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Graham Coxon - The Sky Is Too High

1998年にバンド名義とは別にカバーアートを含めてほぼ一人で制作された内省ローファイ感溢れる本作の質感は1990年代後半のUSインディーシーンにもリンクしそうなアプローチがとても素晴らしい。バンドでサウンドを固めることができている分、ソロではこういったアプローチが必要なのかもしれない。Phil Manzaneraにも似た立ち位置を感じる。

Where’d You Go?は、不安定なメロディーと下降するコードのアコースティックギターによるストロークの組み合わせがローファイサイケ感満載でとても美しい。I just feel dead、と静かに落ち着いたトーンで歌うその歌詞はとてもナーバスな世界だ。エンディングで特に強調される不協音がとても美しい。

R U Lonely?は、力強いコードのダウンストロークに力を抜いたボーカルの組み合わせがElephant6も連想させるポップな雰囲気を漂わせている。楽曲はシンプルな作りで2声のハーモニーとアコースティックギター1本でひたすら淡々と奏でられるギミックの少ない仕上がりだがとても存在感のある曲だと思う。

Waitingは、現代音楽的な響きを思わせるギターのミニマルな演奏にボーカルのメロディーが重なることで不思議とポップな雰囲気をまとっているように感じる。ここでもアコースティックギターと声のみの世界であり、音を奏でる他の要素は無い。中盤以降、ギターのミニマル感は徐々に和声を取り込むことで楽曲の骨格が姿を見せる。この使い分けが楽曲に奥行きを持たせていて素晴らしい。

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