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火の女神ペレが愛したオヒア・レフア。

ハワイの溶岩大地に咲いている真っ赤な花、オヒア・レフア。
オヒア・レフアと一言で呼ばれるが、実はオヒアの木に咲くレフアの花という言い方のほうが適切だ。オヒアは気の名前、レフアは花の名前だから。

オヒアの木はハワイ島でよく見かける樹木。溶岩だらけで植物にとっては生息しにくい場所にこそ、適応力を発揮している植物だからだ。
実はオヒアの木は、光を遮るものがなにもない溶岩大地だからこそ根付く。
こういう樹木を「陽樹」と言うらしい。
なにもない手つかずの大地に適応し、最初に生息する太陽大好きな植物だ。
陽樹が成長して森林を創ると、太陽の光は葉で遮られて地表には十分な光が届かなくなる。
そうすると陽樹は役割を終え、種子が発芽しなくなり、最終的には繁殖環境がなくなるというわけだ。
陽樹の代わりに日陰でも生息できる「陰樹」が次の出番。陽樹ほど太陽光を必要としないので、陰樹の森林が広がっていく。これが森の生態系だ。

しかし不思議なことにハワイ諸島ではオヒアの木の分布域が格段に広い。
その理由は、ハワイ諸島が大陸から遠く離れた太平洋の真ん中にあるため。
つまりかつては大陸に生息する陰樹がハワイ諸島には渡って来なかったからだ(もちろん現代は陰樹もあります、念のため)。

オヒアの親木が成長して森林ができると、その子どもたちは太陽光の不足で当然育たない。親木が寿命を迎えると森林は一斉に枯れ果てる。
枯れるとふたたび太陽光が差し込んでくる。すると新しいオヒアの木の種子が一気に発芽し、新たに森林を形成する。ハワイ諸島に生息するオヒアの木はこのサイクルをずっと繰り返してきた。悠久の時を経て世代交代を繰り返すごとに環境適応力がついてくる。動物でも植物でもそれは同じこと。

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環境適応したオヒアの木はさまざまな生息環境によってその姿を変える。
ハワイ島のプナ地区(ハワイ島の南東エリア)のオヒアは木の高さが20~30mにも達する。かと思えば、カウアイ島の湿原地帯では1mにも満たない。
背の高いオヒアの木の葉は明るい緑色で薄いのが特徴。一方、背の低いオヒアの木の葉は濃い緑で小さく分厚い上に、葉には繊毛が生えている。

ハワイ諸島の森を創った植物。そして火の女神ペレが愛した植物だ。
オヒアに咲くレフアの花は大抵は赤い花だが、中には黄色やオレンジ、稀に白もある。

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オヒア・レフアにはこんな伝説も残されている。

ある日、火山の女神ペレが海岸を歩いていた美しい青年オヒアにひとめぼれ。自分の恋人になるように迫るのですが、オヒアにはレフアと言う恋人がすでにいたためペレを拒絶します。気高く美しいペレは、情熱を放出しないではいられない火の女神。オヒアの反応に激怒し一本の木に変えてしまいます。帰らぬオヒアを想い、レフアが泣き暮れるたびに町には雨……。とうとう洪水まで引き起こしてしまいました。
それに困ったほかの神々が、ペレの魔法を解いてオヒアを人間に戻すことはできないけれど、せめてオヒアと一緒にしてあげよう……と、レフアをオヒアの木に咲く花の姿に変えました。
だからこの植物の名前は「オヒア・レフア」。オヒアとは木の部分で、レフアはその花のこと。島では今でもレフアの花を摘むと悲しみの雨が降ると信じられています。

ハワイでオヒアの花を見かけたらぜひその花のエネルギーを分けてもらって欲しい。意識を向けるだけで、かわいいなと愛でるだけでエネルギーは伝わってくる。
さまざまな環境に適応して順応性が出て、太陽の光を浴びて明るい気持ちになれるし、エネルギーもいただける。
ハワイ火山国立公園内にはたくさんのオヒアの木があり、赤いレフアの花を咲かせている。ぜひ探してみて欲しい。

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