無理のない自然との接し方〜ネイチャーピラミッドについて〜
こんにちは!安永翔太です。今週は、自然の触れ合い方についてのガイドラインとなる考え方をご紹介したいと思います。
本記事の構成は、前半で僕が好きなアウトドアフィールドの紹介とどんなところが好きだったか、後半は自然との無理のない接し方を〈ネイチャーピラミッド〉を使ってお伝えできればと思います。
(※前半部分は2021年1月15日に投稿したnote「アウトドアする人だけの贅沢な時間"the time"とは」をもとに加筆・修正しています。)
世界が認めるホワイトウォーター
高知県から徳島県にかけて流れ、日本三大暴れ川の異名を持つ四国吉野川。
全長197kmある流域の内、中流域に位置する峡谷を大歩危・小歩危峡と言い、激しい瀬が連続する激流区間はラフティング・カヤックのメッカです。2017年のレースラフティング世界大会も開催されています。
激しいだけじゃなく、澄んだ綺麗な水質をしていて(早明浦ダムが放水しなくなる秋は特に綺麗)、鮎釣りも盛ん。仁淀ブルーで有名な仁淀川と負けず劣らず美しい川です。
僕は過去にモンベル在籍中、ここで大歩危小歩危ラフティング事業の担当をさせてもらっていたことがあります。
(参考動画)
この動画は、同業他社である吉野川のラフティングカンパニー「HappyRaft」のPVです。大歩危小歩危の景色やラフティングの雰囲気がとてもわかりやすいので、ご参考までに。
※見ずに読み進めて頂いても構いません。ご興味ある方は是非。
フィールドの条件が揃う瞬間
僕はこの吉野川で、ホワイトウォーターカヤックというアウトドアスポーツに出会い、激しい川を下る爽快さに魅了されていきました。
特に吉野川に住んだ2年間は、仕事でもプライベートでもラフティングやカヤックで吉野川を下る、とにかく吉野川三昧の生活でした。
そんな中、特に好きだった時間帯が夕方。
ーその日最後のゲストを見送って、ツアーの片付けを済ませ、あらためてガイド仲間達とカヤックでもう一本下る。
毎日何本も下っている川なのに、ゲストを乗せてラフティングボートで下っている時とは、また違う雰囲気があります。
ー1日の終わりを感じさせるヒグラシの鳴き声だったり、とろけるような水面にカヤックで浮かぶ気持ち良さ。白く泡立つ激しい瀬は、夕日でオレンジ色に染まって、その水しぶきが日焼けで火照った身体に染みいるような感覚。
言葉では表現するのはなかなか難しいですが、もうずっとこの場にいたくなるような、素晴らしい時間でした。
今考えるとその瞬間は、吉野川というフィールドの"条件が揃った”瞬間であり、その空気に包まれる体験は、今まで自分が体験したどんなお金をかけたものよりも贅沢だったと思います。
サーフィンで例えるならば、波も良く、天気も良いパーフェクトな日のことを「THE DAY 」と言ったりしますが、それに似てるかもしれません。あえてそれに寄せるなら「the time」でしょうか。笑
日本は自然が豊かである
僕は、この "the time"な瞬間に包まれる感覚は、普段の都市化された生活では、なかなか味わえないと思っていました。
特に、カヤックやサーフィン、キャニオニングなどハードなアウトドアスポーツをやらないと味わえないのではないかと。
ですが、最近は子どもと行くハイキングや公園での森林浴などライトなアウトドアでも、近い感覚が味わえることがわかってきました。
どんなに都会であろうが、自然は必ずあります。太陽の光や風、鳥の鳴き声、観葉植物なども自然だと考えると、例えば通勤時に自然に全く触れずに会社に行くことはほとんど不可能です。
それどころか、四季があり森林占有面積が広く、島国である日本は、世界的に見ても日常的に色々な風景を見れるチャンスがたくさんあると思っています。
少し話は飛びますが、スポーツ庁の「アウトドアスポーツ宣言」の文中にも、日本には”上質なパウダースノー,6,000を超える島々,急峻な山岳地帯など,世界に誇る,恵まれた自然環境と四季の魅力がある"との記載があります。
別の言い方をすれば、日本には、どの地域にもまんべんなく、山があり川がある。そして、海に囲まれている。これは、どこに住んでいても、ちょっと車で走れば、豊かな自然を楽しむことができるということです。
ネイチャーピラミッド
ここで、最近読んだ書籍に書いてあった〈ネイチャーピラミッド〉という考え方を紹介したいと思います。
この本は”自然から得られる恩恵は、その中で過ごす時間と正比例の関係にある”ということを、色んな研究結果や事例などの科学的根拠に基づいて書かれています。
その中でも目から鱗だったネイチャーピラミッド(写真)。このピラミッドでは、必要に応じてどのように自然を接すればいいかが一目でわかるようになっています。
以下抜粋です。
ピラミッドの底辺
日々触れ合うべき身近な自然。都会に住んでいたとしても、外に出れば鳥がさえずり、木立があり、水辺や噴水があります。公共施設や商業施設のなかでも、陽光が差し込み、新鮮な空気が吸え、青い空や自然の風景を垣間見れる場所があるはずです。
日常的に自然と接すれば、ストレスが軽減され、集中力が高まり、疲れた心と身体が癒されます。ピラミッドの2段目
週に一度は行くべき場所として、公園や川が挙げられます。都会の喧騒から逃れ、最低でも週に1度、1時間はこうした場所で自然を全身で感じる。例えば、都会の中の緑豊かな大きな公園。もしなければ、気軽に足を伸ばせる広い公園でゆっくりしてみましょう。ピラミッドの3段目
ここから、それなりの努力をしないと辿りつけないような場所になります。月に1度は山で森林浴に出掛けたり、静かで心休まる場所に出掛けましょう。そうすれば、免疫力の向上も期待できます。ピラミッドの頂点
滅多に行けないような雄大な自然にどっぷり浸かりましょう。年に1度、もしくは2年に1度は、そうした場所で何日か過ごし、心に残る体験をすること。
そうした旅を通じて脳の核にある部位が変化し、希望や夢といったものがはっきりと見えてくることがあります。さらに自然に畏怖の念を持つことで、人との絆が強まり、森羅万象における自分の存在に思いを馳せることができるはずです。
出典:NATURE FIX 自然が最高の脳をつくる 最新科学でわかった創造性と幸福感の高め方
いかがですか?僕はこれを知った時、無理してハードなアウトドアをやらなくてもいいんだ、と気付かされました(もちろん、ハードなアウトドアをやるメリットもたくさんありますが)。
思うようにアウトドアに割く時間が取れなくても、まずは、身近な自然に触れることを意識するだけでも良い効果があるんです。
もっと知りたい方は書籍も是非読んでみてくださいね!
今週はこの辺で。では良い週末を!
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