見出し画像

Pulse Convention - Simultaneous Spontaneity

2019年に発表された本作は、バンドとしての10年近い活動休止期間を経て再始動のタイミングで制作された作品になる。元々ピアノとドラムのデュオからスタートしたが、その後サックスとベースが加わり現在の編成になったようだ。アトモスフェリックコンテンポラリージャズと評されているのを見かけたが、実際に再始動後、最初のインプロビゼーションをそのまま録音した本作に収められた9曲はどれも調和性が高く透明感ある仕上がりになっている。

Viridian Moonは、コルトレーンのカルテットのように荘厳な幕開けから始まる。ここではエレピのフラッターが非常に効果的に使われている。ドラムがエレピの和声に合わせてゆっくりと骨格を作っていく様がとても美しい。

Rebootは、自身の再始動と重ね合わせたタイトルかもしれない。4人各々のアコースティックな響きは明確な旋律を示さないまま違いの音に自身の演奏を重ね合わせるように徐々にサウンドを組み立てていく。フリーの状態からスタートして徐々に軸を見つけていくメンバーの関係性がとても面白い。

Opalescenceは、一連のインプロビゼーションの中でももっとも抽象的なスタートではないかと思う。静かなフリーアプローチの連打からはじまる。中盤、サックスが徐々に高音域に向かい、ピアノが追いかけるようなシーンがある。ここでようやく楽曲のイメージが見えたような気がする。ベースの高音域での応酬とピアノの転調を経て楽曲は終盤に向かう。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?