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Pantha Du Prince - Black Noise

テックハウスといわれるタイプの音楽がある。それらのサウンドは20世紀初頭のBAUHAUS建築を思わせる機能美の追求とシンプルさを併せ持つ魅力があると筆者は感じる。Pantha Du Princeもその一人だ。このアルバムでは特にキックにテックハウスらしさが詰め込まれている。重過ぎず、フロアに寄せすぎることもなく、ひたすらサウンドの機能美を追求した心地よいキックという印象だ。

またキックに限らず音色は多様だがとても上品な音がセレクトされていて心地よい。リズムトラックとウワモノの関係性という視点からは上品であることが良いとは限らないという向きもあろうが本作は上品であることが効果的に作品を持ち上げている。

冒頭のLay In a Shimmerは、1分半を過ぎたあたりから入るリズムの混ざり具合やその後のベースと共に切り替わるウワモノのタイミングが心地よく、ここで一気に空気が変わる瞬間にいつも惹き込まれてしまう。その後もドローン系のサウンドと上品なリズムトラックの組み合わせに時折はさみこまれるブレイクがクールダウンする組み合わせが絶妙。

以降のトラックも基本的にはミニマルな構成を貫きつつ抜き差しと上品な音色セレクト、アンビエンスの取り入れ方を含めて静かな高揚が続く。長く聞けるリスニング向けのアルバムになるのではないかと思う。

(過去に書いた文章を再掲しました)

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