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生活向上委員会 - ライブ・イン・益田

日本のフリージャズシーンの中でその枠組みを躊躇なく外れて横断的に活躍したイメージがある梅津和時等を中心とした生活向上委員会だが、その梅津不在の時期に、松風鉱一によるアルトと明田川荘之のピアノトリオというような4人で1976年に行われた島根でのライヴの様子を作品化したものが本作になる。通称「生活向上委員会・松組」と言われているという解説もあったので、もしかしたらこの編成による演奏もある程度は定着していたのかもしれない。

冒頭はコルトレーンの演奏のインパクトがあまりに強いインプレッションズだが、前半はピアノトリオで楽曲を盛り上げていく。リズムセクションのグルーヴが素晴らしい。大きく盛り上げた後、アルトによるソロに入るがここでフリー感が一気に増す。非常に密度の濃いソロに圧倒される。

アイラブユーは、サックスとピアノによるフリーな導入部分の緊張感が1970年代の日本のフリージャズの現代音楽的な側面とシリアスな雰囲気にも近い部分が感じられて、梅津不在のアプローチらしさかもしれないがとても印象的だ。バンドが入る直前、徐々にコードやメロディーが姿を表す表現が素晴らしい。

斎(いんば)は、叙情的なピアノに合わせて演奏されるサックスのテーマが美しい。ここでは非常にスタンダードな演奏が繰り広げられるが終盤のベースソロが印象的だ。全員がこのメロディーを軸に展開しているアプローチがとても心地よい。

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