Bartosz Kruczynski - Dreams & Whispers
ワルシャワを拠点に複数名義のユニットで活動するBartosz Kruczynskiの本作は本人名義による2024年作。バレアリックなダンスミュージックを経由したチルアウト感に覆われた仕上がりだ。サウンドは粒立ちを伴った電子音やビブラフォンとエフェクト等、アンビエントミュージックの王道に沿ったものだが組まれたミニマルなフレーズはどれも流麗で素晴らしい。
DreamⅠは、冒頭にふさわしいややアップテンポの、あるいはディレイタイムの短い設定が印象的な細かなパッセージによる楽曲だ。ミニマルフレーズはメジャーセブンを感じさせる淡さを伴った透明感のあるアプローチでライヒのオーケストレーションを思わせる瞬間がある。
DreamⅥは、譜割りにエレクトロニカ色を感じる穏やかなリズムが美しい。2小節を一つの単位にして4つのコードが繰り返される構図はシンプルだがミニマルミュージックセオリーを踏まえた緩やかな変化が繊細且つ端的に織り込まれている。この辺りの明瞭さはBartosz Kruczynskiの親しみやすさにもつながっているように思う。
WhisperⅠは、粒立ちのある一連のDream連作から一転、ドローンを伴ったWhisper連作の冒頭トラックになる。ワンコードのドローンをバックにハープのシンプルなオープンテーマが繰り返される。前半のDreamと比べると抽象度が増している。一方で流麗さや透明感は変わらず惹き込まれる。
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