土くれを踏むだけ

 土くれを踏みつけて、思ったよりも軽く弾けるような、まるで空気の抜けるような感触で意表を突かれる。水分という余裕を失った塊の瓦解が思いがけず衝撃だったので、少しだけ足を止める。そして、もう一度踏み込んでみる。すでに散開した砂埃たちは土くれだった頃よりもむしろ頑丈に反発する。いや、散開したというのが間違った表現だったのかもしれない。こいつらはもっと大きな、地球という土くれに同化したのだ。そして地球ほど水に溢れた土くれもあるまい。なんとなく足で、ぐりぐりと砂を蹴散らす。その勢いで歩き出して、今日が始まった。

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