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【とある文学賞】受賞発表

とある文学賞とは

とある文学賞とは、文豪缶詰プランの世界だけに存在する(つまり架空の)『タイトルだけで勝負する文学賞』です。

文豪缶詰プランについてはこちらをご参照ください。

プランに参加の先生方の中でご希望の方に、文学賞受賞候補作品の『タイトル』をご提出いただき、とにかくタイトルだけの情報で進行していくというものです。

少し前から、プラン参加者でなくても、どなたでもご参加可能なWEBでの読者?投票を導入。
タイトルを見て「これは良い作品な気がする!」と思った作品に投票し、さらに任意でタイトルから連想するストーリーをもとに架空の感想をいただいております。

読者の皆様の感想が毎回素晴らしすぎて、この感想から生まれる作品があるのでは、と思うほどです。そのあたりは是非ともタイトルを提出された先生方に頑張っていただきたいものです!!(先生方に圧)

では、今回の感想(妄想)をご紹介したいと思います!

文学賞候補作一覧

【幾千の時を越えようとも】

さくしゃ 著

●ラストでサイボーグの主人公がヒロインを助けた後に親指を立てながら溶鉱炉に沈んでいくシーンは涙無しには見られませんでした。先生の今後の作品も楽しみにしたいと思います。

●聖徳太子との恋…、悲恋…、たまらなかったです!!歴史を学びながら、心がときめくというはじめての経験でした。仏教に帰依しようかと思います!

【アブソリュート・ベーコンレタス】

黒椿理織 著

●序盤はナイスミドルなおじさまと純朴ボーイの恋愛かと思いきや、まさかのハートフルなお話で、じんわりと心があたたまりました。この本を読んだあとは、きっと作中で何度も登場する、あのジューシーなベーコンレタスサンドが食べたくなることでしょう。

●ベーコンレタスも極めるとあんなふうになるんだなと本当に感心しました。私も思い切って旦那に離婚届を出そうと思います。勇気と最高のレシピをありがとうございます。(50代・女性)

●読んで改めて、自分が完璧主義者なのかもしれないと、自覚しました。完璧を追い求めたくなるけど、そうじゃなくてもいいんだと思わせてくれる良作でした!

【虚空の花】

椎名 著

●青年が花屋で彼女を思い出してふと涙がこぼれたシーンの美しさが印象的で、花を見るたびに思い出しそうです

●復讐の果てに彼が掴んだのは何だったんだろう…。最後の花の描写が彼が死んだのか、それとも再び彼女と出会うことができたのか、それとも…と色々な想像をしてしまい、眠れなくなってしまいました。次回作も期待しています。

【全沢直樹】

森井戸濁 著

●銀行の不正や電機メーカーの不祥事を暴こうとしたり、下町の町工場でロケットを作ろうとしたり、ランニングシューズを開発しようとしたり、何事も全力でやるけど失敗しちゃう――けどまた懲りずに次に向かう直樹に、私も失敗を恐れず何かやろう、と勇気をもらいました。

●なぜか銀行の不祥事を次々に立ち向かう銀行マンの話かと思ったのですが、まさかの不祥事を隠す側の話でした!不祥事を見破られそうになった時の「やられたらやり返す、全力でな!」という決め台詞は、完全に逆ギレなのに、潔くてかっこよかったです。

【蜃気楼を踏む】

楢崎灯子 著

●現代社会を鑑みるに、自身の将来を彷彿とさせる鬼気迫る文章に圧倒されました。今年一番の周囲の人達に薦めたい一冊です。

●主人公が信じられなくなっているのに、そのパートナーがひたすらに「蜃気楼」という伝説を追いかける、と言い切る姿に心を鷲掴みにされました。ラストに彼が言ったセリフで涙腺決壊です。最後の一文がエモ過ぎる!

