Ultra Living - Zoonomia
野中太久磨と野中哲士による兄弟ユニットによる2007年のアルバム。解説によればZoonomiaとはチャールズダーウィンの祖父が記した著作のタイトルを拝借しているようだ。本作の音楽的なバックグラウンドは非常に多様で興味深い。そのこととこのタイトルとの関連性や結果として不思議なトータル性を感じる質感も含めて非常に意欲的な作品だと思う。
冒頭のサンプリングエディットやエレクトロ的な短い実験的なサウンドアートから、メロウなInterchargeに至る流れはInterchargeが非常にシンプルに柔らかで美しい音楽を奏でてはいるがそれだけではない可能性を示唆するとても良い組み合わせだと思う。シンプルなドラムとベースに音数の少ないバッキングをからめてはいるがどこか標本のような不思議な質感がある。
Negative Songは、ポールブレイのような間を強く感じさせるピアノから始まるが、タブラを使ったリズムアプローチと、日本語音節のようなメロディーに乗せた英語詞に、ニューソウル的なコード進行とアンビエントジャズのミクスチュアという穏やかだが先鋭亭で圧巻のスタイルが素晴らしい。
Macaroni Penguinは、R.I.O経由のプログレッシブジャズ的な無国籍アレンジが素晴らしい。リズミカルだが淡々と演奏されるピアノに、フリーな要素を織り込みつつフレーズをどこか牽引するドラム、ギターやトイピアノのポップな旋律、美しく不安定なテーマなど驚きの満ちた演奏が魅力的だ。
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