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ハワイ島の超パワフルな聖地『プウコホラー・ヘイアウ』。

ハワイ島の北西部にあるコハラ・コースト。ここはハワイ島の中でも晴天率の高いことで有名な土地である。リゾート地として有名なワイコロアやマウナ・ラニをさらに北上した場所だ。

この地にカメハメハ大王に縁の深い聖地『プウコホラー・ヘイアウ』がある。
プウとは丘を、コホラーとはクジラを意味するハワイ語。つまり「クジラの丘の聖地」ということである。

このヘイアウが建設されたのは、1790年から1791年にかけてのこと。
カメハメハみずからも建設に携わったと言われている正真正銘の超パワフルな聖地だ。この聖地をカメハメハがみずから建設したのには理由がある。

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1782年にハワイ島の北西部の王となったカメハメハは、カウアイ島の名高いカフナ(預言者)だったカポウカヒから、ある神託を告げられたことに由来している。

その神託とは……

「プウコホラーの地に巨大なヘイアウ(神殿)を建設すれば、一族の軍神であるクーカイリモクが必ずや味方につき、ハワイ諸島をみずからの手中に治めることができるであろう」

というものだった。

カフナの預言に従ってカメハメハは早速ヘイアウを建設する準備に取り掛かった。何千人という労働者を使い、コハラ・コーストの最北部にあるポロル渓谷から人が数珠繋ぎになって手渡しで石が運ばれ、一年掛かりで完成。
1791年に完成したヘイアウにカメハメハは彼のいとこであり、最大のライバルでもあったカウ地域(ハワイ島南部)を治めていた王ケオウア・クアフウラを「長きに渡る争いを終結して和平を結ぼう」と言って招待したのだ。

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しかしこれはカメハメハの策略だった。
はるばるやってきたケオウア王と彼の臣下たちは、ヘイアウに到着するとすぐにカメハメハの臣下たちによって捕えられ、殺害されてしまったのだ。
ケオウア王の遺体は軍神クーカイリモクへのホオクプ(御供物)として、生贄となってヘイアウの祭壇に供えられたのだ。
ハワイのアリイ(王族)階級には強力なマナ(聖なるエネルギー)が宿っているといわれていた。アリイの中でも南部を統治していた王の魂となれば、そのマナのパワーは計り知れなく、この生贄は最高の効果を発揮したのだ。

その後、マウイ島、ラナイ島、モロカイ島、オアフ島の各島を次々に制覇していき、カメハメハはハワイ諸島を統一した最初の王としてハワイ王朝を樹立し、大王として君臨。カフナの神託は見事に的中したのである。

現在、プウコホラー・ヘイアウは国立公園に指定されている。
ヘイアウ自体は1928年に再建されたもので、68m×30mという巨大な石垣が今も “クジラの丘” に鎮座している。

実はこの敷地内にあるのは、このヘイアウだけではない。
プウコホラー・ヘイアウのすぐ下にマイレキニ・ヘイアウという横に長いヘイアウがある。

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このヘイアウ(手前の石壁)が建てられたのはプウコホラー・ヘイアウ(上奥)よりも古く、1600年代の中頃だと言われている。
時代の流れの中でさまざまな目的で使われてきたこのヘイアウは、カメハメハの時代には要塞(砲台)として利用されてたと伝えられている。
キャプテン・クックの来島以来、西洋人がハワイに入ってくるようになり、カメハメハは西洋文化の発展を脅威に感じていた。
特に彼らが持つ戦いの道具(武器)はハワイで目にすることができないものばかりで、その圧倒的な破壊力にみずからの支配を脅かされるのではと警戒心を持っていた。
カメハメハはこのプウコホラー・ヘイアウが立つふもとの港と近隣にあるカワイハエの港を守り、みずからの支配を永続するために、大砲を装備した要塞を造ることを決めたのだ。
外交貿易によって手に入れた大砲はマレイキニ・ヘイアウだけでなく、カメハメハが信頼する外交アドバイザーのひとりジョン・ヤングの指示のもと、カワイハエ港にも取り付けたと伝えられている。

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マイレキニ・ヘイアウは要塞へと変化するわずか35年前、ハワイには金属の道具、車輪、荷物を運ぶ動物など、世界の多くの文明が何千年も前に使っていた技術さえ持っていなかったにも関わらず、カメハメハの時代にハワイへ入ってきた西洋文化の影響はハワイの歴史を劇変させる大きなきっかけとなったのだ。
同じ敷地内に建つプウコホラー・ヘイアウが古代から延々と継承される伝統と信念を象徴しているのに対し、マイレキニ・ヘイアウは西洋文化の流入により、ハワイが急速に近代化していく世界への順応力を象徴している。
カメハメハのカリスマ性はこのようなバランス感覚を持った政治手腕にも表れているのである。

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さらにヘイアウから眼下に見える海の沖合には、この地域で伝承されているマノ(サメ)の神を祀ったヘイアウが沈んでいる。
ハワイでは古代よりアウマクアと呼ばれる家の守り神が存在している。その多くはホヌ(ウミガメ)やプエオ(フクロウ)などの動物で、ここに祀られているマノもアウマクアの一種である。
海に沈んでいるヘイアウは、ハレ・オ・カプニ・ヘイアウと名付けられ、マノのアウマクアへの供物を作っていたとされている。

このようにプウコホラー・ヘイアウ国立公園には3つのヘイアウが存在し、ローカルのハワイアンをはじめ、観光客も数多く訪れるパワフルな聖地であり強力なパワースポットとなっている。

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