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Fana Hues - flora + fana

本作が2作目になるカリフォルニアのネオソウルシンガー、2022年のアルバム。エリカバドゥの流れを汲みつつ淡いメロディーとサイケデリック感漂う作風が素晴らしい。柔らかな質感で慎重に選ばれた音色がゆっくりと全体を覆っている。

ギターのストロークのみの演奏にささやかなメロディーが乗るシンプルなオープニング曲を経て、breakfastは概念の喪失と朝食をとるのを忘れてしまったという描写の対比が印象的な白昼夢のサイケソウルで一気に引き込まれる。

BAD badはリードトラックになっているようだ。ここでは抑制の効いたアレンジが効果的で、ネオソウル的なアプローチを基調にしつつダブやヒップホップ、エレクトロニカのフィーリングも取り込んだ多様なバックグラウンドを感じる。これは続くrainも同様で多様性を含みながら絞り込んだパーツを組み立てて作られたトラックは派手さは無いが素晴らしい。

Alibiはジャジーなコード進行が印象的なアンビエントスケープ溢れる楽曲で大きく展開させずにメロディーを育てる繊細さが凝縮されたような曲だ。この曲をきっかけにアルバム後半は一層静かなエコーにつつまれたアレンジが続く。アルバムは乾いたギターの音から始まりしだいに深いエコーに沈んでいく。一連の構成がとても素晴らしい。

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