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「UL」の醍醐味は自然との一体感

こんにちは!毎週読んでくれている方はご存じかもしれませんが、最近子どもと山に行けるようになったことで、数年ぶりに登山が面白い!とソワソワしている安永翔太です(笑)。

そんな感じで久しぶりの山登りを再開した今、改めて「ウルトラライト(=UL)」という言葉が気になり始めています。

ウルトラライトとは、登山やハイキングでの超軽量な装備のことを指すのですが、よくよく調べてみると、荷物の重さだけじゃない哲学がありそうなので、今回はそれについてお話ししたいと思います。

ウルトラライトの基準について

ウルトラライトハイキングは元々、アウトドア大国であるアメリカで確立されたスタイルです。アメリカでは、数か月間かけて長いトレイルを歩くスルーハイクという文化があります。

そんな長大なロングトレイルを歩くスルーハイカーによって培われてきた、荷物を極力減らしながらも安全に、かつ(できる限り)快適にハイキングするための手法がウルトラライトハイキング。

では、どのくらい荷物が軽かったらウルトラライトなの?という疑問が浮かびますが、荷物重量に目安があります。

1泊以上のハイキングで、水・食料・燃料と言った消費材を除いたバックパックの重量が、5キログラム以下がウルトラライトの目安となっているようです。

ウルトラライトは5㎏以下目安(図出典:ウルトラライトハイキング)

これ、1泊以上で荷物5kg以下って、かなりシビアです。5㎏以下に抑える為には、まずはバックパック・テント・スリーピングバック&マットを2.5~3㎏以下に抑えることがポイントになります。

一般的な登山装備の重さで考えてみます。

バックパック50ℓ:約1.5㎏
ダウンシュラフ(3シーズン用):約0.6㎏
軽量ソロテント:約1.5㎏
テントマット:約0.4㎏

上記4点を合計すると既に約4㎏。サンプルにしているのはライト&ファストをコンセプトとしているモンベルの軽量&高性能ギア。どれもそこそこ軽い方ですが、これでもウルトラライトの目安より1.5㎏もオーバーしていました。


軽量化する目的は『自然との一体感』

では、これ以上装備を軽くすることで何が起きるか。それは、快適さを確保するのに(高機能な)道具に頼ることができなくなるということです。

上記でリンクを貼ったモンベルの高機能ギアがあれば、日本の春〜秋のどんな山でもそこそこ快適に寝れると思います。

モンベル装備での一例。上の図だとライトウェイトに相当。これでも十分軽い。(写真:Yuya Nojiri)

ですが、ここからさらに軽量化を図るとなると、余分な機能性を削ぎ落とさないといけません。

例えば、テントの代わりにツェルト(全面が覆われていない超簡易的なシェルター)を使用することで外気に晒されながら寝ることになったり、スリーピングバッグはより保温性が低い製品をチョイスすることになるのでダウンジャケットのまま眠ることになったり、スリーピングマットは短くなるのでより地面を感じやすくなったりする訳です。

この結果、必然的に自然との距離が近くなり、自然と向き合いながら対応方法を考えるようになるというわけです。

道具を軽くシンプルにした先に、『自然との一体感』という心に残る体験がある。これが、ウルトラライトの醍醐味だと思います。

ウルトラライトの基準より哲学を

とはいえ、ウルトラライトの基準(ベースウェイト5㎏以下)を無理して満たさなくても良いと思っています。むしろ大事にしたいのはその考え方です。

これから山歩きやアウトドアアクティビティを始める人にとっては、多少荷物が多かろうが、これまでより自然を感じれるのは間違いないはずです。

ですが少し慣れてきたら、荷物を増やすのでなく、減らすことを意識してみても良いかなとは思います。新しいギアを買う時も、アイテム数を増やす買い方ではなく、一つで複数の役に立ってくれるギアを選択するとか。

例えば、クローズドセル式(こんなやつ)のスリーピングマットを買うとします。それを、寝る時用のマットとしてだけじゃなく、焚き火を囲んでご飯食べる時の座布団代わりとしても使ってみる。そうすると、今回はチェアを持って行くのをやめてみるか...。とかができるわけです。

荷物も1つ減るし、地べたに座り込むから地面が近くなる。結果的に自然が近くなるってわけです。

クローズドセル式のマット。何かと使い勝手が良い。(写真出典

僕はよく、オートキャンプでやりがちなんですが、車に載せれるからどうしても家財道具のようにいっさいがっさいギアを持って行ってしまいます…笑。

これによって、準備片付けが余計に大変になったり、結局使わないものがあったり。そういうのが、自然を楽しむためのノイズになってしまう可能性だってある。

オートキャンプだったとしても、準備段階から要るモノ要らないモノをしっかり考えて、装備をシンプルに見直すことで、ウルトラライトに込められた哲学に少しは近づけるかなと感じています。


以下は、ウルトラライトハイキングの父と言われているレイ・ジャーディンの言葉です。

"過剰な装備は必ずしもハイキングやキャンピングの楽しみや安全の本質ではない"


今週はこの辺で。来週もウルトラライトについてもう少し書いてみようと思います。では、良い週末を!

(参考書籍:「ウルトラライトハイキング」
(表紙写真:Yuya Nojiri)

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