オープン戦絶好調の阪神佐藤輝明は、果たして公式戦でも活躍できるのか?〜過去5年のオープン戦と公式戦におけるOPSの相関係数の算出〜
いよいよ明後日に迫ったプロ野球開幕。
開幕前に1ヶ月ほど行われるオープン戦で阪神タイガースは優勝を飾り、"今年の阪神は一味違う"、"阪神タイガース16年ぶり優勝や!"という声がちらほら聞こえる。
その中でも注目の的はドラフト1位ルーキー佐藤輝明選手だ。彼は大学ナンバーワンスラッガーの呼び声のままに、オープン戦6本のホームランを放ち、連日スポーツニュース番組で話題になっている。
彼のオープン戦の成績は打率.302、本塁打6本、打点9、そして目を見張るのがOPS1.078である。
このOPSという指標はどれだけの割合で出塁をしたかを表す出塁率とどれだけ長打を打てるかを表す長打率を合計した値だ。得点との相関が最も高い指標であるので、選手の真の打撃能力を総合的に反映させた数字であるといえる。
OPSは9割を超えると"一流"、そして1を超えると"超一流"といわれ、1を超えるのは例年各チーム1人いるかいないかである。
そう考えるとオープン戦とはいえルーキー佐藤輝明選手は"超一流"の打撃をしたということになる。
ではここからが本題。
果たして佐藤輝明選手は公式戦でもオープン戦のように活躍できるのか?
これにはルーキーという特殊な条件もあると思うが、サンプル数が少なくバイアスもかかりやすいので
過去5年(2016〜2020)におけるオープン戦規定打席到達者(簡単に言うと沢山試合で打席に立った人)のオープン戦OPSと公式戦OPSの相関関係
を調べることで解答を提示したい。
データのサンプル数は163である。オープン戦のOPSは載ってるサイトが見つからなかったので出塁率と長打率を足し合わせている。オープン戦の成績の列名には"−"、公式戦の成績の列名には"+"がつけてある。
最初の34サンプルまでの写真である。2016年から2017年のオープン戦規定打席到達者の成績なので、顔ぶれが興味深い。ギャレットやシリアコとか懐かしいですね。
横軸にオープン戦のOPS、縦軸に公式戦のOPSを取った散布図と2値の相関係数は以下である。相関係数とは2つの値の関係性を示すもので、必ず-1から1の値をとる。(-1に近いほど負の相関、0に近いほど無相関、1に近いほど正の相関がある)
散布図を見てみるとデータがまばらに散らばっていることがわかり、さらに相関係数は"0.18"と0に近い値となっている。
このことから"オープン戦と公式戦のOPSの相関は弱い"といえる。
つまり
オープン戦で良い打撃成績を残しても公式戦で良いとは限らないし、逆にオープン戦で調子が悪くても公式戦で覚醒する可能性も往々にしてある
ということだ。
佐藤輝明選手もオープン戦1ヶ月活躍したからといって、約半年のシーズン活躍が確約されてることは決してない。
よくオープン戦が調子良いから順位予想を変える解説者もちらほらいるし、オープン戦のたった数試合の状態を根拠に選手の状態を占う野球ファンがいるがそれはナンセンスだ。
僕は今年も例年同様に長い目でシーズンを見ていきたいと考えている。
明後日の開幕が待ちきれない。
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