インターネットが壊れた

 インターネットが壊れた。

 ルーターのランプが赤点滅することってない。もうこれは壊れてるに決まってる。ケーブルが壁の奥に消えたその先が全部吹き飛んで、インターネットとはもう会えないのだ。

 陰湿なインターネットはその陰湿さ故に僕と仲良しだった。僕は誰のことも傷つけたくない割に、皮膚にカッターナイフが生えそろっている。ほとんどインターネットみたいなもんだ。

 タッチパネルに向かって指を押し付けることを「対話」だとしたくない。対話はもっと疲れるものでないと、誰も彼もが夢中になって一向に終わらない。インターネットの電気はつきっぱなし。

 不夜城のちらつきで視力が落ちる。ご飯は喉を通ろうとしてくれない。日差しはいつも強烈な電波に遮られている。インターネットが守り神で、祠が僕である。すっかり苔むしてぼろぼろなところがいかにも。

 さよならインターネット。一緒にいるときしか一緒にいたくないあなた。一緒にいないときは一緒にいたくないあなた。

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