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読書日記『百年後 嵐のように恋がしたいとあなたは言い 実際嵐になった すべてがこわれわたしたちはそれを見た』(野村日魚子,2022)

帯には「この本は野村日魚子(かなこ)の第一歌集!」とある。そうなのだ、これは歌集だし、タイトルは短歌なのだ。

「ヒュー!日向 マッチング短歌」の日向市での交流会の際に、話題に上っていて、気になったので買ってみた。

予想以上によかった。半ギレしそうなくらいよかった。バイト中も頭から離れなかった。

この歌集については、千種創一(歌人・詩人)が評しており、その評も良かったので置いておく。

タイトルを含め、ほぼ全て好きな歌なのだが、10首だけしか選べないとしたらこれを選ぶね、という10選を記録しておく。

生きてると死んだの間に引く線の態(わざ)とぐちゃぐちゃ……、生きていてほしい 

p27

夜には近くで ベランダに
光る食器を多く並べ生まれ
てからずっと話したかった
ことを話した 

p47

屋上へ向かうとき少しずつ地上がはなれても羽は生えていないこと 

p50

いなければ一生死なないうさぎなら泣かなくていいな明かりを消した

p73

ていねいに朝みがく歯の永久歯の永久の永久さのこと考えている

p81

あったかいパンが入っていた袋曇っていて曇りごと捨てる

p110

なんでも教えてくれた人はもういなくて木の? たくさん生えた? 場所? を歩く

p121

恋愛の話をするな おれは恋愛がきらいだ 生まれたときからそうだった

p137

いろいろな本がありここは居場所ではないと思ってしずかに通る

p146

百年後 

   嵐のように恋がし
たいとあなたは言い 

      実際
嵐になった 

      すべてがこわ
れわたしたちはそれを見

          た  

p171-179




読了日:2023/02/24


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