクロ経済学・労働経済学のツール
3.3.1 所得格差の指標-ジニ係数-
3.3.2 賃金はどうやって決まるのか
3.3.3 失業はなぜおきるのか
3.3.4 貿易が国内の賃金水準に及ぼす影響-国際経済学-
4 経済の均衡はどうやって決まるのか?
-ミクロ経済学-
4.1 人々は合理的に消費パターンを選択している
4.2 消費パターンは価格によっても決められる
4.3 様々な市場の均衡が経済全体の均衡を決める
4.4 市場経済の均衡は社会にとって望ましいか
4.5 人々は相手のことを考えながら行動する-ゲーム理論-
5 デフレやインフレはなぜよくないのか?
-マクロ経済学-
5.1 長期にわたった日本のデフレ
5.2 デフレが経済に及ぼす影響
5.3 デフレに対する日本銀行の金融政策
5.4 マクロ経済学のツール
5.4.1 貨幣が増えればなぜ金利が下がるのか
5.4.2 経済全体の物価と生産の関係-総需要・総供給モデルー
5.4.3 長期の経済学と短期の経済学再考
6 日本政府は財政支出を増やすべきか?
-マクロ経済学-
6.1 日本の公共投資・政府消費の推移
6.2 日本の政府財政の推移
6.3 財政政策はなぜ景気を改善できるのか
6.4 実際に財政政策は効果があるのか
6.5 マクロ経済学のツール
6.5.1 総供給・総需要・総所得
6.5.2 財政支出の乗数効果
6.5.3 財政赤字は問題なのか
7 経済のグローバル化は何をもたらしたのか?
-国際経済学-
7.1 グローバル化の拡大と停滞
7.2 グローバル化は経済に恩恵をもたらす
7.3 グローバル化の拡大要因
7.4 グローバル化の停滞要因
7.5 国際経済学のツール
7.5.1 リカードの比較優位の理論
7.5.2 幼稚産業保護論
7.5.3 国際貿易・投資に関するルール
8 なぜ開発途上国の人々は貧しいのか?
-開発経済学-
8.1 貧困国での生活
8.2 物的・人的資本不足による貧困
8.3 技術レベルの停滞による貧困
8.4 貧困が貧困をよぶ
8.5 開発経済学のツール
8.5.1 途上国農村の金融市場
8.5.2 貧困の罠の理論
9 人々は合理的に意思決定しているのか?
-行動経済学-
9.1 人間は利他的である
9.2 人間は他人を信頼して協力する
9.3 人間は損失を嫌う
9.4 人間は損失を見過ごす
9.5 人間は過去にとらわれる
9.6 人間の行動をちょっとした工夫で変える
9.7 行動経済学は伝統経済学をくつがえしたのか
10 政治問題は経済学で分析できるのか?
-政治経済学-
10.1 戦争と平和をゲーム論で考える
10.2 なぜ緊張関係は常に戦争とはならないのか
10.3 民主化の現状
10.4 民主化の停滞を制度の経済学で考える
11 因果関係はどうやって検証するのか?
-計量経済学-
11.1 回帰分析-経済学の定量分析の基礎-
11.2 社会科学において因果推論は難しい
11.3 実験による因果関係の識別
11.4 実験によらない因果関係の識別
11.5 実証分析のためのデータ
11.6 計量経済学のツール
11.6.1 最小2乗法
11.6.2 内生性
12 おわりに
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