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Roger Nichols & The Small Circle Of Friends - Full Circle

2008年の本作は同名義のファーストアルバムから40年ぶりの作品。もちろんその間にさまざまな活動がある訳だが、あらためて端正な演奏に乗せた変わらないハーモニーの美しさに聞き入ってしまう。これだけのブランクがあるとオリジナルアルバムの魅力を越えるのは難しいように思うが本作はそういった優劣を感じさせない楽曲の良さと歌の美しさに満ちていると思う。さらに言えば既発の曲も新曲も同じように素晴らしい。

冒頭のTalk It Over In The Morningは軽快なポップスで転調含む楽曲全体がひらめきに満ちている。Anne Murrayが同名タイトルアルバムでこの曲を歌いシングルカットしたのが1971年。以降、本作の直前にもBrian Gariが2006年にカバーする等、多くの人に親しまれた楽曲だ。

続くThe Drifterも同様にあらゆるアーティストに愛された名曲で、このピアノのブロックコードからはじまるイントロはどことなくファーストアルバムの2曲目に「With A Little Help From My Friends」を配置したことを意識させるシャッフル、ただし今回はNichols - Williamsコンビの今日を置いた、というこのあたりは意味があるように思えてならない。それくらいに1968年のアルバムから見事なつながりを感じる。

アルバムラストは、Look Aroundで締めくくる。Nichols - Williamsコンビのエバーグリーンさと普遍性を強く感じる楽曲だ。アルバム全体を覆う静かに安定したメロディー、詰め込みすぎない言葉、しっかりと歌を支えるアレンジ、全てが一体になった素晴らしい仕上がりだと思う。

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