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Plastic Ono Band - GIVE PEACE A CHANCE

1969年、ジョンレノンとオノヨーコによる”Bed In”という平和についての語り合い集会がアムステルダムとモントリオールで行われた。パフォーマンスの根底にはフルクサス的な流れを組んだ精神性があろうと思っている。ここでのテーマは「平和」。自身を俯瞰した合理的なパフォーマンスだと思う。その後リリースされた7インチは本作がA面、オノヨーコによる牧歌的な歌とジョンレノンのギターとだけで作られたRemember LoveがB面に収録されている。

ギブピースアチャンスは参加者が床を叩き、ハンドクラップでリズムの基礎を作っている。このリズムが素晴らしい。キックとスネアで同じ譜割りのプレイがあったとしてもこのゆったりしたグルーブにはならないような気がする。そう考えると、同じリズムパターンであればむしろヒップホップのキックに近いのかもしれないと感じている。ギターのストロークとパーカッションが加わってフロウと共に16分音符感が出ているところが印象的だ。

歌われている歌詞を見ると、レボリューションやエボリューションはベトナム戦争当時多く語られてきたキーワードだろう。インテグレーションやメディテーションは同じく語られてきたが、(極めて主観的な印象として)今でもよく使われている言葉だ。これらがフロウに乗せて語られた後に、僕らが言ってるのはたった一つ、平和にもチャンスを、と締めくくる。そして多くの人が言っている、みんなも一緒に、と投げかける。その上で、本作はレノン=マッカートニー名義だ。その理由は多く語られている通りだろうが、自身を俯瞰した上でみんなも一緒に、と語りかけるイベントで歌われた歌の名義としては妥当だと思う。

リメンバーラブは、オノヨーコがシンプルなメロディーをシンプルな言葉で紡いでいく。ジョンレノンのギターは時折サンキングを思わせる弾き方を見せつつ、音の質感にはこの人らしい雰囲気を漂わせつつ基本的にはオノヨーコのパフォーマンスを立てている。Bed Inの根底にあるフルクサスはマチューナスのユーモアとアイロニーが込められた芸術運動だった。この7インチは随所にそういったサインがある。ジョンレノンらしくもあり、オノヨーコらしくもある。その上で、僕らが言ってるのはたった一つ、平和にもチャンスを、としっかりと打ち出した表現と行動にはあらためて敬意を表したい。

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