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Flare - Reference to Difference

Ken Ishiiの別名義による1994年リリース作品。リスニング系の実験的なテクノというような雰囲気を纏っているが、サブジャンル未分化な魅力が詰め込まれているアルバム。Flare名義ではエクスペリメンタルな志向をサウンドにしているという解説を読んだことがある。実際には、2000年代のエレクトロニカの萌芽のようでもあるし、バレアリック経由のアンビエントとミニマルのようでもある。そのあたりは未分化な魅力なのかもしれない。

Out Of The Insideは、アンビエント音響的なスタートから徐々にリズムトラックが見えてくるアプローチでKen Ishiiらしい音色使いとも言えるし、一方でリズムトラックは入り組んだフレーズがダンスミュージックを隔てる雰囲気もある。中盤以降のキックでようやく全貌が見えるが抑制されたアレンジが素晴らしい。

Morceauは、不思議なリムショットのフレーズがR.I.O.的プログレッシブさを持ち合わせていてとても面白い。楽曲は大きな展開を持たず淡々と進行するがリズムトラックの武骨でストレンジなパターンのインパクトに惹き込まれる。

Into The Insideは、オリジナルアルバムの最後に収録されているトラックで、バレアリック色の強いパーカッションと電子音の組み合わせが心地よい。この辺りは1980年代の電子音楽からの流れを感じる。

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