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UNITED VIBRATIONS - The Myth Of The Golden Ratio

ロンドンのアフロジャズファンクバンドがニュージャズミュージックを多く輩出するUbiquityからのアルバムリリースという組み合わせの期待を裏切らない仕上がり。アルバムはfeat.の扱いでYussef Kwame Dayesの表記があるが、兄弟ユニットでもありUNITED VIBRATIONSとしては一体感に特に違和感はない。2016年リリース当初のプレスではアルバムに寓話が付されていてサイケデリックな世界観が提示されているようだが残念ながら未読。

アルバムは全編にわたってヴォーカルがメインの旋律を請け負っていてわかりやすい展開というのが第一印象だ。冒頭のSophiaはポップなスタイルから入るとても聞きやすいアレンジだが随所に細かなフレーズでアフロジャズを思わせるアプローチがあり次第に壮大な演奏へと上り詰めていく。その流れを汲みつつ、ドラムがよりフリーになるScionはある意味ニュージャズ的とも言える。

Far Far Awayと題された曲は組曲形式になっており、Ⅰはスピリチュアルでフリーなサックスソロを前面に打ち出している。Ⅱでリズムとそれに合わせて歌が入る。シンプルなメロディーが重奏的に繰り出されるラジカルな楽曲だ。Ⅲは再びアンビエントスケープに入るが日本語によるメッセージ性の強いMCが入る。

その後アルバム後半はややアッパーなニュージャズアプローチが続くが、Caveは再びサイケデリックな展開を見せる。ラストのGoldenは冒頭同様に壮大な展開を含みつつ複雑な構成をメロディーで繋ぐ仕組みが見事だ。冒頭とエンディングに構成美をしっかり打ち出して、中間には組曲によるメッセージ性も提示した非常に表現力豊かなアルバムだと思う。

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