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はじめての個展を終えて


先週木曜、はじめての個展を終えました。
会場は、廃校をリノベーションしたカフェであり障がい者の就労支援を行うhikari no café蜂巣小珈琲店のギャラリー。
『解く』というテーマで、これまでに作った短歌や詩、すこしの絵と写真を展示しました。


私は双極性障害という躁状態と鬱状態を大きい波のように繰り返す精神疾患を抱えていて、過去4回の精神科入院を経験しました。
特に、強い焦燥感に襲われるなか身体拘束に耐え続けたことは、人生で最も地獄を感じた経験でした。
どんなに叫んでも解いてもらえなかった身体拘束。
聴いてもらえなかった本物の苦しみ。
この個展であの頃の自分を救いに行くんだという強い気持ちでテーマを『解く』に決めました。
身体拘束を解く、詩の謎を解く、あなたの声を解く、わたしを解く……
そんなことができたらと、準備を進めてきました。
絶望ではじまり、闇を彷徨い、それでも最後には小さな希望が残るような、そんな個展にしたいと願って。


個展には、とても大切な友人たちが時間をつくって来てくれて、家族もみんな来て、一緒に働いているカフェの職員さんや利用者さんたちも見てくれて、愛をもらってばかりの日々でした。
あんなに友達がいないって嘆いていた鬱の時期が嘘のように、幸せな時間を過ごすことができました。

来てくれた人たちをがっかりさせないだろうか…と直前になって不安がきたけど、それぞれがそれぞれの感覚で受けとってくれて、嬉しい言葉をたくさんもらって、個展をやらなければ知ることのなかった感動がありました。


個展は、ひとつの空間に私の心をそのまま置いたようなものになって、不思議な感じがしました。
短歌や詩を書いたのは私だけれど、感想をもらうと私以上に深く言葉を感じてくれたひともいて、読んでもらうってすごいなと、表現して見てもらう面白さを実感しました。
「泣いちゃった」ってひとも結構いて、私の前で涙を見せてくれたひともいて、それがどんな涙か、それがいいことなのかはわからないけれど、心をふるわせてくれたことが嬉しかったです。



ただ、表現することの怖さも思い知らされました。
障がいを抱えた利用者さんに直接「病んでるみたい」「闇しか感じない」と冷たい表情で言われたこともあったし、
感想ノートに大きく強い字で「クソ バカ」と書かれていたのを見た時は、悲しみと怒りと色々がぐちゃぐちゃになって、家族の前で大泣きしました。
どんなに嬉しい言葉をたくさんもらえても、こんなに辛い経験をしなくてはいけないなら、表現することは怖いことでしかないと絶望してしまいそうになりました。

表現するのはもちろん怖いし、傷つくことは絶対にある。
これからも。
それでも表現することを、言葉にすることを、声にすることを、やめてしまったら、私はほんとうに殻にこもって闇から出られなくなってしまう。

人間は弱い。
生きることに絶望して、世界を憎んで、人を傷つけたくなってしまうことは私にも何度もあった。
「やさしさを贈れるひとは幸せにいるひとなんだ それだけのこと」と書いたのは、自分がやさしくなれなくて辛かった日々があったからだ。

そういう人間の弱さを、私は抱きしめたい。
弱さを吐き出せる場所がなければ、この世界はとても苦しいところになってしまうから。


どんなに綺麗な理由を考えても、悲しいものは悲しいし、傷は消えない。
だけど、私に投げつけられた言葉の刃物は、私がいつか誰かを傷つけた刃物だったかもしれない。

そんなことを考える個展後の日々です。


それでもやっぱり、傷ついたことよりも、たくさんたくさん愛をもらったことをちゃんと覚えていたい。
今回の個展で残ったのは、絶望のなかに灯るちいさくても強い光だって信じよう。


来てくれた皆さま、来られなくても応援のメッセージをくださった皆さま、見守ってくださった皆さま、本当に本当にありがとうございました。
これからも、自分のペースで言葉を書いたり歌ったりしていけたらいいなと思っているので、どうぞよろしくお願いします。



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