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radian - Distorted Rooms

Fenneszやデビッドシルビアンとも交流のあるユニットによる2023年の本作はThrill Jockeyからリリースされているが、とてもThrill Jockeyらしいポップなアプローチとラジカルな音響を融合させた作品だと思う。ドラムを軸にしてベースとギターによるトリオのバンド形式を保ちつつ仕上がりはエレクトロニクスを最大限活かした音響的な作品になっておりそのバランス感が素晴らしい。

C at the Gatesは、ドラムやベースのダイレクトなサウンドが素晴らしい。それらの質感を損なうことなくパーツをエディットして音響を仕込んでいく力量は素晴らしい。エレクトロニカ的なアプローチの可能性を演奏表現の側から大きく拡張している野心的なアプローチだと思う。

Cicadaは、ノイジーなフレーズと淡々と刻まれるリズムの配置がとても面白い。サンプラーをリスニングテクノを再構築しているようなサウンドに仕上がっている。ここではドラムはリズムを担っているが、ギターやベースはほぼノイズとして処理されている。中盤のヴィブラフォンによるラウンジアプローチが楽想に奥行きを与えていてとても面白い。

Stakはフィールドレコーディング的なサウンドのノイズ処理がとても硬質で緊張感に溢れた楽曲だ。ほぼメロディーは排除されており一貫してラジカルなアプローチに覆われている。時折ギターが細かくエディットされた音が散りばめられているがその僅かな瞬間がとても音楽的で印象的だ。

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