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HOMESHAKE - CD Wallet

トロントのPeter Sagarによるプロジェクト、HOMESHAKEの2024年作。本作はインタビューによれば2週間程で一気に制作されたようで、それは本作のテーマにもなっている子供時代の自身を揺さぶるようなインディーロックテイストが必要だったからという事が語られている。従来のMac DeMarcoからの流れのベッドルームソウル的なアプローチの中にもにマニーマーク的な雰囲気があったりと不思議なローファイ感が見え隠れしていたが本作ではそういったフィーリングが前面に押し出されているように思う。

Frayedは、ゆるやかなギターのストロークが細かく編集されたエレクトロニカ的な雰囲気もありつつ、ローファイドラムトラック等、あくまでオルタナティブロックの雰囲気が軸になっている。断片的なメロディーはバンドの演奏がはじまるに従って次第に形を表す。終盤手前の轟音系のギターによるダウナーなコードアプローチが素晴らしい。

Smokeは、フラッターが入ったようなギターの不安定な質感が非常に詩的だと思う。シンプルなエイトビートの中でやはり淡く美しいコード進行が続く。フックを持たない淡々とした楽想がむしろ印象的だ。

タイトル曲CD Walletは、ゆっくりしたアルペジオから始まる。ドライなサウンドの中でダウナーな雰囲気を纏った楽曲が進んでいく。中盤の轟音と前後の静かなアコースティックの組み合わせは1990年代的でもある。

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