●蜃気楼とはすなわち虚像。それを踏み締めた時主人公が感じていた道程と達成感もまた、同時に虚像であるというダブルミーニングを成立させる文体に鳥肌がたちました。蜃気楼を彷徨う地に足の着いていない主人公に共感しつつ、押しに弱く流されてしまう彼の人生に共感を覚えました。次回作も楽しみにしてます。

●巨人との戦いがスペクタクル感満載でドキドキしながら読みました。

【君と世界と塩胡椒】

絵空ハル 著

●いわゆるセカイ系の話だと思って読み進めていたが、素晴らしいSFかつ恋愛小説だった。ミステリ的な要素もあり、結末はまるでホラー小説と言ってもおかしくはないほどの読後感であった。塩胡椒一粒の世界がここまでの広がりを持たせるとは…続編の百科辞典編への布石も丁寧であり、まさに傑作といえる。

●題名がふざけていたのでコメディ作品だと思っていたのですが、本を閉じる時には涙が止まりませんでした。「君」と世界が天秤に掛けられた時ここでキーアイテムの塩胡椒があんな使い方をされるなんて・・・!伏線回収がお見事でした。文学全私が泣いた賞持って行って下さい。

●タイトルの「塩胡椒」がどういう意味か考えながら読み進めましたが、納得でした!!人生のしょっぱさや辛さが程よくあるからこそ、甘みや渋み、旨みなんかが際立つ。今の世知辛い世の中で生きる事に疲れてましたが、この本を読んで、これも必要な味付けなんだと思えたら、少し生きるのが楽になりました!ありがとうございます!!

【今日から晩御飯がない】

藍沢紗智子 著

●冒頭第一行目がタイトルのこの言葉から始まり、まさか百年に渡る因縁の物語が繰り広げられるとは思いませんでした。壮大なストーリーに引き込まれてあっという間に読み終えました。次回作も楽しみにしています!

●最初は奥さんが家出した話なのかと思ってましたが読み進める内に奥さんが亡くなっているという事実、そして死の真相に驚きながら泣く「驚き泣き」をしてしまいました…!次回作も期待しています!

●いきなり妻が出て行ってしまい毎日の晩御飯に奔走する主人公が面白かったです。この先、無事妻と寄りを戻せるのか。出てくる料理も美味しそうでしたが、定食屋さんの気になる看板娘。居酒屋の女将さんなど飲食店で出会った魅力的な女性とくっついてしまうのか。絶妙な関係で終わったので続きがとても楽しみです。

●関西弁で繰り広げられる応酬にお腹を抱えて笑いました!

●無職になって貯金が尽きた? 晩御飯を作るのを嫁に任せきりにしてた旦那が愛想尽かされたとか?などと思うじゃないですか。とんでもない、哲学でした。目から鱗です。その発想は無かった!という傑作で、人を選ぶとも思いますが読んで損は無い作品でした。

【肉まんは酢醤油で食べる派】

文旦飴 著

●“〜派”と称すると周りと色々な軋轢を生む事もありますが、大変参考になったhow to本でした。因みに私は“あんまん”派です。

●かつてダンボールが具材として入っていた事件を発端にストーリーが進むのですが、本当の肉まんとは何か、はたして肉まんに調味料をつける必要性があるのか、改めて深く考えさせられる社会派作品でした。ちなみに私は主人公の姉と同じソース派です。

●肉まんは辛子醤油で食べる派と、肉まんは酢醤油で食べる派の、熾烈な派閥争いの中で、互いの派閥にいながらも惹かれ合う主人公とヒロイン。雪降る寒い冬に互いの想いを知ったあとに、肉まんを半分こして食べるシーンの描写は素敵でした。

●恋愛とか億万長者とかそんなありきたりな幸せじゃなく、あなたなりの幸せを見つけましょう。そんなテーマがあふれる昨今、潔く「わかりやすい幸せが欲しいんじゃ〜!」な七転八倒に腹を抱えて笑いました。

受賞作は!

本当にどの作品も素晴らしい作品でしたが、読者票を一番多く獲得したのは…

『今日から晩御飯がない』

でした!

定年間際の男性が、妻に家を出ていかれてしまったところから、「家は勝手に片付いているわけではない」「晩御飯は勝手に出てくるものではない」ということに気づき、妻のありがたみと大切さを改めて実感し家族の絆を取り戻していく――と見せかけて妻の裏の顔を知り巨大な陰謀に巻き込まれていくというサスペンスストーリー!(※これも妄想)だったようです。

藍沢紗智子先生、おめでとうございます!

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