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Young Marble Giants - Colossal Youth

1980年作。Young Marble Giants名義のアルバムは本作のみ。リズムボックスにギターとベース、淡いボーカル。バンドはその後、EPや方向性の異なるインスト作品を発表した後、活動停止。本作のインパクトはシンプルな編成をそのまま打ち出したミニマルなスタイルにあると評される。実際、ここまで削ぎ落とすと時代性も質感も希薄になり骨格だけが残されたようにも感じられる。その意味では非常に純度の高い音楽とも言える。

Searching for Mi. Rightは、ポストパンクの原型のような雰囲気を纏っている。静かにフェードインで刻まれるリズムの電子音とミュートされたギターの静かなオープニングに続いて、断片的なボーカルを支えるよりも高質な楽器群野中での役割に徹したようなベースがそれでも歌に合わせて挿入される。音はこれで全てであり、メロディーもフックになるようなフレーズは無い。終盤に向けた中間部のベースラインがかろうじてフックを担っているようにも感じる。このミニマルなアプローチがアルバム全体を象徴するような作りになっている。

The Taxiは、リズムボックスを重ねた厚めのリズムにローファイなシンセサイザーがコードをかろうじて彩る。ルートだけを辿るベースは前後の曲のフレージングを考えるとあえて主張しないラインを徹底しているようにも思う。この抑制されたインストはとても印象的だ。

タイトル曲Colossal Youthは、浮遊感あるメロディーとポップなコード進行に若干性急なエイトビートを刻むベースとガレージ風のオルガンの組み合わせが素晴らしい。1960年代ガレージサイケにも通じる奔放さがミニマルで抑制されたポストパンクアプローチの中に美しく溶け合っている様が素晴らしい。

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