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Ana Roxanne - Because Of A Flower

カリフォルニアを拠点に活動するアジア系ニューエイジアーティストによる2020年のアルバム。本作が2作目になるが自身のボイスパフォーマンスにニューエイジの系譜からあらゆる音を巻き込みつつ透明感あるサウンドを織り込んだサウンドだ。ジェンダーアイデンティティーをテーマに、美しさと残酷さを描いたというレーベルの紹介文があったが、テーマを音楽に昇華する力量が素晴らしい。

Suite Pour L’invisibleは、ゆったりしたディレイとアルペジオ的なミニマルフレーズに低音を軸にしたギターの静かなインプロビゼーションが折り重なる。インプロは徐々に音域を拡大していくが中盤からはじまるボイスパフォーマンスへの受け渡しがとても美しい。

Camilleは、リズムボックスによるループとシンプルなコードを奏でる電子音との組み合わせが印象的だ。リズムのパッセージは細かく性急な譜割りにも思えるが電子音やボイスパフォーマンスのゆっくりした時間の流れ方が圧倒的で慌ただしさは無い。

Take the Thorn, Leave the Roseは、ギターが奏でる低音のメロディーと僅かなコーラスでマイナーコード感を表現し尽くしている。シンプルなアレンジの中に和声の余韻で奥行きを持たせるアプローチはとてもエモーショナルだ。後半は自然音的なノイズを織り込みながらギターのアルベジオとボイスが朴訥に奏でるメロディーがとても印象的だ。

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