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César Lacerda - Nações, Homens ou Leões

2023年にリリースされたギター1本のセルフカバーが素晴らしかったセーザルラセルダの2021年に発表されたオリジナルアルバムは、従来通り生演奏を軸としているが新たにサンプリングや波形のエディットを多用した電子音も交えた新しいアプローチが融合していて素晴らしい。

Me Diz Poe Que Brigamosは環境破壊への静かな内省を歌ったピアノを軸にした静かな曲だが、リズムをサポートするエレクトロニクスの効果が素晴らしい。また随所にダブを思わせる音響効果もありアンビエントスケープの美しさを感じる。

続くParece Poucoは、アフロブラジリアンシーンからXenia Francaをゲストに招いてレゲエアレンジを聞かせる。ここまでがアルバム前半、テーマはNacoes(国々)だという。気候変動や環境についての楽曲が収められている。このあとテーマは人間、そして動物と続く3部構成になっている。この姿勢は30年前にJamiroquaiが警告した世界を連想する。

本作は制作時点のCovid-19による行動制限下の創作への影響が前向きに刻まれている。セーザルラセルダにとって電子音へのアプローチやオンラインのセッションは止むを得ないものだったかもしれない。しかしクリエイティビティを失わず静かに新しいアプローチを切り開いた姿勢は素晴らしい。

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