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ほとんど情報がない日本人にとって一番未知のハワイ・ラナイ島のこと。

ハワイ主要6島(オアフ、ビッグアイランド、マウイ、カウアイ、ラナイ、モロカイ)の中で、おそらくもっとも知名度が低いのがラナイ島ではないだろうか?ラナイ島の情報もほとんどないし、泊りがけでこの島を訪れた人もほとんどいないのではないだろうか(知らんけど)。
かなりお金に余裕がないとこの島に泊りがけで訪れるのはなかなか難しい(でも無理ではない)。ほとんどはマウイ島のラハイナ港からフェリーを使って日帰りで行くことがほとんどではないだろうか。飛行機で行ったところでタクシーなどはない。レンタカーのオフィスも空港にはなく、町に一軒あるだけ。
この島に訪れるゲストのほとんどはゴルフ客だろう。あるいはフェリー乗り場から歩いて行けるフロポエビーチ(イルカがやってくる)で遊ぶことが観光のメインだろう。
車を借りれば島を巡ることはできるが舗装された主要な道路はほんのわずかで、ほとんどは赤土の大地をひた走るしかない。しかも普通の標識などはなく石に書かれた大雑把なものだけ(写真)、地図もあまり役には立たない。

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島にホテルは3つしかない。フォーシーズンズが2軒(海と山にひとつずつ。かなり高額)と、ラナイシティという小さな町にあるホテルラナイ(素敵なホテルだが部屋数が少ない)だけ。個人で宿をやっている人もいるようだがなかなか探すのが難しい。
ハワイの中でもかなりマニアックな島だし、訪れるのに勇気が必要な島、それがラナイ島だ。愛称は「パイナップルアイランド」。かわいい。
かつては世界のパイナップル生産高の20%を占めるパイナップル畑の島だったことに由来する。

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また「プライベートアイランド」という愛称もあるが島の98%を企業が持ち(現在は、オラクル・コーポレーション)、国有地はわずか2%に過ぎないことに由来する。
一般人にはあまり用事がない島だが、ビル・ゲイツとメリンダ夫妻、そして小栗旬と山田優夫妻の結婚式など、プライベートを重視する人たちの結婚式にはうってつけの島でもある。

こんな何もない島にも聖地はある。そのうちのひとつを伝説とともに紹介。

ラナイ島の島の中心にある奇岩が立ち並ぶ大地『神々の庭園(Garden of the Gods)』、ハワイ語では『ケアヒアカヴェロ(Keahiakawelo)』という名前が付けられている。

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このなんとも言えない荒涼とした風の強い大地には次のような伝説が残されている。

ラナイ島の偉大なカフナ、カヴェロは「火が燃え続ける限り、この島は食料であるブタと犬に困ることはないだろう」と人々に告げました。
それを聞いた人々は、カヴェロが焚く聖なる火を絶やしてはならないということで、燃料になる木とカヴェロの食事を運んで支援していました。カヴェロにはペペという娘がおり、彼女もまた聖なる火を絶やさないように手助けしていました。
モロカイ島にもワハというカフナが住んでおり、彼もまたカヴェロと同じように聖なる火を焚き続けていました。彼にもヌイという息子がいて、彼も火を絶やさないようにワハを手助けしていました。
実はヌイはカヴェロの娘のペペに恋心を抱いており、しばしばカヌーを漕いでラナイ島にいるペペを訪ねていました。
ある夜、ヌイとペペの2人は仲間たちと遊んでいました。時間を忘れて楽しんでしまったために、絶やしてはいけないといわれていたお互いの聖なる火を絶やしてしまうという大失態を犯してしまいました。父の怒りを恐れたふたりはマウイ島へと逃亡しました。
火が消えてしまったことを知ったラナイ島のカヴェロは絶望感に打ちひしがれ、マウナレイの崖から飛び降りてみずから命を絶ってしまいました。
現在、ラナイ島固有のブタと犬が絶滅してしまったのは、カヴェロの火が消えてしまったせいであると信じられています。

またもうひとつの伝説。

ラナイ島の偉大なカフナであるカヴェロは、ある日、自分がある種の超自然的な呪文によって能力が封じられていることに気がつきました。初めはラナイ島の人々の中にそのような超自然的な呪文を唱える者がいるのではないかと考えました。しかしいろんな人たちの話を集めてみると、それはモロカイ島でものすごいパワーを持っている伝説的カフナであるラニカウラが原因ではないかという結論に達しました。
それを知ったカヴェロは、ラニカウラを殺害するつもりでモロカイ島へと旅立ちました。
モロカイ島に到着したカヴェロはラニカウアに対して仲間であることを装って、ラニカウラと3人の子供たちと一緒にモロカイ島の東端にあるハラヴァという場所に滞在しました。
カヴェロがラニカウラを殺害するには、排泄物を燃やしてラヴェ・マウヌという儀式を行うことしかありません。しかし警戒心の強いラニカウラを前にそのチャンスはなかなかやってきませんでした。
ある日、カヴェロはラニカウラが自身の排泄物を処分している秘密の場所を知りました。カヴェロはラニカウラがモクホオニキと呼ばれる小さな島に行くのを目撃しました。ラニカウラはわざわざこの小島に渡って排泄し、排泄物を土に埋めていたのです。
ある夜、アヴァ(古代ハワイのお酒のようなもの)でラニカウラを酔わせて眠らせることに成功します。ラニカウラが熟睡したのを確認すると、カヴェロはカヌーを盗んで小島へと渡り、必要なものを集めてラナイ島へと帰って行きました。
目を覚ましたラニカウラは海の向こうのラナイ島で自分の排泄物が燃やされている紫色の煙を目にしました。
死を覚悟したラニカウラは3人の息子に自分の骨を人に見つからないようどこか安全な場所へ隠すように命じました。
その隠し場所を息子たちに尋ねると、長男は深い海の中に投げ捨てたらどうかと言いました。しかしラニカウラは満足せずに、今度は次男に尋ねます。すると人目のつかない高い崖の上に放り投げてはどうかと言いました。それでもまだ安全じゃないと思ったラニカウラは三男に尋ねました。すると彼は穴を掘って埋めてしまって、その上にたくさんの石を置いてはどうか、と言いました。ラニカウラはそれなら安全だろうと答えました。
モロカイ島にはラニカウラの骨が埋められているククイの森があります。
こうしてカヴェロは敵であるラニカウラの殺害に成功しました。
神々の庭園を訪れる観光客は祭壇のように石を高く積み上げる習慣があります。積み上げられた石の塚は、カヴェロがラニカウラを殺害するために利用した排泄物を表現しています。石を積み重ねるという習慣はこの場所以外では行われていません。

伝説にもあるようにラナイ島とモロカイ島はとても近い。
神々の庭園はラナイ島の標高の高い場所にあるので、モロカイ島を眺められる絶景ポイントでもある。

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ラナイ島は滅多に訪れることはないと思うが、ゴルフを楽しむ人にとっては最高かも知れない(個人的にはマウイ島で十分だと思うが……)。また何もせずにのんびりと優雅なホテルライフを過ごすにはうってつけの島だ。外に出れば本当に自然しかない。よほどのことがない限り、この島を訪れることはないと思うが、それだけに自然のエネルギーはパワフルで濃密だ。
またラナイ島の聖地を紹介するタイミングでこの島に触れたいと思う。

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